社命
0:『社命』
:
0:登場キャラ
アストレア:女
ポルジッコ:男
ザックス:女
:
アストレア:(M)―――始まった。ついに。始まってしまった。
アストレア:(M)いつか来るとは思っていたが。余りにも、唐突な作戦開始。
アストレア:(M)ことのほか。私は。この事に驚いていない。
アストレア:(M)なるべくして、なった。とすら思う。振るう暴力に。なんの躊躇いもない。
アストレア:(M)正義。執行
0:バグテリア法外特区
0:東エリア。ハインツ川近郊
ザックス:まったく。どうなってる
ポルジッコ:俺が聞きたい。が、まずは目標の登場だ。
ザックス:手当り次第に中央勢力を殺す。
ポルジッコ:それが社長からの命令だ。
ザックス:何人死んだ。
ポルジッコ:ざっと100
ザックス:やっぱり、あいつか。
ポルジッコ:ああ。あいつだろうな。
ザックス:お誂え向きじゃないか
アストレア:(M)酷く。冷静だ。頭が冴えている
ポルジッコ:目標。アストレア・アステルの殺害。既に数十人殺されてる。
ザックス:了解。最大限の注意を払う。社命を。遵守する。
アストレア:(M)―――「敵」が。よく、視える。
0:回想
0:十年前
ポルジッコ:今日からバラエティ社幹部に着任する。ポルジッコ・レオンだ。
ザックス:同じく、本日付で幹部になった。ザックス・シェアザードという。よろしく頼む
ポルジッコ:(M)何年前か。忘れてしまったが。初めて見た頃から。お前の事はあまり好きじゃなかった
ザックス:何度言わせるんだポルジッコ。計画書にない工程を入れるな
ポルジッコ:研究部がそうした方がいいかもしれないと、そう言った。生産管理初のステージ3を狙えるかもしれない
ザックス:計画書にない工程を入れるな。
ポルジッコ:生産時間にズレはない。
ザックス:ズレるかもしれない。もしかしたらの奇跡を追うな。計画書にない工程を入れるな
ポルジッコ:試行錯誤が実験の基本だろうが
ザックス:だったら初めから計画書に記入しろ。最後だ。計画書にない工程を入れるな
ポルジッコ:品質管理がでしゃばんなよ。こら
0:ザックスはポルジッコの頭を掴んだ
ザックス:計画書にない工程を
ポルジッコ:お…?
ザックス:入れるなっつってんだよーーーッ!
0:机に叩きつける
ポルジッコ:ぶごふっ…!
ザックス:てめえの一存でデザート・ハウス全体の生産効率が落ちるかもしれないっ!そこんとこ分かってんのかてめぇっ!
0:何度も叩きつける
ポルジッコ:ごほっ…
ザックス:デザート・ハウスにおける一分のズレは品質管理に届くまでの工程で三十分のズレになるっ!てめえにっ!社員のっ!時給分保証する支払い能力があんのかコラッ!
ポルジッコ:ぶふっ…。
ザックス:分かったら!計画書通りに!工程を進めろっ!
0:手を掴んだ
ポルジッコ:おい。
ザックス:…ああ?
ポルジッコ:立派な傷害罪だ。見ろ。鼻血がこんなに出ている
ザックス:だからなんだよ。てめえの鼻血なんざ一銭にもならねえだろうが
ポルジッコ:血が。こんなに。出ている
0:そのままザックスを地面に叩きつけた
ザックス:ごはっ…!
ポルジッコ:スーツが汚れた
0:殴り続けた
ザックス:げほっ…!
ポルジッコ:歯がズレた。
ザックス:ごほっ…!
ポルジッコ:軽い脳震盪も
ザックス:がはっ…!
ポルジッコ:理解しろよ。ザックス・シェアザード。
0:髪の毛を掴んだ
ザックス:…
ポルジッコ:これは。正当防衛だ。
ザックス:(M)何年前だったか。忘れてしまったが。初めて見た頃から、私はお前のことがあまり好きではなかった
0:回想終了
0:現在
ポルジッコ:――VOLTッ!
ザックス:――flambeッッ!
アストレア:SHIELD
ポルジッコ:(M)盾。剣。槍。銃。なんでもありか。
ザックス:(M)鉄も溶かす温度だが。なるほど。そういう概念の代物ではないな
0:アストレアは笑っていない
アストレア:…。
ザックス:どうする、ポル。いよいよ本物の怪物と喧嘩してる気分だが
ポルジッコ:俺も同じ気持ちだよ。尋常ではないし。人間じゃあねえな
アストレア:(M)なにを。どう形容すればいいだろう
ザックス:ポル。来るぞ。
ポルジッコ:ああ、分かってる
アストレア:(M)私の今の感情を表すなら。なんだろうか。
ザックス:flambe…ッ!
ポルジッコ:Rising…!
アストレア:(M)二人の連携は素晴らしい。私がこういう体でなければ。既に二度は死んでいるだろう。洗練された。無駄のない、計画通りの連携
ザックス:ちぃっ…!衣服の端すら燃えねーっ!どーなってやがる…!
ポルジッコ:落ち着けザックス。熱くなるな
ザックス:いいじゃねえか!熱くならないでどーすんだよ!
ポルジッコ:まったく。お前の情緒は、どうなってる…!
アストレア:(M)異形。異能。異常。と、様々な言い方をされてきた。その全てが。私の前では須らく無力だった
ザックス:左35°!
ポルジッコ:了解。
ザックス:flambe…ッ!
ポルジッコ:Rising
アストレア:(M)なぜだろう。こんなにも。貴方達は秀でていて、優れていて、抜きん出ているというのに。
アストレア:―――LANCE。
0:右腕を砕いた
ポルジッコ:ぐぉっ…!
ザックス:ポル!!
アストレア:(M)私が。そう。ひとつ念じれば。貴方達の全ては終わる。努力も、才能も、信念も。全て、終わってしまう。
アストレア:(M)それはとても。悲しい事だ
0:
ザックス:(M)……。気持ちを、落ち着けよう
ポルジッコ:参った。本当に、参ったな。右腕が吹っ飛んだ。
ザックス:アストレアの五体は満足だが
ポルジッコ:ああ。それが更に参った。
アストレア:貴方達は、優秀ですね。
アストレア:ザックス・シェアザード元一等監察官
アストレア:ポルジッコ・レオン元管理官
ポルジッコ:…はっ。嫌味か
ザックス:いいや。本音だろあ
ポルジッコ:分かってる
アストレア:…。どうか。貴方達に。神の御加護が在らんことを
ポルジッコ:やっぱり嫌味だな
ザックス:ああ、あれも。本音だろう
ポルジッコ:ああ。分かってる
アストレア:SWORD
0:腹に刺さる
ザックス:ごぷっ…!
ポルジッコ:ザックス!
ザックス:ああ、冗談じゃない、とても目で追える速さじゃあないな
ポルジッコ:距離を取れ。まず待避だ
アストレア:――――定義転換。
ポルジッコ:ザックス。距離を取れ
ザックス:(M)なんだ。体が動かない。出血か
アストレア:『楔』
ザックス:(M)ああ。やっぱりお前か
ポルジッコ:ザックス!距離を取れ!!
アストレア:…。LANCE
ポルジッコ:おい!聞いてるのか!
ザックス:(M)―――思い出すのは。父の顔だった。
ポルジッコ:ザックス!!
0:――――――――――――
ザックス:(M)私の人生は。至って平凡だった。父親は中央政府職員。母は市役所勤務
ザックス:(M)中央政府職員は稼ぎがいい。ただそれだけの理由で、私は中央へ入ろうと思った
ザックス:(M)父は何度も私を止めたが、私は高校を卒業した後、バヘミアン高等学院に入学した
ザックス:(M)二年の研修期間を経て、私はバヘミアンを出た。
ザックス:(M)中央政府に入り。異常体を使い、異常体を殺した。
ザックス:(M)浴びるほど血を見てきた。どこがどこの部位が言い当てられるほど、散らばった臓器を眺めてきた。
ザックス:(M)とある日、同僚の監察官が死んだ。
ザックス:(M)私は悲しかった。
ザックス:(M)異常体がどれほど死んでも。私の気持ちは動かなかったが、同僚が死んだ日は、悲しかった。落ち込んだ
ザックス:(M)またとある日。父が死んだ。
ザックス:(M)父は異常体になった。後天的発症。自分は異常体ではないと執行部に対し反抗。その場で執行処分された。
ザックス:(M)憤りはあった。だが、それ以上に。馬鹿な親だと。そう思った
0:
ポルジッコ:(M)監察官として働いて八年。情報局へ異動した。
ポルジッコ:(M)俺は、何より楽な日常を求めていた。
ポルジッコ:(M)情報局は監察局に比べて事務作業は多いが命の危機がない。それだけで俺は異動の話に飛び乗った
ポルジッコ:(M)毎朝7時15分に目を覚まし、妻と娘に「行ってきます」と声をかけ。出社する
ポルジッコ:(M)電車に30分揺られて、8時30分に始業。しばらく働いて、10時5分に小休憩。一本煙草を吸って眠気覚ましの珈琲を飲む。
ポルジッコ:(M)小休憩が終わればまたパソコンと睨めっこ。12時のチャイムがなれば昼休憩。まず煙草を吸って、飯を食う。糞をして煙草を吸う。そしてまた仕事
ポルジッコ:(M)どれだけ遅くても夜7時までには帰宅した。妻と娘に「ただいま」と声をかけ。お気に入りのワインを飲んでテレビを見る
ポルジッコ:(M)夜10時には風呂に入り、夜12時には完全に床に就く。そしてまた朝になる
ポルジッコ:(M)そんなこんなで一年半が過ぎて。
ポルジッコ:(M)妻が、病気で死んだ。
0:
ザックス:(M)また、とある日。
ザックス:(M)私に異常性が発症した。
ザックス:(M)直ぐに執行部職員に取り押さえられた。
ザックス:(M)私は。理解が出来なかった。なぜ昨日まで人として扱ってきてくれた彼らは、こんなにも。化け物を見る様な目で。私を見るのだろう
ザックス:(M)ふと。父の情緒を、理解した。
ザックス:(M)きっと。私は今。怒っている
0:
ポルジッコ:(M)妻が死んで、半年。
ポルジッコ:(M)俺は仕事に熱中しては、酒に溺れた。帰る時間は0時過ぎ。娘はもう寝ている。
ポルジッコ:(M)仕事でのトラブルは、酔った勢いで娘に当たって発散した。
ポルジッコ:(M)目が覚めて、酔いも冷めて。泣きながら娘に謝ってみた。娘は許してくれた
ポルジッコ:(M)とある日。娘が。異常体になった。
ポルジッコ:(M)俺は。自らの手で。娘を射殺した。
0:
ザックス:(M)ようやく気付いた。父が、なぜ私に中央に入るなと言ったのかを
ザックス:(M)人種による、生死感が壊れた。
ザックス:(M)普通に、考えてみればわかる事だ
ザックス:(M)異常体も。元はただの人間だ。
ザックス:(M)どこか、他人事のように感じていた。通り魔に刺された被害者を見ているような。ああ、きっと運がなかったんだろうな。と
ザックス:(M)異常体になるなんて運が悪い。その程度だった。異常体が死んでも、運が悪かった。としか思わなかった。
ザックス:(M)だが、どうだろう。いざ自分がそうなってみると。
ザックス:(M)こんなにも、無作為で、無慈悲なシステムだ。
0:
ポルジッコ:(M)俺は中央を退職した。
ポルジッコ:(M)悪いのは何なのか。少し考えてみた
ポルジッコ:(M)妻が死んだのは、誰のせいでもない。
ポルジッコ:(M)娘が死んだのは。俺が撃ち殺したから
ポルジッコ:(M)なぜ撃ち殺したと聞かれれば、娘が異常体になったからだ
ポルジッコ:(M)なぜ娘が異常体になった?誰が悪い
ポルジッコ:(M)ああ。考えるまでもない
ポルジッコ:(M)俺が。悪い
0:
ザックス:(M)私は執行部職員を燃やして、逃げ出した。
ザックス:(M)世の中はこんなにも間違っている事を。訴えようと思った。
ザックス:(M)世間は、あまりにも冷たかった。
ザックス:(M)身寄りのない私を住まわせてくれた老夫婦も。タダ飯を食わせてくれた気前のいい店主も。近所の糞ガキ共も
ザックス:(M)私が異常体である事を話すと、こぞって私を迫害した。
ザックス:(M)私が、お前達にどれほどの危害を加えたと言うのだろう
0:
ポルジッコ:(M)とある日。俺は、異常体になった。駆けつけた執行部を殺した
ポルジッコ:(M)自分の手で誰かを殺したのは、これが二度目。娘と、名前も知らない執行部職員
ポルジッコ:(M)また、人を手にかけた。娘の時と、同じ
ポルジッコ:(M)娘も。こいつもそうだ。俺が変な衝動さえ起こさなきゃ死なずに済んだ
ポルジッコ:(M)誰が悪いだなんて聞かれたら。全部俺なんだ
ザックス:(M)ふと。思った。理解しようと思ってもらうことも。悲痛を訴えるのも。常識の前ではなんの意味も成さない
ポルジッコ:(M)俺さえ何も感じず、思わなければ。こんな事にはならなかった
ザックス:(M)情緒など、持つだけ疲れる。
ポルジッコ:(M)俺は。情緒を持っていい人間じゃない
0:
ザックス:(M)あれから。どれほど。どれほど歩いただろう。私は、とある人に出会った。
ザックス:(M)その人は、この世界はおかしいと、声高々に言った。
ザックス:(M)現状の常識を、一蹴した。
ザックス:(M)私はその姿に。ただただ、畏怖した。
ザックス:(M)私では絶対に成し得ない。そんな大望を、あの人は。夢見ている。
ザックス:(M)その姿に。憧れもしたし。恐れもした。
ザックス:(M)私はその人の元で。全ての情緒を投げ渡した。
ザックス:(M)あれから。どれほど。その人と共に歩いただろう。
ポルジッコ:今日からバラエティ社幹部に着任する。ポルジッコ・レオンだ。
ザックス:同じく、本日付で幹部になった。ザックス・シェアザードという。よろしく頼む
ザックス:(M)何年前か。忘れてしまったが。初めて見た頃から。お前の事はあまり好きじゃなかった
0:現在
0:ハインツ川近郊
ポルジッコ:Risingッ!
アストレア:SHIELD
ポルジッコ:っ…!かっってぇ…!
ザックス:(M)――――なんだ。気を、失っていたのか。
ザックス:(M)何が起こった。なにがあった。どれだけ時間が経った。
アストレア:やはり。優秀だ。殺しにくい
ポルジッコ:そりゃあどうも、だ。よくもまあ内の同僚をダルマにしてくれたもんだよ
0:ザックスの右腕、左腕、左足はちぎれている
ザックス:(M)―――ああ。もう私は。右足しか残ってないのか。
ザックス:(M)通りで。頭が回らない。走馬灯を見るわけだ。
ザックス:(M)腹から、臓器がただれている。何度も見た。異常体の散らばった臓器
ザックス:(M)―――やっぱり。自分の。ってなると。気色悪いもんだな
0:ザックスは片足で立ち上がった
ポルジッコ:…!
アストレア:…。まだ立ちますか。ザックス・シェアザード
ザックス:ああ。立つさ
ポルジッコ:ザックス。一旦引け。人口異常性の開発を進める。五体満足に戻せるかもしれない。企画書を練ろう
ザックス:いいや。ポル。
0:ザックスはアストレアに近づいた
アストレア:…。
ザックス:私たちに。そういう情緒は。必要ない。
アストレア:やはり。度し難い
ザックス:なにがだ
アストレア:教えてください。なぜ貴方達ほど優秀な人材が、彼の元で、命を賭して前線に立っているのか。
アストレア:貴方達はきっと、デザートにとって、駒でしかない。
ザックス:会社とはそういうものだ。
アストレア:命をかける意味が、理解できないと言っています。私は
ザックス:私たちに信念や理由は必要ない
ザックス:ただただそこにあり、こうして存在していることが
ザックス:私達の存在意義であり、それ以上はない
ポルジッコ:おい。ザックス。戻れ
アストレア:犬死にです。貴方達は、私を殺せない。
ザックス:ああ、そうだろうな。
ポルジッコ:ザックス!
ザックス:だがそれは、社命を全うしない理由にはならない。違うか、ポル
ポルジッコ:…。
アストレア:…。私には。縁遠い情緒ですね
ザックス:ああ。私もお前達に。同じ事を思っている
アストレア:やめましょう。なんの意味もない。私が貴方達を殺す事に、なんの意義もない
ザックス:この出血量で、まだ私が死んでいないことを考えると。戦闘開始から私が気を失うまでの間、累計して、約13分。
ザックス:アストレア・アステルの足止めに五分成功している。
ザックス:私が死ぬには、十分過ぎる生産性だ
アストレア:…。
アストレア:(M)理解が、できる。彼女は微塵も。私を殺せると思っていない。期待をしていない。本当に。たった数分の足止め。その為だけに命を投げ打っている
ザックス:ポルジッコ。
ポルジッコ:…ああ。社命を。遵守する。
アストレア:まったくもって。見事。
ザックス:最大火力
ポルジッコ:150MA
ザックス:Grillッ!!
ポルジッコ:Vault…ッ!
アストレア:(M)それでもやはり。雨に打たれれば落ちる雛だ
アストレア:―――鉄槌。
0:二人は叩きつけられる
ザックス:ごほっ…ぉ!
ポルジッコ:がはぁっ…!
アストレア:…。バラエティの二人。心から、尊敬を
ザックス:…はぁ…っ。げほっ…。
ポルジッコ:…っ。ザッ、クス…。
ザックス:(M)最大火力ですら。焼けない。
アストレア:…。雨に打たれて尚。そう在りますか。本当に、見事。見事、ですが
ザックス:(M)掌から出せる汗腺温度は、1200℃が限度。もしこいつを焼き切るなら
ザックス:(M)体内汗腺全てを膨張させる。文字通り、自爆膨張熱。最高温度6200℃。太陽の表面温度以上。
アストレア:難儀ですね
ザックス:(M)…。ああ。やっぱり。ずっと、ずっとずっと。私は。怒ってるみたいだ。父さん
ポルジッコ:…ザックス。
ザックス:…。ああ。ポル。
0:ザックスは足を止めた。
ザックス:―――お先。
ポルジッコ:………。
アストレア:来ますか。ザックス・シェアザード
ザックス:一緒に死のうぜ。アストレア
アストレア:(M)異形。異能。異常。その力は、時代によって様々な呼び方をされてきた。
ザックス:―――MAGBURN。
0:ザックス死亡。
アストレア:(M)それでも。やはり。それらはすべからく。私の前では無力だった。
ポルジッコ:(M)爆煙から、人影が歩いて出てくる。その姿は、当然同僚な筈もない
ポルジッコ:…。生きてんのか。まあ。生きてるだろうな。
アストレア:…。ええ。熱かった。ですね
ポルジッコ:ああ。ピリッと、来る。
アストレア:…怒らないのですか。一応は、貴方の仲間だったはずですが
ポルジッコ:…。怒っていたり、悲しいんでいたりしても。俺は、そういう情緒は。もうしまい込んだんだ
アストレア:そうですか。
0:通信機を手に取った
ポルジッコ:…。報告。アストレア・アステルの足止め、16分32秒。
ポルジッコ:ザックス・シェアザード。殉死。
ポルジッコ:…。以上。
0:通信機をしまった
アストレア:…。
ポルジッコ:さあ。仕事に戻ろうか
0:アストレアは手を向けた
アストレア:言い残すことは。ありますか
0:少し考えた
ポルジッコ:―――労働はクソだ。
0:静寂
アストレア:LANCE。
ポルジッコ:(M)―――。何かが、砕けた音がした。
0:
アストレア:…。
0:アストレアは二人の亡骸を見つめている
アストレア:(M)今まで。何十。何百、何千、何万という命を奪ってきた。
アストレア:(M)たった。その中の二人。
アストレア:(M)―――なにを。どう形容すればいいだろう。
アストレア:(M)今の私の感情を言葉で表現するなら。なんだろうか
アストレア:(M)同情にも似ていて、共感のようでいて。恐れや、焦り、諦観であったりもする
アストレア:―――――。
アストレア:(M)私は。その感情をしまい込んだ。
0:通信機を手に取る
アストレア:アストレア・アステルから。ザックス・シェアザード。ポルジッコ・レオンの執行処分を報告
アストレア:作戦へ戻ります




