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私小説  作者: π
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特別かくこともない。

時々襲われる孤独感。

毎日は充実している。大好きな彼女、大学の課題、サークルの活動、流行りウイルスや金銭面の不自由、そんな絶対値的に大きな揺れ幅の中でわたしは生活をしている。恵まれているのだ。

だがしかし、苛まれるのだ。若冠21歳。それでいいのかと。どこか幼少期に思い描いていた理想の自分から、平手で突き放されたような孤独感。自らの身を蝕んでやまないのだ。

文学にあたる。どの文豪も青春時代はそんなものだと言う。逆張りで無気力無感情だったと言うものもいる。

満たされないのだ。満たされない。

言葉を並べれば恵まれていることにも気づく。だが、生の実感として伴わない。

少年漫画を読んだことがあるだろうか。バトルものであれば話しやすい。喧嘩をする主人公に憧れる。雄としての本能だろうか。それとも雑念にとらわれず、欲求のみに従うことへの憧憬か。

彼ら主人公はもちろん苦悩する。だがしかし持ち前のまっすぐさや明るさで、時には周りの助けをもってして困難を乗り越えていく。もちろんはじめは純粋に羨んだ。その持つ力を120%解放して望んだ結果と同じベクトルの成果を得る。それが是か非かはケースバイケースだが、彼らは必ず物語の主軸に添った成果を得るのだ。

顧みて私。どうだろうか。もちろんやりたいこともある。これでも今までの学生時代は本気で取り組んできたし、バカではないだろう。だがそれでも、立ち向かう困難が、あまりに異質な角度から責めてくるのだ。やる気もなくなってしまうよ。

抽象的すぎただろうか、例えばだ。大学三年生、資格を取り有名企業の内定を狙う。それまでに必死にためた貯金で資格獲得の対策をねろうとした。そんな折家族からの請求。子どもが食えないのだと言う。雀の涙とも言えようが、かまわず差し出す。命には替えられない。資格はとりあえずあとに回そうか。人生は長い。免許の取得を目指して教習所にかよう。親との約束で、大学の学費は私の奨学金による借金で賄う代わりに、運転免許の費用は出してくれるというものがあった。しかしながら、火の車には乗れども自家用車に乗ることすら叶わず、そもそも自家用車もなく、立て替えという設定で自腹を切った。私の人生にはいつまでも金が付きまとうように思う。

周りの友達をみるとどうか。お金に困るものはいれども自分ほど逼迫してるものは少ないように思う。

と、書いているがこんな自分も情けないね。下の者をみて安心しようとする姿勢には反吐がでる。自らの機嫌が取れないときには、世界的な福祉活動でさえ社会全体が、下の者をみて安心しようとしているのではと思えてくる。あぁいやだ。性善説であればどれ程よかったか。

長々書き連ねたがわたしは充実している。誰より忙しい毎日だろう。幸せも不幸せも目一杯感じて、老いきる前に死んでやろうと思う。

人に読まれることを想定していない、F0の鍵垢のようなものだ。

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