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公開告白

「どこから出てくるかな?瞬くんはどう思う?」


 リキトがどこから出てくるのかを楽しみにしていた梨華は霧斗の一存で瞬のそばにいた。瞬は霧斗がサプライズでリキトになるのを知っている。

 ちょうど制服を脱ぎ始めた霧斗もといリキトが瞬の目に移ったので瞬は梨華に呟いた。


「体育館の入り口にいるぞ」


「ん?どれってあれ霧斗くんじゃん。っていうか何で制服を脱いでるの?」


「さあな!皆!入り口をみろ!」


 梨華が疑問に思って瞬に聞いたところ全体に向けて叫んだ。瞬の言葉にあわせて全校生徒が入り口を見る霧斗たちのクラスメイトも瞬の周りに集まっていた。


「あれって霧斗だよな?何で入り口に霧斗がいるんだ?」


 クラスメイトの一人がそう呟いた。その瞬間霧斗がふとクラスメイトのほう…正確には梨華と瞬を見て微笑んだ。そして霧斗は変装を解きリキトの姿になった。そして爽やかな声で言った。


「こんにちは!リキトだよ!!もう前奏始まってるから早速聞いてね!!」


 その声を聞いたクラスメイトから驚きの声があがる。


「なあ…もしかしてリキトって篠宮霧斗じゃないよな?」


「いつもの篠宮君の声と随分違うのだけれど…」


 それを聞いた瞬はクラスメイトにむかって伝えた。


「篠宮霧斗の地声…あれだぜ。いつもの地味な声は変装するためだ」


 瞬がそう言うとクラスメイトたちの視線が瞬に集まった。そして代表して梨華から一言。


「ねぇ瞬くん…もしかしてリキトって霧斗くんだったの?」


 瞬は頷き答えた。


「ああそうだ。あの日本一人気YouTuberのリキトは篠宮霧斗だよ」


「なら瞬…一つ聞かせてくれ。俺達はずっと霧斗にきつく当たってきたよな?」


「そうだな。お前たちは霧斗に冷たかったな」


「それじゃ俺達は全国のリキトファンを敵にしたってことなんじゃ…」


「してるな、でも霧斗はそれを公表しなかった。つまり霧斗…いやリキトはお前らが全国のリキトファンに言われないようにずっと耐えてたんだ」


 瞬はきっぱり言い切った。そしてステージ上の霧斗を見た。クラスメイトも黙って見ていた。

 そして終盤に差し掛かり…最後の曲が終わった。


「最後におーい一年一組の皆!ステージにのぼってきてくれ!」


 突然のリキトの言葉に動揺した。瞬はリキトの目を見るとなにかを伝えたいとアイコンタクトで伝えてきたのでクラスメイトたちに言った。


「行くぞ」


 瞬の言葉にクラスメイトはくらい雰囲気でのぼっていった。


「あれっ?皆暗いね?どうしたの?」


 そんなリキトの言葉にクラスを代表して学級副委員が答えた。


「あのさ…俺達…今までリキトに冷たくしてたよな?それで…ちょっと…どんな顔してステージにのぼればいいか分からなくて…」


 その言葉を聞いたリキトは笑った。


「なんだそういうことか!俺さ…そんなことは気にしてないよ。むしろ嬉しかった…あ、Mではないよ?どんなに冷たい言葉であっても声をかけてもらえることが嬉しかったんだ!だからさ、俺はこのクラス…好きだよ」


「ありがとうな…そして…ごめん…」


「だから大丈夫だって」


 その光景を体育館内にいたは眺めていた。そして涙を流していた。この言い合いもまだリキト…いや霧斗にとっては茶番に過ぎなかった。


「鷹野梨華、ちょっと前に出てきてくれる?」


 その瞬間体育館内にいた全ての人の視線が梨華に集まった。梨華はおどおどしているのを見て瞬が励ました。


「梨華ちゃん、呼ばれてるぞ。行ってこい」


 そうして梨華は霧斗の前に出てきた。全校生徒がその光景を見守った。


「俺…伝えたいことがあるんだ」


「伝えたいことって…」


「リキト…いや篠宮霧斗として言う。鷹野梨華さん、俺は君のことが好きだよ。だからさ…梨華さんさえよかったら俺と付き合ってくれないかな」


 その言葉を聞いた瞬間、梨華は涙を流した。


「私も霧斗くんが好きだよ!こちらこそよろしくお願いします!!」


 そうして霧斗と梨華は抱きしめあった。その光景を見守っていた先生や全校生徒、来賓、テレビ局の取材をしていたカメラマンなど、全ての人から拍手がわき起こった。


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