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第八話 結界の説明

説明回です

本日も五話投稿します

このお話は四話目です

 晴明(いわ)く「改築と増築を繰り返した結果」、現在『京都の外を囲っている結界』は、東は比叡山、西は愛宕山、北は鞍馬山、南は宇治川に(およ)んでいる。

 京都市の南半分がすっぽり入っている形だ。


「霊玉の元になっている『(まが)』は、京都駅の南に封じられていた。


 つまり、京都の『中の「(まが)」』ということだ。

 だから、京都の外側の結界から出られない。


 どうやら『(まが)』は霊力を五つに分けてそれぞれの霊玉守護者(たまもり)に向かったようなんだが、佑輝(ゆうき)もトモも京都市を出ていたから『(まが)』には会っていない。

 でも、安倍家(ウチ)にいたヒロのところには現れた。

 この安倍家の結界を破ってな」


 ちょっとくやしそうに晴明(はるあき)が言う。


「だからもし『(まが)』が霊力を得て行動を開始するとしても、京都内で活動を始めるし、そうである以上、京都の外側に展開する結界で京都の外には出られない。万が一があっても、京都の中だけで済むわけだ」


「だけって、それでも大事(おおごと)じゃないですか!!」


 あれ? ――でも。


「…おれ、京都からずっと南の吉野にいたんですけど、『(まが)』、来ましたよ?」


 晴明の説明だと、『禍』は京都から出られないのではないか。

 吉野の自分のところに来たのはおかしいじゃないかと指摘すると、晴明も弘明(ひろあき)も苦虫をつぶしたような顔になった。


「…京都の南の結界は、弱くなってたんだ」

「は?」


 すると晴明は憎々しそうに口を笑みの形にした。こわい。


「昔、南の結界の『(かなめ)』だった池を埋め立てた阿呆がいてな。そのせいで南の結界の維持が難しくなってたんだ。

 南だけが弱いから、京都の龍気が南に向かって流れていくし。

 南だけが弱いから、結界全体のバランス造り直すのもめっちゃ大変だし。

 ホントあのハゲネズミ、いらんことしやがって!」


 怒り出した晴明をまあまあとなだめた弘明が説明を引き継ぐ。


「つまりね。南の結界を他の三カ所の結界と同レベルに引き上げるには、今までの『要』の代わりになるようなものが必要なんだけど、それだけの霊力を持った場所なりモノなりが、未だに見つかっていないんだ。


 現状できてたのは、他の三カ所の結界を崩さず、南は最低限の結界を維持することだけ。


 佑輝とトモのところに向かった『(まが)』は、東と西の結界で防げたけど、南の晃のところに向かった『禍』を止められるだけの霊力が南にはなかったみたいなんだ。おかげで南の結界は破れちゃって、今急遽対応している最中なんだ。


 もしかしたら、東と西にむかった『(まが)』が、南に向かった『(まが)』と合わさって、強力になって南の結界を破ったのかもしれない」


安倍家(ウチ)の結界破るような大きな霊力持った『(まが)』は、ここ数百年出現し()てなかったからなあ」



 困ったように言う二人に、思い当たることがあった。


「もしかして、吉野の結界も白露(はくろ)様の結界も破られたのは、その三つ分の『(まが)』のせいですか?」



 それから、晃は昨日のことを二人に話しだした。


 突然『(まが)』が現れたこと。

(まが)』の姿形(すがたかたち)

 白露が喰われてすぐ消えたこと。



 ふーむ、と、二人は腕を組んで考えはじめた。


安倍家(ウチ)で散らした一つと、吉野に向かった三つは、合流している可能性が高いな」

 散らしただけで消滅()しきれなかったもんな、と晴明がくやしそうに言う。


「だとすると、白露様を取り込んで、どこにいると思う?」

「間違いなく本体が封印されていた場所だろうな。割れた封印石もそのまま置いてあるし。

 動きがないということは、白露様を取り込もうとして苦労しているということか?」

「あれだけの霊力取り込むなんて、すぐにはムリだろう」

「うん。だから、しばらくは動きがないとみていいと思う。今のうちに、何とか対策を立てないとな…」



 二人の話す内容から、白露が死んでいないということは確実なようだった。

 それでも、現在どのような状態なのかはわからない。

 無事でいるのか。取り込まれ、消滅する寸前なのか。

 最悪の事態からは脱したけれど、未だ予断を許さない状況に、白露の生存を手放しに喜ぶことはできず、晃はうつむいた。



 二人の話を黙って聞いていたが、ふと、疑問がわいた。

「…あの」

 会話が切れたと思われるところで、おずおずと晃が口をはさむ。


「ちょっと気になったんですけど」

「何?」

「東と西の人と、弘明さんは無事だと聞きましたが…。その、もう一人、いますよね?」


 東の佑輝、西のトモ、弘明、そして自分。


 霊玉は五つだと、霊玉守護者(たまもり)は五人だと、白露は話していた。

 そのことを指摘すると、弘明が苦しそうな顔をしてうつむいた。

 眉をよせた晴明が、悲しそうな笑顔で教えてくれた。


「もう一人は――ナツは、行方不明なんだ」




 重くなった空気を断ち切るように、晴明がパンと手を打った。


「とりあえず、晃の話は聞いたから。ごはんにしよう!」


 その言葉にハッと弘明が顔をあげる。次の瞬間には元の笑顔に戻っていた。

「そうだね! それに、晃にここのことも説明しないと! よし、移動するよ! 晃」

 すっくと立ちあがると、置いたままの晃の靴を持ってくれる。


「荷物持ってついてきて。ハル、(あき)さんにごはんの仕度はじめてもらって」

「りょーかい」


 行方不明ってどういうこと? と聞きたかったが、二人にうながされてあれよあれよと移動することになった。

 今までの部屋を出ると長い廊下が続いていた。そこを端までいくと玄関があり、弘明が靴をそこに置いた。

 出してもらったスリッパを履いて二階に上がると、長い廊下の両側に扉が均等についていた。


「ここは安倍家所有の離れのひとつでね。合宿所みたいな感じで使ってるんだ」

 弘明が説明してくれる。


 今現在いるここは京都市の北西部、北山にある安倍家の敷地の中であること。

 少し離れた場所に、本家といくつかの離れとなる建物があること。

 この離れは現在誰も使っていないので、当面の間、霊玉守護者(たまもり)と晴明で使うこと。

 晃もしばらくここで寝泊まりするように言われ、了承する。


 何で一条戻り橋にいたはずなのに北山でタライに足を突っ込んでいたのかと聞けば、一条戻り橋下には転移陣が仕込んであり、タライの中に描いた転移陣とつながっているのだと教えてくれた。


 つまりあの赤ん坊達は、晃を川に突き落としたのではなく、晃を転移陣に入れ、北山の安倍家に連れてきてくれたということらしい。



「転移陣って何?! それにあの赤ん坊達は?」

 わからない単語が次々と出てくる。


「転移陣は文字通り人やモノを移動させる陣だよ。どんなものかはちょっと見せられないけど。

 もちろん誰でも使えるわけじゃなくて、術者が許可したものしか使えないよ。

 今回晃は、ハルが使用を許可した式神が一緒だったから通れたんだよ」


 ここがトイレ、ここが洗面所、と教えてくれながら弘明が話してくれる。


「式神って、あの赤ん坊達のこと?」

「そうそう」

 晃が何も知らないことに弘明も気付いたらしい。


「聞いたことない?」

 弘明がいたずらっぽく笑って言った。


「ぼくたち、陰明師(おんみょうじ)なんだよ」

次話は本日21時投稿予定です

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