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第十四話 裏事情

説明回です

本日五話投稿しています

このお話は五話目です

「現在の状況だが」

 ふうっと息を整え、ハルが続ける。


「まず、『(まが)』の封印が解けた原因は判明している」


 ショベルカーが封印石を割ったらしい。

 ただ、それが偶然なのか故意なのか、何者かの思惑があるのか、それがまだわからない。


「正直、安倍家(あべけ)内部もどこまで信用できるのかわからないんだ。

 だから、安倍家からお前達霊玉守護者(たまもり)と接するのは、僕と、僕の両親、ヒロの両親に限定する」


 安倍家の現当主であるハルの祖父でも会わせない。という言葉に、(こう)は驚く。

 現当主は南の結界再構築の陣頭指揮をとっているとのことだ。


「僕らの両親は四人とも能力者じゃない。だから他の安倍家の人間と陰明師の仕事では関わっていない。

 だが、赤ん坊の頃から僕らのことを見ているから、霊玉守護者(たまもり)のことは知っている。

 なにより、信用できる。

 僕らの親は、絶対僕らを守ってくれる」

 ハルのその言葉に、ヒロも、明子も力強くうなずく。


 なんて強い絆だろう。

 晃はうらやましくなった。

 自分は、と考えたときに、すぐ頭に浮かんだのは白露(はくろ)だった。

 うん、自分も白露様を裏切ることは絶対ないし、白露様はおれを守ってくれるって信じられる。



「こんな話もここだからできるんだ」


 そう言ってハルが説明してくれた。

 晃が最初にタライに足を突っ込んでいた部屋と、この部屋には、ハルによる特に強力な結界が張ってある。

 そのためたいていの者では侵入することができない。


「式神使って話を見聞きするのなんか、陰明師にはできて当たり前だからな」

 さらっとこわいことを言われ、思わずきょろきょろと辺りを見回してしまう晃だった。




「で、佑輝(ゆうき)とトモだ」

 やっと話が元に戻った。

 晃がひとつうなずくと、ハルが話を続ける。

「あの二人は、もう能力者として活動しているんだよ」


 佑輝の家は刀鍛冶。特に魔除けや退魔の力のある刀を打ち出すことで有名だという。

 刀を打つだけでなく、自ら退魔も行う。

 佑輝は霊玉守護者(たまもり)なだけあって霊力も能力も高く、祖父や父と共にすでに実戦に出ている。


 トモの祖父は有名な退魔師で、その祖父に育てられたトモも幼い頃から実戦を経験している。


 幼いのに実戦に出ている二人は、京都の能力者の間ではけっこう有名らしい。


「そんなやつがこの非常時にいきなり安倍家に来たら『どうして?』ってなってしまう。

 京都はせまい街だが、だからこそか、人間関係はメンドクサイからな。

 あっちに筋通せ、こっちに話しろって、うるさいヤツが多いんだよ」

 心底めんどくさそうに言うハルに、ヒロも明子もうんうんと同意している。都会はなかなか大変そうだ。


「そこで、僕の父だ」

 ハルの父は、安倍家現当主の一人息子。それなのに霊力がほとんどない。

 一般人よりも少ないと聞いて、晃は驚きを隠せない。

「霊能力的な案件では全く使えないが、弁護士だから、対人間との交渉事では有能なんだ」

 そしてそのことは、京都ではよく知られている。


「つまり、こういうことだ」

 ハルが描いたシナリオを披露してくれる。


 能力者としては使えないが交渉役としては使える安倍家当主の息子が、佑輝の、トモの家に依頼に行く。

 現在安倍家では能力者総動員で事態の収束に向けて取り組んでいる。

 しかし、肝心の『(まが)』の退魔あるいは封印となると、どうしても霊力が足りない。

 そこで、佑輝に、トモに、助力を願えないだろうか。

 どちらの家も退魔の能力が高いことで有名だ。

 依頼を受けて退魔に赴くことはよくあることだ。


 現当主も現場から離れられないほど全力で対処している安倍家の、事態収拾には全く協力できない「霊力なし」の当主子息が、当主の命を受けてわざわざ頭を下げに来た。


 これで、対外的には収まるし、佑輝もトモもすんなり安倍家に来られる。

 安倍家からはヒロを出す。ヒロも幼い頃から実戦を重ねているので、能力の高さは有名だ。

 その三人の連携をとるため、北山の安倍家で合宿する。という筋書きだそうだ。


「幸いトモの家の結界はめちゃくちゃ強力だし。

 佑輝は今日の夕方まで京都を離れている。

 だから晃をひろったあと、トモん家行って、今日の夕方佑輝ん家行けば、まあ大丈夫だろうということになったんだ」



 晃はまだ能力者としてはデビューしていないので、京都の能力者で存在を知っている者はいなかった。

 だからこそ、京都駅まで自力で来させ、ハルの父と京都駅で合流したあとはずっと彼と行動を共にし、内密に安倍家に入る予定だった。


 しかし、ハルの父が京都駅に行けなくなった。

 今朝になって、行方不明のナツのことで動かないといけなくなったためだ。

 動かせる他の三人、ハル母、ヒロ父母は、それぞれ仕事の調整などで動けない。

 ヒロやハルが迎えに行くのは悪手だ。この非常時に次期当主とその右腕がわざわざ連れてきた少年なんて、怪しんでくれというようなものだ。

 しかし晃はもう電車に乗ってしまった。


 ならばどうするか。

 一条戻り橋の転移陣を使うのは、苦渋の策だったのだ。



「春休みに入ったし、中学生が一人で歩いていても『あ、親戚の家にでも来たのかな』『一人でエライな』くらいにしか思われないだろう。晃は京都(こっち)では知られていないし。

 一条戻り橋の転移陣動かしたのは、わかるやつにはわかるだろうけど、非常時で僕が式神使役し(つかい)まくってることも知られているから、まあ、何とかごまかせるかな、と」


「北山の離れのまわりにも結界張ってあるし、晃を召喚したあの部屋は特に高いレベルの結界張ってあるし、晃が僕らといることは、京都の能力者には知られていないと思う」


 多分、と二人が、少し自信なさそうに言う。

 世の中に絶対はないとわかっているからこそ、万全を期すし、不安にもなるのだろう。



 晃がのん気に昼寝をしている間も、二人は晃から聞いた話をもとに予測を立て、今後の対策を考え、関係各所に連絡をとっていた。


「おれが寝ちゃったせいで、トモの家? に行けなかったんだね。ごめん」

 しゅんとした晃に、ハルもヒロも「違う」と言ってくれる。

「どのみちあの時間から出ていたら、逆に佑輝のところが間に合わなくなる。

 トモの家の結界は強力だから、明日でも大丈夫だ」

「ぼくらも晃の話をもとに話し合う時間が欲しかったんだよ。だから問題ないよ。大丈夫」


 二人の言葉にほっとしていると、どこかの扉が開く音がした。

本日も説明ばかりのお話にお付き合いいただきありがとうございます。

説明がひと段落したので、投稿ペースを少しおとします。

次話は明日9時投稿予定です。

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