ダンジョン
さて、やって来ました初ダンジョン!
お父様情報によれば、此処はこの辺りで一番大きなダンジョンで、52階までは確認済みだとか。
ダンジョンの前には大きな門が有り、ギルド所属の門番さんが数人交代制で警備していました。
「入るのにギルドカードが必要なんですか?」
「ああ、生存確認の為にな、それも有って無料で作れるようになってるんだ」
「なるほど」
歩いて門に向かいながら、お父様が色々な決まり事を教えてくれます。
「5日経っても戻らない場合は向こうの掲示板に張り出される。反対の掲示板には捜索依頼だ。依頼を受ける必要は無く、救助して戻ればその報酬が受け取れる。また、捜索依頼が出ていなくても、救助すればギルドから一定額が出るぞ」
「しっかりとしたシステムが出来ているのですね」
「それだけ、帰らない冒険者が多いって事だ」
「そう、ですか…」
「冒険者は自己責任だ、見極めを誤ると自分の命で償う事になる。油断するなよ」
「了解です!」
態と明るく振る舞えば、お父様もニヤリと笑いました。入る前から暗い雰囲気はダメです!
「ダンジョンの警備はもう一つの意味が有る」
「もう一つ?」
「"湧き"の警戒だ」
「ああ…」
ダンジョンが溢れれば周りへの被害は甚大ですからね。
「サーラの話の通り、最近は魔物が増えている。此処も例外じゃないかもしれないな…」
硬い表情でダンジョンの門を睨むお父様のその大きな手をギュッと握ってニヤリと笑います。
「とっても、儲かりそうですわ」
「はぁ〜、程々にな」
お父様、最近溜息が増えてないですか?幸せが逃げちゃいますよ?
微笑ましげに見る門番さんと心配顔の門番さんに見送られて、私とお父様はダンジョンの門を潜り抜けました。
中に入ると狭い空間にそれなりの人数が居て、パーティー毎に階段を下りていきました。




