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転生するのも楽じゃない!  作者:
第三章 王都
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ギルドにて2

 目の前のテーブルに"てまり"と"一心"を用意します。"てまり"は優しいピンク色の和薔薇で花びらが幾重にも重ねられたドレスに見えます。"一心"は紅に近い色で形良い花弁が重なり艶やかな大人の雰囲気を醸し出しています。


ポーチから小さな虹色の魔石を取り出し、手に取った指輪に魔力を流して埋め込みました。防呪の指輪の完成です。



「……虹色の魔石をガラス玉でも扱うようにサラリと加工するなんて…」


「カイル殿!何て物を子供に渡してるんですか!!」



デレクさんとカスペルさんは驚きと呆れを通り越して何故かお父様に詰め寄っています。



「サーラ嬢ちゃん、その魔石はまだ有るのかい?」


「虹色は売らないですよ」



買取主任のダンテさんが聞いてきますが、虹色は売らないのです。



「うーむ、三色なら売ってくれるのか?」


「何をどのくらいですか?」



何やら依頼でもあるのでしょうか?



「出来れば水と風の上級魔法を付与した魔石が欲しいのだが…」


「使用回数は?」


「そうだのぉ、10回、は無理か…5回以上が無難かの…」



上級の攻撃魔法って…かなり物騒な物なのですが…



「うーーん、それって虹色より難しいと思いますよ?」


「まぁ、そうだろうなぁ」



そもそも、魔石と言うのは魔物の心臓的な役割の物で、魔物を倒すと必ずドロップします。なので、入手は割と簡単で一般に出回っています。小さな物は魔道具などにも使われていて、動力として使う分にはそのまま魔道具に嵌め込むだけで使えます。


ただ、これだけだとすぐに魔力が切れてしまうので、魔力を充填するお仕事が有るのです。

魔石屋と言われるお店が有り、魔力の余った魔術師などがバイト感覚でフラッと寄って充填してお小遣い稼ぎをしたりします。勿論お抱えの人間も居ますが、それだけでは賄えないのも現状みたいです。


また、貴族や商人などは魔力が多い人間を雇っている為、充填を外に依頼する必要はないそうです。


 ここまでは黒いままの魔石の話しで、魔石に効果を付与するとその属性の色に染まります。この時に込めた魔力の量で輝きが一色、三色、虹色に変化します。一色はピカーっと輝き、三色はキラキラキラと輝きが三色に変化します。虹色の魔石はオーロラのように帯状の光を紡ぎ出しています。


で、この付与を行ってしまうと充填に制限が付いてとても難しくなります。


その条件ですが、

第一に、魔石に付与されている魔法と同じ属性の魔力である事

第二に、魔石にフル充填出来る事(フルで充填しないと半分以上の魔力が流れ出てしまいます)

第三に、魔力の質が付与した人より上質である事(魔力にも個々の質が有り、その質が付与した人以上でないと弾かれて充填ができない)


この三点をクリアしないと充填ができないのです。


この事から使い勝手で言えば、入手が簡単で安く少ない魔力で充填が行える一色の魔石が使いやすいのです。


三色は攻撃魔法の付与に適していて、上手く付与出来れば上級魔法も数回使える魔石になります。

まぁ、回数に比例して質・大きさ共に必要になるのですが…


どうせ高額な充填料金を払うなら三色に入れてもらった方が長持ちするという理由からダンジョンなどで使う人には一色より好まれ高額で取引されています。


そして、虹色魔石はごく稀にダンジョンで見つかるだけで、また、内包する魔力量も膨大で長持ちする事から再充填は難しいものの、その価値は膨れ上がり……


うん、話を戻しましょう。

色々考えてみても、三色の魔石で上級魔法5回以上とか…無理ですからね!私が家の結界石に利用した両手で持つほどの大きさの魔石なら10回程度余裕で付与出来ますが…ソレ持ち歩くの大変ですからね!和薔薇のブローチに使った虹色魔石でしたら中級攻撃魔法ではなく上級も可能でしたが、虹色は売りませんよ。



「何にお使いになるかお聞きしても?」


「ああ…実はなナルニィのダンジョンが溢れた時に地上に出てきた魔物がナルニィと王都の間にある森に住みついてしまってな、討伐依頼を出しているのだが数が多くSクラスの魔物も3体ほど混ざっているから思うように進まなくてな…」


「それで上級魔法付与の魔石ですか?」


「ああ、貸し与えれば少しは何とかなるかと思ってな。このままだと南からの品物がストップしてしまうんじゃよ」



本当に困っていると言った顔で教えてくれたダンテさんですが、いくら私でも出来る事と出来ない事が有るんです。そもそも、そんな付与をしたら…



「三色で上級魔法5回以上なんて、特大の魔石でもないと無理ですよ」


「やっぱりそうか…」



そうですよ、そんな魔石は持ち運びにとっても不便ですからね。



「まぁ、魔物を狩れば良いのでしたら…」


「俺たちで良ければ行ってくるが?」



私とお父様の言葉に驚くギルドの面々。



「カイル殿!じ、冗談ですよね?」



カスペルさんの狼狽た声になんだか可笑しくなって笑ってしまいました。



「おいおい、俺たちは冒険者だぞ」



尤もなお父様の言葉ですが、皆さん"今、思い出した"って顔をしています。









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