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5話 魔法実技

 入学式の翌日、私たち1組は魔法実技の授業のため校庭に集まっていた。


 授業開始時間ぴったりに、ローリィー先生がやってきた。


「あー、全員おるな? では、これから魔法実技の授業を始める」


 ローリィー先生が杖を一振りすると、その辺の木材が動き出し、(まと)みたいなものを作った。

 やっぱりいつ見ても魔法ってすごいな。


「今日やるのは初歩的な魔法、『ファイアボール』じゃ。火を作り出し、それを操作してまとめ、打ち出すと、ファイアボールは魔法のいろはが詰まっておる。

 まぁ、習うより慣れろとも言うのでな。とりあえず5メートル先から各々打ってみろ。ワシが随時教えていってやる」


 ずいぶん投げやりな授業だ。

 大学の教授にも何人かこんな感じの人いたな。


 みんな的から5メートルほど離れたところで列を作ると、一人一人ファイアボールを打っていった。でも、的までファイアボールが届く人はほとんどいない。


 そして、ローリィー先生はその一人一人に結構しっかりアドバイスをしていた。


「ユリーナちゃん、なんか緊張してきますね!」


 リリーはそう言いながらどこか楽しそうだった。

 冒険者になるなら魔法は使えた方がいいし、実際楽しみなんだろうな。


「リリーは魔法って使えるの?」


「水を出すだけとかならなんとか。でもファイアボールなんて攻撃性高いのは初めてです!」


 なるほど。

 確かにファイアボールなんて日常じゃまず使わないし、練習するにも危険だもんな。

 クラスメイトに的まで届く人が少ないのもそういうことなんだろう。


 そして、列は進んでリリーの番がやってきた。


「よし、いきます!」


 リリーは杖の先を的に向けた。

 そして、杖の先に火がつくとそれは球体へと形を変えていった。


「ファイアボール!」


 リリーの合図とともに、火の玉は一直線に飛んでいき、的に当たった。


「やった! やりましたよユリーナちゃん!」


「うん! すごいよリリー!」


 これクラスで一番すごいんじゃないか?


「ふむ、お主なかなか筋がいいの。杖との親和性も高そうじゃし、その年でこれなら期待が持てる。今後も頑張るのじゃ」


 ローリィー先生も大絶賛だった。


 さて、次は私の番だ。


 とりあえずリリーの真似をして杖を的に向ける。


「たしか、火を起こしたいと思いながら杖を介して魔力を流して……」


 魔力の操作っていまいちわからないんだけど、雰囲気で力を流す。

 すると、杖の先に小さな火がともった。


 やった! 火がついた!


「……あ」


 内心喜んでいたら、すぐに火が消えた。


「うむ、なんとなくじゃが、お主は魔力操作というよりは杖との親和性に問題がありそうじゃの」


「親和性……?」


 それってどうやれば良くなるんだ……。


 あ、そういえばリリーさっき親和性が高いって言われてたよな。聞いてみよう。


「ねぇ、杖との親和性ってどうやって高めたの?」


「親和性ですか? 関係あるかはわかりませんけど、昨日は一緒のベッドで寝てましたよ! あと、名前をつけてあげました!」


 おぉ、なんかすごい事してるな……。


「ちなみに、どんな名前つけたの?」


「エカチェリーナです!」


「結構しっかりつけてる!」


 もっと可愛らしいやつかと思ってたぞ……。


 でもそれで親和性が上がるならやってみようかな。


 杖の名前……そのままツエとかにしたら流石にあれだもんな。英語にしてロッド……も捻りないし……。


「うん、ロットにしよう」


 大して捻ってないけど、まあツエとかロッドよりはマシだと思っておこう。


「ロット! いい名前ですね!」


「うむ、悪くはないのではないかの」


 2人にもそこそこ好評だし、よしとしておこう。


 後は夜一緒に寝る……は、親睦を深めるって事だよな。

 今できることといえば、


「じゃあよろしくね、ロット」


 私は杖にそう語りかけて軽くキスをした。


 これで前よりは親睦深まってるだろう。


「あ……」

「お、大胆じゃの」


 大胆ってなんだ大胆って。反応おかしいでしょ。


「ま、とりあえずもう一回やってみろ。

 そうじゃ、ワシからのアドバイスじゃが、杖を上に向けてやってみるのも手じゃぞ。人によって魔力を出しやすい体勢も違うのでな」


「はい、分かりました」


 言われるがまま、杖を空に向けた。

 そして、前回同様杖に魔力を伝えていく。


 ……お、なんとなく今回は上手くいってる気がするぞ!

 身体中の力がこう、ワァーってなってる!


「お、おい、ちょっと待つのじゃ! やりすぎじゃぞ!」


「ユリーナちゃん、上見て上!」


 私が杖に集中していると、隣の2人が何やら騒ぎ出した。


 上?


 言われるがまま私が上を見ると、そこには5メートルほどの巨大な火の玉が……


「って何これ!?」


「ユリーナ! 今すぐ引っこめるのじゃ! こんな物打ったらただじゃすまん!」


 引っこめろって言われても……


「……わたし、引っ込め方とか知りません。というか、もうキープするの限界かもです」


「なっ! 分かった、じゃあせめて的の方に打つのじゃ! 後はワシがなんとかする!」


「はい! ありがとうございます!」


 私は杖を思いっきり振り下ろした。


 ──────チュドーン!!!


 そんな、テレビでしか聞かないような爆発音とともに、目の前が爆散した。


 うわぁ、これはやっちゃったな……。

 後で反省文とか書かされ…る……のかな……。


 そんなことを思いつつ、私の意識はそこでなくなった。

上手く入れられませんでしたが、爆発の影響が生徒に及んでないのはローリィー先生がバリアを張ったからです。

ローリィー先生はただのロリではないのだ!

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