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1話 間違ってるよ!

 こうして、私は異世界に転生したのだった。


 ─────────


 というのが、今から10年前の話。


 無事異世界に転生できた私は現在、ロール家の一人娘のユリーナとして生きていた。


 ちなみにロール家は貴族で、爵位は伯爵らしいから、それなりにお金のある家だ。

 結構な高待遇だけど、天使さんなりの気遣いなんだろう。


 気遣いついでか、容姿もなかなか良かった。

 金色の髪は絶妙なゆるふわカールで、青い目は大きく宝石のようにキラキラしている。

 漫画の世界の人がそのまま出てきたような容姿だ。


 自分でこんなに褒めるのもどうかとは思うけど、前世があったせいであんまり自分の体って感じがしないんだよな。


「まあ、奴隷とかじゃないわけだしなんの文句もないけどね」


 むしろ感謝しかない。

 転生する前にちょっと怖いとか思ってしまったのが申し訳ないくらいだ。



 ……そう、容姿と環境については、文句は一切ない。でも、文句がないかと言われると、決してそんな事はない。


「ステータスオープン」


 小さくそう呟くと、私の目の前に半透明のステータスウィンドウが表示される。


 ▼△▼△▼△


『ユリーナ・ロール』

 種族 人間


 Level 1


 HP18/18

 MP59/59

 攻撃11

 防御8

 素早さ7

 知力36


 スキル

 自動発動型魅了(女性対象)


 ▼△▼△▼△


 一応ステータスは一般より若干低い部類に入るんだけど、この際それはどうでもいい。

 私が文句を言いたいのはただ一つ。


「私は女だよぉぉ!!」


 女なのに女性を対象に魅了するって!


 多分、天使さんが前世での私の姿から男だと勘違いしたんだろうな。

 まあ普通間違えないけどね! 間違えないよね!


 でも文句を言ってても仕方ない。


 幸か不幸か、ここまで箱入りで育てられてきたから被害は出てない。

 お母様とメイドさんの反応を見る限り、そんなに絶大な効力はなさそうだもんな。


 それに、女の子に好かれるのは悪い気はしないし。


「うん、大丈夫!」


 私は自分に言い聞かせるように呟いた。

 でもやっぱりどこか気分は落ち着かない。


 だって天使に男と間違われたんだからね。一女子として気になるところはある。


「こういう時は日記でも書こう!」


 私は10歳の子供に与えるにはかなり立派な勉強机に座ると、日記帳を取り出した。


 この日記は8歳の時から付けだしたもので、こっちの世界の言葉と日本語の二種類の言語で書いている。


 別に日本語を忘れたってなんの不自由もないんだけど、せっかくだし覚えておきたいんだよね。

 でも気を抜いたら日本語忘れそうだし、こうして日記で記憶を残している感じだ。



 そうして徒然なるままに日記を書き出して5分ほど経った頃。


「お嬢様、晩御飯のご用意ができました」


 扉の向こうからメイドさんの声が聞こえてきた。


「分かりました、今行きます!」



 食堂にいくと、すでにお父様とお母様が座っていた。

 うちは貴族っぽい厳しいしきたりとかがないから基本的に食事は家族団らんなんだよな。


 ちなみに、お父様はダンディで大人な格好良さがあるし、お母様はさすが今世の私の親なだけあって絵に描いたような美人。

 それにお父様もお母様もかなり優しくて、自慢の両親だ。


「お父様、お母様、お待たせしました」


「いや、全然構わないよ」


「ええそうよ、さあ、早く食べましょう」


 私は急いで食卓につくと、家族全員でいただきますと言って食事を始めた。


「そういえば、ユリーナももう10になっているのだな」


「はい、そうですよ」


 突然のお父様からの年齢確認に若干戸惑いながらも頷く。


「ふむ、ならばそろそろ学校に通いだしてもいい頃合いではないか?」

「ああ、それもそうですわね。お部屋で熱心に言葉の勉強もしているようですし」


 おぉ、あの勉強バレてたのか……。

 どの世界でも母親に隠し事って難しいんだな。


 というか、今ちょっと予想外の言葉が出てきたぞ。


「学校……ですか?」


 この世界にも学校とかあるのか。


 いや、そりゃあるか。現代日本よりは文明発達してないけど、それなりに文化的な生活は送れてるわけだし。


「ああ、学校だ。勉強に興味がないわけではないのだろう?」


「はい、それはまあ」


 昔から分からなかった事が分かるようになる感覚が好きだったから、勉強はさほど嫌いじゃなかったんだよな。


 まあ転生してからは箱入りだったからやる事なくて惰性でやってた感もあるんだけどね。


「だったら学校には行った方がいいだろう。君はどう思う?」

「ええ、私もあなたの意見と同じですわ。可愛い子には旅をさせよとも言いますものね」


 あ、これもう行かざるを得ない流れだな。

 まあでもこのまま生涯箱入りってわけには行かないし、学校で社会勉強をしておくのも重要だろう。


「お父様とお母様がそうおっしゃってくださるのなら、通わせていただいてもいいですか?」


「うむ、構わないぞ! ちなみに試験はユリーナが以前解いていた問題集を送ったら普通に通過したぞ! 入学手続きはバッチリだ!」


 そう言って一枚の紙を取り出しながら「アッハッハ」と笑うお父様。


 行動力ハンパないね。


「あら、この学校私が昔通っていたところですわ。全寮制の女子校でしたわよね」

「ああ、ユリーナに変な男が付くと困るからな。君と同じ学校ならそんな心配もないだろうと思ったんだよ」

「もう、あなたったら」


 急に娘の目の前でイチャイチャしだす両親。


 え、ちょっと待って。


「全寮制なんですか?」


 高校も大学も実家通いだったからね。

 寮ってあんまり馴染みがない。


「ああ、そうだぞ」

「私でもなんとかなったんですもの。ユリーナならきっと大丈夫ですわよ。それに、可愛い子には旅をさせよですものね」


 お母様、『可愛い子には旅をさせよ』って言えばなんとかなると思ってません?


 まあでも入学手続きまでしちゃってるなら今更断るのも迷惑だよな。

 それに、いちいち学校まで時間かけて移動しなくていいならちゃんと勉強もできそうだ。


 うん、ポジティブにいこう!



 というわけで、私の学校及び寮入りが決定したのだった。

幼児編も作ってましたが、よくよく考えたら必要性を感じなかったので全カットしました!

早い事学園に入れてイチャイチャさせたい……!

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