最終話
「わ、分からないって、どういう事なのですか、お父様!」
答えを見て、ロットは叫んでいた。
そりゃ、自分が家出までした理由を『分からない』は、ショックだよな。
「いや、むしろ、どういう事はこちらのセリフだ。お見合いなら、すでに破談にしてあるぞ」
「「「え……」」」
破談……? 要は、ロットはお見合いなんてしなくていいってことか?
「まさか、お見合いが家出をするほど嫌だとは思わなくてな。嫌よ嫌よも好きのうち、というだろう。そんなものだと思っていたんだ」
「い、いや、でも、それならなんで私を追ってきたんですの?」
「そりゃ、子供が家出すれば追うだろう。親なんだから」
まあ、そりゃそうだな。
中には放任主義の親もいるだろうけど、大半の親は余程の事情がなければ連れ戻すために追うだろう。
「それなら、お父様のいう会いたがってる人とは……?」
「母さんだよ。お前が家出してから会いたい会いたいと毎晩泣いているのだ」
「……それ、早く言ってくださいませ」
これは、お父さんの言葉が足りてないな……。
普通にお見合い相手が会いたがってると思ってたぞ……。
「というか、お前が家に帰りたくないのはお見合いがあると思っていたからなのだよな?」
ふと、お父さんが確認するようにロットに聞いた。
「ええ、そうですわよ?」
「ということは、お見合いがなくなったのだから帰ってきてくれるのか?」
たしかに、そういうことになるな。
寂しいけど、ロットが帰ると言うのなら、止めるつもりはない。
「たしかに、そうかも知れませんわね」
「それじゃあ、帰ってきてくれ───」
「でも、やっぱり帰るわけには行きませんわ」
ロットははっきりとそう言った。
「な、なぜだ……?」
「それはもちろん、ユリーナ様を愛しているからですわ!」
おぉ、なんとなく察してたけど、ストレートに言うなぁ……。
ちょっと恥ずかしくなってくるぞ。
──────
その後、お父さんをなんとか追い返した私たちは、部屋に戻ってきていた。
まあ、なんとかって言っても、勝負には勝ってたわけだし、意外とすんなり帰ってくれたんだけどね。
「つかれたぁ〜」
部屋に帰って早々、ベッドにダイブ。
何気にしてた緊張が、ゆっくりほどけていく。
「お疲れでしたら、わたくしがマッサージして差し上げますわ! さあ、全身をわたくしに預けて!」
「いや、遠慮しておこうかなぁ」
マッサージ自体はいいけど、ロットの目がなんか怖かった。
あれは、マッサージ以上の何かをしようとする目だ。
「じゃあ私の魔力譲渡はどうですか? 疲労回復はもちろん、美白や腰痛、あかぎれにも効果があると話題で」
なんだその温泉みたいな効能は……。
「あ、それでしたらわたくしもキスすれば精霊パワーでなんとか出来るかもしれませんわよ!」
精霊パワーってなんだ……。
「どっちも大丈夫、寝れば治るから」
「あ、でしたらわたくしも一緒に寝ますわ!」
「あっ、ずるい! 私も!」
二人が、私を真ん中にして、ベッドに潜り込んできた。
「ちょっ、狭いから! 隣にもベッドあるじゃん!」
「この狭さがいいんですわ」
「ユリーナちゃんのいい香りがこんな近くに……!」
なんかリリーが変態みたいになってるぞ!
「まったくもう……」
私は軽くため息をついた。
多分この二人は何を言っても退かないだろうし、もういいか。
それに、嫌かと言われると、案外そうでもないし。
「ユリーナちゃん、どうかしました?」
ついぼーっとしてたところを、リリーに心配された。
「いや、こんな生活も悪くはないかなぁと思ってただけだよ」
「おぉ、ついにユリーナ様が身も心も許してくれましたわ……!」
「身は許してないよね!」
「あ、じゃあ今晩から一緒のベッドで寝ますか?」
「なんでそうなるの!」
この二人は本当にもう……!
まあ、でもこんな日々もありかな、なんて、騒がしい二人に囲まれながら思う私でした。
これにて、完結となります!
ありがとうございました!
追記
一話だけですが番外編もございます。
よろしければお読みいただけると嬉しいです!




