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10話 いい人って損な役回り多いですよね

 どうもこんにちは、ユリーナです。休日にも関わらず、私たち107号室組とローリィー先生は洞窟に来ております。


 なぜこんなことになったのか。

 それは、一昨日のあの夜に遡らなくてはなりません……。



 ──────


「すまん、まさか学園長がでてくるとは完全に予想外じゃった……」


「い、いや、認識阻害かかってるんですよね……?」


 自信満々だったし、ローリィー先生は結構すごい魔法使いらしいから簡単にはバレないはずなんじゃ……?


「一応かかってはおるんじゃが、結界とかの小手先の魔法は学園長の方が上じゃ。それに、一直線にこっちに向かってきておるからな。多分バレた」


「それってまずいですよね……?」


「うむ、正直最高峰にまずいのじゃ。ワシは減給、お主らは反省文と学校への奉仕活動といったところかの」


 うげ、また反省文書かなきゃいけないのか……。


「しかも、今回は500文字なんかではない。少なくとも5000、多ければ10万とか書かされるかもしれぬぞ」


 それは嫌だ!

 10万字とか普通に本出せるレベルだよね!?


「ど、どうにかなりませんか……?」


「どうにもならんじゃろうなぁ……。あれはかなりの堅物で有名じゃし」


「そんな……」


 入学から数日でこんなに反省文を書くことになるとは……。

 人生っていろいろあるね!


 私が軽く絶望に浸っていると、学園長はすぐそばまで来ていた。


「何か不思議な魔力が出ていると思って来てみれば、またローリィーか」


 学園長は少しあきれた様子だった。


 またって言ってるしローリィー先生いままで何をやらかして来たんだ……。


「今回は何をしているんだ?」


「んー、なんじゃ、ちょっとした魔法の実験じゃよ」


「生徒まで巻きこんでとは……相変わらずだな」


「フハハ、そんな褒めんでもよいじゃろ」


「褒めてないぞ! 全くもって褒めてはいない!」


 うん、褒められてませんよローリィー先生!


「冗談じゃよ、冗談。ほんと堅物じゃの」


「ローリィーが適当すぎるだけだろう!」


 なんだろう、見てて学園長が可哀想に思えて来たぞ……。


「ってそんな事はどうでもいい! 別にローリィーが今更何をしでかそうが特段驚きもしない。そこだけは信用しているからな」


 うわぁ……嫌な信用だなぁ……。


「とにかく夜中に無断で校庭を使用したんだ。然るべき罰則は受けてもらわなくてはならない」


 あ、話が逸れてるからなんとかなるかもとか思ってたけど、やっぱりダメか。

 反省文は何文字になるのか、そこが重要だ。


「ローリィーは1週間分の減給、後ろの3人は2万字の反省文と校庭の草むしりだな」


 2万字か……多いけど、まだマシな量かな。


「お、よかったなユリーナ。マシな分量じゃぞ」


 はっきりマシとか言わないでもらえません!? そんな事言ったら───


「マシ……? ではもっと分量を増やしておくか?」


 ほらぁ! こうなる!


「私は別にマシだなんて思ってないので! これ以上増やすのはご容赦を……!」


「ハッハッハ、分かっているよ。君もローリィーに振り回されているたちだろう。うん、本当によく知っているよ……」


 伏し目で気力なく笑う学園長。苦労人の目をしていらっしゃる……。


「それに、ぶっちゃけるとしばらくは忙しくて反省文の分量が多いと正直読み切れる気がしない」


 それはぶっちゃけすぎじゃありません!?


「……ん? というか君、ユリーナというのか?」


「え、はい、そうですけど」


 突然名前なんて確認してきてどうしたんだ?


「というと、初日から校庭を破壊したというあの……」


 うっ、その覚えられ方嫌だな……。まあ仕方ないんだけど。


「その件は本当に申し訳ないです……」


「あー、いや、見ての通り傷一つなく直ったわけだ。それに悪気があったわけではないのだから、咎めるつもりは毛頭ないよ」


 薄々感じてはいたけど、この人めっちゃ良い人だ!

 真面目すぎてローリィー先生にからかわれるから残念な人って感じになっちゃってるけどね……。


「それよりも、君がユリーナで間違い無いんだね?」


 学園長の問いかけに、頷いて答える。


「うん、よし、それなら反省文と草むしりは取り下げてあげても良い」


「え! 本当ですか!」


 2万字が無くなるのは結構でかいぞ!


「ああ、そのかわり、私から一つ依頼をさせてほしい」


「依頼、ですか……?」


 ─────────




 その依頼というのを受けた結果が、今のこの状況だ。


 学園長からの依頼というのは、街のそばにある洞窟に居着いた盗賊の討伐だった。

 元は学園長に来てた依頼だったんだけど、入学直後で多忙なので、私たちに代打を頼んだというわけらしい。


 私的にはあんまり乗り気じゃなかったんだけど、リリーが行きたがったのと、ローリィー先生が付き添うから安全との事で、引き受けることにした。


「意外と洞窟って寒いんですね……」


 リリーが体を縮こめながら言った。


「ふふ、この程度で根をあげるとはまだまだですわね」


 それを見ながらロットが鼻を鳴らしている。


 まあロットって杖だしね。暑さとか寒さとは無縁な存在なんだろう。


「くぅ……。あっ、そうだ! ユリーナちゃん、暖め合いましょうよ!」


 リリーはそう言って私の体にピタッと密着して来た。


 正直私も寒いと思ってたし、暖め合うのは大賛成なので、体を寄せる。


「あ、あぁ! なんだかわたくしも寒くなって来たかもしれませんわー!」


 めちゃくちゃ棒読みのロットも、私に密着して来た。


 さっき寒くないみたいな事言ってたよね!

 というか流石に2人にくっつかれると歩きにくいな……。


「おい、お主ら一応ここは盗賊の巣窟じゃぞ。そんなにいちゃつくでない」


「そんな、イチャラブだなんて……」


 いちゃいちゃね! 別にラブは付いてなくないかな!?


「そのまま一線を超えてしまえなんてはしたないですわ……」


 それに関しては一言も言ってないね! 耳大丈夫!?


「全く、緊張感ない奴らじゃの……。盗賊を相手にするのに恐怖とかはないのか?」


「確かにそれは怖いですが、ユリーナちゃんといちゃつくチャンスは常に狙っておかないと!」

「そうですわ! わたくし達はユリーナ様の心を狙う盗賊ですもの!」


 それ、なんも上手くないからね!!!

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