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9話 ロットのポテンシャル

旅先で食あたり起こしました……。なんとか帰ってこられましたが、否が応でも休ませない因果みたいなものを感じます。

休みがゴリゴリ潰されるっ……!


もう今後は親の仇のように焼いた鶏肉しか食べないぞ!

 食事を終えた私たちは、部屋に戻っていた。


「ふぅ、美味しかったですわ」

「口にあってよかったよ」

「ま、まあ3人の食事も悪くなかったですね!」


 ローリィー先生に見つかったりしたけど、概ね食事は楽しかった。

 特に、ロットの反応がいちいち新鮮な可愛い感じで見てて幸せだった。


「そういえば、ロットさんってどうやって食べ物消化するですか?」


 あ、たしかに。

 ものすごく人っぽいから忘れがちだけど、ロットって杖だもんな。食事をとる必要は無いって言ってたし、消化器官とかあるのか?


「消化しているのかは分かりませんが、食べる前より魔力がある感じがしますわ。食べ物は全部魔力に変換されるのかもしれませんわね」


「え、食べ物が魔力にですか!? それどんな原理で……?」


「原理は分かりませんわ。ただそんな感じがするってだけで」


 原理が分からないって……。

 いや、でも私も食べ物がどう消化されてどう吸収されていくかなんて細かくは知らないもんな。原理なんて分からなくて当然か。


「あれ、というかロットに魔力があるってことは、私が魔力を注がなくても魔法使えたりするのかな?」


 魔力さえあればどんな生物でも魔法は使えるわけだし、理論上は使える気がする。


「たしかに、魔法を出力する感覚は覚えていますし、できるかもしれませんわね」


「それなら早速試して見ましょうよ!」


「試すって、どうするの?」


 ロットは巨大ファイアボールとかも出せたわけだし、部屋の中で試すのはちょっと怖いよ。


「はい、それなんですけど、私にいい考えがあるんです!」


「いい考え?」


 ─────────


「で、こんな食事時にワシのところに来たと」


 リリーの考えとは、ローリィー先生にお願いして校庭を使わせてもらうことだった。

 そうすればローリィー先生が付き添ってくれることになるし、安心だからね。


「はい! ロットさんのポテンシャルを知りたくないですか?」


 リリーはローリィー先生に詰め寄った。


「……まぁ、ロット単体で魔法を使えるのか、試す価値はあるな」


 ローリィー先生はパンを頬張りながら頷く。


「では、校庭を貸していただけるのですか?」


「いや、さすがにこんな時間に校庭の使用許可など出るはずなかろう。生徒の自主性は重んじとるが、一応ここは学校じゃぞ。夜遊びに使われるやもしれぬ事を許可するわけがない」


 あ、たしかに言われてみればそうだ。


「じゃあ、明日ですかね?」


「ま、普通ならそうじゃな。じゃが、ワシはそんなに気が長い方ではない」


 ローリィー先生はニヤッと笑った。

 なんか嫌な予感がするぞ……。


「許可がなければ校庭は使えないが、バレなければ別になんの問題もないのじゃ。そして、ワシは認識阻害の結界が張れる。あとは言わずともわかるじゃろ?」


「あー、なんとなく……」





 というわけで校庭。


「よし、これで結界が張れたのじゃ。これならバレないじゃろ」


 満足げにローリィー先生は頷いているけど、内側からだとなんの変化もないので恐怖しかないぞ……。


「よし、それじゃあロット、早速じゃが頼む。使うのはまあファイアボールでいいじゃろ」


「はい、分かりましたわ」


「あ、一応試しじゃし最低火力で頼むぞ」


「承知しましたわ」


 ロットは、手のひらを空に向けた。

 すると、すぐさまバスケットボールくらいのファイアボールが生まれる。

 そして、ロットが手を振り下ろすと、5mほど飛んで地面に着弾した。


 おぉ、これ結構すごいんじゃないか?


「ふむ、魔法がこのレベルで使えるとは驚きじゃの」


 ローリィー先生の反応もなかなか悪くない。


「将来私のパーティーに入ってもらえれば即戦力……。それに、ロットさんがくればユリーナちゃんも入るだろうし……!」


 リリーは楽しそうになんかボソボソ言っていた。

 たまにあるそれはなんなんだ……。


「ユリーナ様! 使えましたわ!」


「うん、すごいねロット」


 嬉しそうにロットが駆け寄ってきたので、頭を撫でて褒めた。


「あっ、これすごくいいですわ……」


 頭を撫でてるだけなんだけど、ロットはすごく幸せそうだった。なんか、犬みたいだな。


「あ、ずるいです! 私も!」


 ほっぺを膨らませたリリーも駆け寄ったきたので、とりあえず頭を撫でておく。


 ……なんだこの状況。


「お主らは本当に仲が良いな。……というか、もはや仲がいいレベルを超えておるようにすら見えるのじゃが」


「いや、違いますからね!?」


 一応私たちの間には友情しかない……はず!


「そ、そうです! ちょっとキスしただけでまだ一線は超えてません!」


「そうですわ! あわよくばと思った事はあってもまだ超えてませんわ!」


 2人とも、それ否定できてるとは思えないんだけど!?


「ま、まあ大丈夫じゃよ。ワシはそういうのにも寛容なタイプじゃし。好きにやるといい」


 ほら! なんかローリィー先生も変な納得してるし!



「ともかく、とりあえずの実験は終わったわけじゃし、今日はこのくらいでやめてお───あ、まずいかもしれんのぅ……」


 ローリィー先生は何かを見ながら苦笑いを浮かべていた。

 視線の先を見てみると、こちらに誰か向かってきている。


 あれ、認識阻害かかってるんじゃないの……?


「すまん、まさか学園長がでてくるとは完全に予想外じゃった……」


 ローリィー先生は悟った顔をしながら私たちに謝っていた。

食あたりが未だ完治してないので更新が2、3日ほど乱れるかもしれません……。

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