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プロローグ

新連載です!

趣味をひたすら詰め込んでいけたらなぁと思ってます


見守っていただければ幸いです!

 私、当麻(とうま)勇気(ゆうき)は女だ。


 なぜ突然こんな宣言をしたのか。

 それは、私がよく男の人と間違われるからに他ならない。


 別にゴリゴリしているから間違えられたとかではない。むしろ、もうちょっと太りましょうとか言われたくらいには細い方だった。

 ただ、顔が中性的……というか、ほんの少し男っぽい方向に偏っていたのだ。


 そんな顔立ちをしているとロングヘアーはあまりに合わないからどうしてもショートになってしまうし、結構身長もあった方だから、余計に男っぽく見えたんだろう。

 フリフリの服とかスカートは、興味はあったけど絶望的に似合わなかったから着なかったしな。


 おかげさまで、この20年間の人生の中で、男に告白されたことはないのに、女の子に告白されたことは3回あるという、嬉しいような悲しいようなよく分からない状態になっている。



 そんな私は、今日死んだ。

 あ、比喩的なやつとか精神的なやつとかではなく、肉体的に死んだ。


 なぜそんな事が自分でわかるのか。

 それはひとえに、目の前にいかにも天使って感じの人が立っているからだ。


 青い髪に整った顔立ち。これだけで既に若干浮世離れしているけど、極め付けは背中の羽だ。

 私の身長くらいある翼が二本、背中から生えている。

 これを天使と言わずしてなんというのか。


「えっと、ユーキ・トーマさんですよね?」


「はい、そうです」


 日本ならトーマ・ユーキになるけど、外国風に氏名を逆にしてるのかなと納得して頷いておいた。


「それは良かったです! 間違ってたらまたお説教でしたよ〜」


 まるで間違えた事があるかのような口ぶりの天使。

 なにこの天使、ちょっと怖い。


「合ってたのなら話は早いですね。その、突然なんですがあなたは死んでしまいました」


「あ、はい」


 こんなところ死後の世界以外ありえないもんな。


「でも安心してください! 転生させてあげますので!」


「おぉ! ……って、それはありがたいんですけど、なんで?」


 よくあるのは手違いで殺しちゃったからとか。


 別に転生させて貰えるならどうでもいいかもしれないけど、なんとなく理由くらいは知っておきたかった。


「あー、理由気になりますよね……」


 苦笑いを浮かべながら目をそらす天使さん。


 これは手違いルートかな?


「えっとですね、そもそも天界って全体が会社みたいになっていまして、天使はそれぞれの部署に配属されているんです」


 衝撃の新事実。

 天国でも仕事ってしなきゃいけないんだ。


「それで私、転生部ってところに所属してるんですけど、転生部って毎年、年度末に転生者の数がノルマに達してないってなってまして……」


 なんかものすごいダメな部署の匂いがする。

 大学生だからバイトしかした事ないけど、それでも分かるくらいダメな部署臭がするぞ。


「要するに、数合わせで選ばれた感じですか?」


「数合わせなんてそんな……! ちょっとあみだくじで当たっただけですよ!」


 うん、数合わせだよね。


 まあでも変に、秘めた才能を見込まれてとかじゃないだけいい気もする。

 だって見込まれてたら期待に応えなきゃいけないからね。逆に数合わせならダラダラしててもなんの文句も言われないって事だ。


「……まあ、とりあえず事情は分かりました」


「分かってくれましたか! ありがとうございます〜」


 多分、分かったの意味が違うんだろうけど、話が進まないので流すことにした。


「じゃあ早速転生に取りかかりましょう!」


 両手で拳を作ってやる気をアピールする天使さん。


「一応転生する人には1人一つ特別なスキルとかを差し上げてるんですけど、何か欲しいスキルとかありますか?」


 スキルか。

 別に何か欲があるわけでもないからな。これといって思いつかない。


「オススメってなんですか?」


「お、オススメですか……? そうですね、あ! これなんかどうですか? 異性からモテモテになるスキル!」


 モテモテって……。


 でもそれ、悪い気はしないかもな。


「じゃあそれでお願いします」


「はい! 分かりました〜!」


 天使さんはビシッと敬礼すると鼻歌交じりにモニターを操作した。


「あ、ちなみに性別は魂の質で決まるので変えられませんけど悪しからずお願いします〜」


「分かりました」


 という事は来世も女子ってことか。


「よし! 転生準備できました! それじゃあいきますね〜!」


 天使さんのその言葉と同時に、私の視界はどんどん白く染まっていった。


 こうして、私は異世界に転生したのだった。

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