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YouTuber 青星声ver.1 ~水橋拓真は選ぶ~  作者: わ→たく。
【YouTuberになりました】
9/50

ランキング発表

 次の日の朝。

 僕たちは吉野(よしの)先輩の家にいた。

 一週間前にチャンネル登録者数が一万人を突破したことを報告した動画で、視聴者さんが好きな動画を聞いたのでその集計をするため集まった。

 今日集計して、今日動画をアップロードする予定なので超特急での作業となる。

 「それじゃあ始めるよ。 動画のコメント欄を昨日から今日の夜明けにかけてスクショしておいたからそれをみて集計ね」

 本当ならスクショなどせずその動画のページに飛んでみたほうが早いし効率も良かったのかもしれないが、締め切りをきちんと守りたいと心絆(ここな)さんが言ったのでスクショをしてもらいそれをみて集計することになった。

 今更だけど、集計するようなサイトがあった気がするんだけどな。

 そっちの方が絶対楽だったよね。

 「このスクショの量やばいな。 一体何枚撮ったん?」

 「うーん。 チャンネル登録者数割る二くらいかな」

 考えただけでもやる気が削れていく。

 そんなことを言っていても終わらないので手分けしての作業が始まった。

 初めからアップロードした動画のリストを作っていたので正の字を書いていくという単純な作業にもみえるが五十近くある動画から一つの動画を探すのがとてつもなく大変だ。

 三十分、一時間と時間だけは刻々と過ぎてゆくがなかなか終わらない。

 「あ〜もおやだ。 ヤダヤダヤダ。 飽きた」

 心絆さんは子供のように駄々をこねながらも手だけは止めない。

 吉野先輩はあれ?

 動いてない。

 顔の前で手を振っても全く動じない。

 多分、目を開けながら寝ているのだろうか。

 高度な技術を見させていただけているため心絆さんには内緒にしておこうと思った。

 そのぶん僕がやらなくちゃ。

 なんて初めは思っていたのだが、もう嫌だ。

 YouTuberは花のある仕事だと子供達から人気のある職業になっているのだが、花の陰にはこういう泥仕事があることもきちんと知ってもらいたい。 まあ今回は自業自得だけどね。

 その思いがあってというわけでもないが、どうせアップするならいくらでも編集できるので素の言葉を録画したいという気持ちも込めて、誰の許可も得ず動画を回し始めた。

 あとでこの動画を見てみると当たり前だが特に何もないただ単にコメントの仕分けをしているだけの動画なのであまり会話もなく地味な動画だった。

 この動画はサブチャンネルを出すことができたなら『これがYouTuberの現実』ってタイトルであげたいとは思った。


 「しゃぁ〜! どうも皆さんこんばんは青星声(せいせいせい)のココナッツと」「ソラトと」「ミズタクだ」

 コメントの仕分けを終えてすぐに動画を撮り始めた。

 「今日は一週間前にチャンネル登録者数が一万人超えたとみなさんにお伝えした動画内でみなさんの好きな動画を教えてくださいと言ったのでその集計をしてランキング形式でみていこうと思います」

 「本当にたくさんのコメントをいただきました。 ありがとうございます」

 「本当に多くのメッセージをいただけたので集計するのに三時間以上かかりましたね」

 苦笑いしかない。

 「早速ランキングを見ていきたいと思うんですが、五十本近くある動画全てにコメントはできないので三位から発表させて頂きます。 三位以下の順位は動画の最後にエンドロールのようにして発表しますのでよろしくです。 それではお待たせしました。 第三位です」

 ナッツさんはデュルルルルと口でドラムロールをする。 巻き舌ができてないので少し苦しそうだがそこがまた可愛くて見とれてしまう。

 「ドン。 『【悲報】ココナッツが誘拐されました。』」

 個人的にはこの動画はトラウマでしかない。 多分ソラトさんもトラウマなんだろうな。

 この動画がこんなに順位が低いとは思わなかったけど・・・・。 もういいや。 次行きましょう。 この動画を思い出したらまた泣きそうです。 はい。


 「はい。 じゃあ第二位は」

 ナッツさんはまたデュルルルルと口でドラムロールをする。

 これがあともう一回聞けると思うとたまらないです。

 「ドン。 『目隠しをしながら粉を調合したらすごいことになった』です」

 粉の調合というタイトルで変な想像をした人もいたかもしれないがいたってこの動画は健全なのである。

 ただ、目隠しをしながらカレーを粉から作って見た動画なのだから。

 僕は辛い食べ物が食べれないのでこの動画は苦い思い出が残っている。

 ナッツさんもソラトさんも調子にのってチリパウダーを入れすぎたためとてつもなく辛いカレーになってしまった。

 「理由としてはYouTubeにデスソース以外の辛さを吹き込んだからが多かったですね。 この動画の配信後からこの動画のパクリをするYouTuberが増えたしね」

 「まさか、僕たちが先輩たちの動画をパクることは何回かあったけど、先輩たちが僕たちの動画をパクるとは思わなかったですよね」

 大物YouTuberに企画をパックってもらった時の嬉しさはチャンネル登録者数が一万人超えた時くらい嬉しかった。

 この動画をパクってくれた有名YouTuberさんの中には僕たちのことを少し紹介してくれていたが、チャンネル登録者数が伸びなかったなぁ。


 「一位の発表の前に番外編で四位を紹介します。 四位は私たち青星声の初投稿の『初登校なのでとりあえずメントスコーラやってみた』です」

 「多かった理由としては、初投稿での初々しさが好き。 今更なのに何も工夫をしていない動画なのが斬新で面白いなどのコメントをいただきました」

 あの動画は昨日撮影したくらい鮮明に覚えている。

 本当になんのひねりもなくコーラにメントスを入れるだけの撮影だったので出来上がった動画を見たときにYouTubeってこんなもん? なんて思ったこともあった。

 「この動画から何もかも始まったから、私たちにとっても大切な動画だよね」

 「本当になんのひねりもない動画だけどね」


 「そしてそして栄光なる第一位の動画はこちら! 『弱小YouTuberが小説書いてみたらどうなるのかシリーズ』です」

 シリーズと最後につけておきながらその次の動画は未だに出していないのだが、僕の企画が一位に選ばれた。

 その動画のコメントにも読みたいなど多くのコメントを視聴者さんたちがくれていたが、急に恥ずかしくなり動画まで消そうとしていた。

 しかし、選ばれてしまうとそう考えていた自分が恥ずかしく思う。

 だから僕は、----

 「視聴者の皆さん。 この動画を一番だと言ってくださりありがとうございます。 皆さんのご期待に応えられる自身ばありませんが、ネットの投稿サイトの方に後日投稿させて頂こうと今、決意いたしましたので決意が変わらないうちに報告いたしました! ただの妄想小説なので現実とは異なる点が多くあります。 また、国語力が皆無なため誤字脱字や物語が二転三転している箇所があるかもしれませんが精一杯書きましたので後日動画の方で上げましたと報告をしますので楽しみにしてください」

 ーーーーとはっきりと宣言した。

 「って自分でハードルあげてどうするの」

 本当にその通りだ。

 何でここまでハードルをあげるようなことを言ってしまったのか後悔はするがナッツさんが編集をするので凄く強調されるかもしれないけど、それはそれで有言実行すればいいだけだし! うん。 なんにも怖くない!


 後日投稿することを視聴者さんと約束をして動画を終えた。

 「まさか、この動画に負けるとは思わなかったよ。 一位とったんだから本当は書籍化までしてもらいたいけどさすがにね」

 「出版社に持ち込んで企画が通るほどの小説ではないから無理ですよ」

 そんなたわいもない会話をしていると予想もしていなかった方向から声がかかった。

 「水橋くんが小説を書いたんかい? もしよかったら読ませてくれないか?」

 吉野先輩のお父さんだった。

 目の前で読まれるのは恥ずかしいがどうせこのあと全世界に読まれるんだしと思い吉野先輩のお父さんに原稿を渡した。

 吉野先輩のお父さんはこの小説は今日中に読むからそれまでこの動画をYouTubeにアップしないでくれと言っていた。

 なぜかわからなかったが、家を貸していただいていたり、色々なご迷惑をかけているのでこのくらいはするが、心絆さんと僕の頭の上にははてなマークばかりだ。

 吉野先輩のお父さんが帰ってきたのはあれから三十分後のことだった。

 吉野先輩のお父さんはもう一度さっきの動画を取り直した方が良いかもしれないと言った。

 「それはなぜですか?」

 「簡単にいうとこれは売れる可能性がある。 YouTuberが本気でラノベを書いたんだ。 これだけでも少しは売れるかもしれない。 しかし、これはそれ以上に売れると思う」

 なんでここまで押すのかと聞いてみると、吉野先輩のお父さんは有名出版社で働いているらしい。

 となると、本物の編集者にこの小説を読んでもらえて売れるとまで言っていただいたことになる。

 「さっきの動画なんだけど隣の部屋まで聞こえてきていて、小説の話があったからいてもたっても入れなくなってしまって申し訳なかった。 職業病ということで許してくれないか?」

 「許すも何も、こちらとしては拓真(たくま)が書いた作品が書籍化するお話をいただけているのですから嬉しいことばかりですし、ありがとうございます」

 小説をネットに投稿すると宣言したところを出版社に投稿してみるという宣言に変え、動画を編集し三十分遅れで投稿した。

 原稿は吉野先輩のお父さんに預けて今日は解散した。


 出版社に応募などせずに話は進むと吉野先輩のお父さんからお話があったのだが、動画の関係上応募させて欲しいとお願いし、応募させてもらうことになった。

 応募するということなので、他の作品に出版枠を奪われる可能性はあるので出版できるかはわからないらしい。

 応募締め切りは十一月末までなのでチートではあるが吉野先輩のお父さんの手を借りながら作品を作っていった。

 「よし。 これなら応募も大賞を取れると思うし、そのまま出版できると思う」

 「ありがとうございます。 本当に助かりました。 これからも宜しくお願いします」

 作品を作り上げてすぐ動画を撮影し、結果を待った。

 結果の発表は一次通過者の発表は来年の二月で奨励賞発表は来年三月末。

 無事二月の一次審査に名前があった。

 動画にあげると色々な視聴者さんからお祝いの言葉を多くいただいた。

 みんなありがとう。

 

本日もこの作品を読んでいただきありがとうございます。

しゃぁ〜! どうも皆さんこんばんは作者のわ→たく。だ。

さて、今回も2話連続投稿をいたしました。 8話は学校が話に出てくるのならお約束とも言える文化祭。雛ちゃんとあともう少しというような感じでしたね。リアじゅう爆発しろ!・・・・。 スミマセン。作者にこのような青春がなかったのでつい。

9話ではランキングの発表でした。今回はかなりのこじつけた設定ではないかと作者自身も思っておりますが今後の展開には必要不可欠かと思っています。(今の所は)

それではまた明日、同じ時間に投稿いたしますのでよろしくお願いいたします。

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