コンビニで一番いらないものは何? これを置いて欲しいものって何? 選手権 前編
九月の半ばになり学校では文化祭のムードが漂っている。
先輩にとっては高校最後の文化祭。
僕にとっては二回目の文化祭で前回の文化祭よりもやる気満々だ。
昨年の文化祭準備の際に部活の大会が近いからという理由で年に一度しかないイベントから逃げていた。
しかし、そのせいでギャルゲーのようなイベントを回収することができずじまいになっていた。
なので今年は、普段あまり活躍していない僕がこういう時には頼もしいと思ってもらえるようにまずは準備から参加することにした。
今年も大会が近いため最後までは残れないがそれでも少しはポイントを稼げるのではないかと期待している。
と思ったのだが・・・・
「夏休み前のロングホームルームで決めた通りうちのクラスはアイス販売をします。 特にうちのクラスはない内装賞など狙っていないので当日の販売だけって感じでいいよね? って女子の中ではまとまっているんだけど男子はそれで大丈夫?」
あろうことか準備はアイスケース借りるのとアイスを買うのくらいらしく、某有名店のお店でバイトしている人が準備をしてくれるそうなので他のクラスメイトは当日の販売以外は何も仕事がないらしい。
うちのクラスは運動系のクラスなので文化祭よりも体育祭はすこぶる燃えそうだ。
そんなクラスなので、装飾の準備がなくてラッキーと喜ぶ生徒が多い。
ちょっと残念だな。
残念がっている拓真の姿をある一人のクラスメイトはじっと見つめていた。
休日になり撮影が始まる。
「もう遅いよ。 早く始めるよ。 五・四・三・二・一」
僕が到着するのが遅くてすぐに撮影をすることになった。 鞄を置いたらすぐに撮影って遅れてきて言えることではないが少しせっかちすぎやありませんか?
「しゃぁ〜! どうも皆さんこんばんは青星声のココナッツと」「ソラトと」「ミズタクだ」
「今回は以前、有名なYouTuberさんが『コンビニで一番いらないものは何?』の動画でやっていた内容にあるものを加えてやっていきたいと思います」
企画をパックっていることを知らないで始めるのかと思っていたが、ちゃんと調べてたんだな。
「あるものって何加えるの?」
「コンビニって最近なんでも売っているイメージじゃん。 だから、これはいらないんじゃないの? っていうものを取り上げたまでが有名なYouTuberさんさんなんだけど、以外にこれって売ってないよなって商品もあるわけじゃん。 なので今回は『これを置いてほしいって物』選手権も同時に開催していこうと思います。 でも欲しいと思われる商品はまだコンビニでは買えないので、これからいらないと思われる商品を買いに行きましょう」
時間はかかるが、自分が思うコンビニでいらないものを選ぶため一人ずつ買い物に行くことにした。
はじめに心絆さんが買い物に向かったので、あるドッキリをソラトさんと仕掛けることにした。
どんなドッキリかというと何年か前に流行った『サランラップドッキリ』を今更やってみることにした。
「しゃぁ〜! どうも皆さんこんばんは青星声ソラトと」「ミズタクだ。 今回は日頃ナッツにはお世話になっているので、恩を仇で返したいと思います」
「恩を仇で返すって・・・・。何をやるの?」
僕はサランラップを取り出し淡々と説明していく。
ナッツさんが帰って来る前に一度ソラトさんが買っている子猫をドッキリにかけてみた。
やり方は簡単で飼い主のソラトさんが子猫の名前を呼んで引っ掛けるというシンプルな作戦。 猫もひっかかってくれるのかな?
「ローズ」
にゃ〜と猫がやって一階から階段を上がってやってくる。
どうでもいいが、ローズと聞くとチャンステーマ4を歌いたくなるのは僕だけですね。 はい。
無駄話は置いといて、ローズが部屋の前まできてくれた。 速の前まで来たところで何かおかしいと気づいて止まってしまった。 ラップを力ずくで押そうとしているが外れず最終的には下が甘すぎて下から潜ってこっちにきてしまった。 ローズには失敗に終わったがナッツさんは引っかかってくれるだろう。
セットも完了し後は、ナッツさんの帰りを待つのみ。
どんな反応を得られるのか楽しみにしているとニヤニヤが止まらない。
「こういうの仕掛けている時って本当に待ち遠しいですよね」
ソラトさんは平常心を保とうと深く深呼吸をしている。
何度もなんども深呼吸を繰り返す姿は何か僕に悟られないようにしているようにも感じ取れる。
ソラトさんを少し疑っているとガチャリとドアが開く音がした。
「帰ってきましたね」
カメラのマイクに拾ってもらえるかギリギリの声だったので編集する際に拾ってもらえなくて幽霊騒動が起きたらどうしようかなど考えているうちにナッツさんは撮影部屋の扉を開け勢いよく入ってきた。
「ただいまー。 んご」
本来のサランラップドッキリは勢いよくドアを開けて入ってきてサランラップに当たって勢いよく倒れるのだが、今回はそうはならなかった。
今考えてみればそんなに勢いよく入ってくるわけではないので勢いよく倒れることはなかったが、ナッツさんはその場に倒れた。
急いで二人はドッキリ大成功と言い寄りにいくがなぜかナッツさんの様子がおかしい。
うずくまったまま起きてこない。
いつものナッツさんであれば、「うわ、引っかかったわ」とか言って笑って終わるのだが今回は全く起き上がらない。
少し慌てて大丈夫とソラトさん、いや吉野先輩が駆け寄った。
すると心絆さんは泣いていた。
カメラを持っていた吉野先輩は急いでカメラを止め心絆さんを起こす。
僕はどうすればいいのかわからなくなりその場から動けないでいた。
すると、心絆さんはけろっとした顔で「テッテレ〜」騙されたでしょ?
と僕の方を見上げる。
状況を理解できていない僕はさっき切っていたはずのカメラが動いていることと、さっきまで使っていたカメラとは違うカメラが動いていることに気づいた。
僕はナッツさんにドッキリを仕掛けたつもりだったが、ナッツさんもソラトさんも僕にドッキリを仕掛けていた。 いわゆる逆ドッキリってやつだ。
「私が買い物に行っている間にドッキリを仕掛けるようにもともとソラトに頼んでて、私がそのドッキリにかかった時に泣いたらミズタクはどういう反応するのかというドッキリでした」
ドッキリにかかった僕は本来なら心絆さんにとってもらうはずだったリアクションをすることになった。
ちくしょう。
三人の買い物も終わり撮影を開始する。
さっきのドッキリはこの動画の前にあげることになったので、動画はその話から始まり頃合いを見て本来の内容へ戻った。
「それじゃあ一人ずつ理由も含めてコンビニに入らないのではと思う商品から発表していって、投票してから欲しいものにするか。 それじゃあ、いつもはミズタクからだからたまにはソラトから」
僕からかと思っていたので商品を出そうとしてしまったが、慌てて隠した。
これ編集でいじられるんだろうな。
「俺は、いきなり主旨を変えてしまって申し訳ないんだけど、コンビニで一番入らない商品じゃなく無くして欲しいものはレジの時に店員さんから毎回言われる「ポイントカードはお持ちでしょうか?」の質問です。 理由としては、ポイントカードを必要としてない人たちが毎回、毎回断るのがめんどくさいからです。 ポイントが欲しいのであれば自分から出すと思うからエントリーワンはコンビニ店員の「ポイントカードはお持ちでしょうか?」です」
コンビニで働いている身としてみればこれを聞かなくて済むのならば嬉しいが、「あ、忘れてた。 ありがとう」と言われることも何度かあったり、某コンビニではポイントカードが電子マネーになり、買い物が楽になるカードもあるからできれば全員にポイントカードを作ってもらいたいんだけどな。
って気持ちもあって、複雑な気持ちになる。
てか、ソラトさんがコンビニ滞在時間一番長かったのにまず何も買っていないってどういうことなんですか?
「あ、え、あ、はい。 じゃ、じゃあ次はミズタクね」
「僕は本当に申し訳難易ですけどコンビニ店員を現役バリバリで働いていていらないなっておもうものが無かったんですが強いて言うなら、っていう感じ何ですけどこれを持ってきました。 僕が持ってきたのはご当地マップです。 理由としては売れているところを見たことがないのと、今回行ったコンビニで限定して選んでしまったんですけど、ご当地マップを使うような道にあるコンビニでもないし、コンビニの隣に車屋さんがあるのでそっちで買った方がご当地だけじゃなく、日本全国の地図があるからですね」
個人的な意見で自身はなかったが二人はこれで決まりだなという雰囲気で頷くように見てるがこの頷きはどういう意図があるのか不安だ。
「私はみんなと違って子供の目線からみていらないなと思うものを買ってもらってきたんだけど」
買ってもらってきた?
この時点で少し何をもってきたのかは想像できるが想像したものをナッツさんが持っているのはちょっと悲しく思える。
「私が買ってもらってきたのは大抵トイレの近くに売られているエ・・あ、ちょい」
言わせねぇーよ。
とお笑い芸人のツッコミのような勢いでナッツさんが持ってきた商品を画面外に投げ飛ばす。
やったあともしも壁に当たっていて穴を開けていたらなど少し後悔はしたが、一人でもこのチャンネルを見てくれている子供たちがいたらモザイクをかけたとしてもよくないと思うのでさ最善策だったと思うし、モヤモヤしてしまう。
何よりもナッツさんに卑猥な本を持ってもらいたくないという思いが一番だが。
まあ多分この本はスタッフ(ソラトさんと僕)が責任を持って使用させていただきます。
「それじゃぁまずはどれが一番コンビニでいらないか投票するよ。 イッセーノッセで同時に指すでいいよね? あ、自分が持ってきたものには投票禁止ということで」
ナッツさんとソラトさんは僕の持ってきたご当地マップ。
僕が指したのはエ◯本。
理由としてはナッツさんのような人には手に取ってもらいたくないという男からの願いも込められている。
結果としては二対一なので僕の持ってきたご当地マップがノミネートされ、僕はコンビニでいらない物当てたで賞をもらった。
正直言ってその称号はいらないです。
はい。