【失敗】あまり知られていないトランプゲームで遊んでみた!?
卓球部の引退試合(市総体)も終わり吉野先輩以外の先輩は引退した。
吉野先輩は引退試合(市総体)を勝ち進み県大会に出場した。
県大会は六月の頭にあるのでそれまではまだ一緒に闘えるのが選手一同嬉しかった。
まだ心配することではないが毎週土、日曜日は企画会議&撮影を毎週やっていたが心絆さんは引退して受験モードになってしまったら撮影はどうなるのだろうか?
「そんな心配しなくていいに決まってるじゃん。 なんでこの時期から実写やるかって言ったら、指定校推薦もらえると思うからやったに決まってるじゃん。 落ちたら最悪どころか大学行けないけどね」
まあ簡単にいうと心絆さんは高校の成績がいいからセンター試験とかそういう入試をやらず楽して大学に入れるらしい。
頭がいいって羨ましいです。
そういえば、心絆さんが行きたい大学の学部って一枠しかないじゃん。
本当に落ちたらどうするのだか。
土曜日になり今回も企画会議が始まった。
「スイカバーやっぱり今やりたかったなー」
心絆さんは毎週、毎週企画会議が始まると決まってスイカバーの話から始める。
「はいはい。 それで今回はどうするの?」
「お金もかからずできることだよね・・・・ない。 ネタ切れ。 よしパクろう! ということで、スイカバーのリベンジでこれやろう」
嫌な予感がし、二人は生唾を吞み込む。
「コンクリートでコカコーラ造ったらヤバイもの出来たっていう動画を無人島きゅうりがあげてて、そこからヒントを得たんだけど・・・・コーラの形のチョコエッグ作ってみたとかどうかな?」
「チョコエッグってチョコの中に人形とかおもちゃが入っているお菓子だよね? 昔よく買ってたな」
パクリ作品にあまり興味がなさそうな吉野先輩がこんなにも食いつくとは思わなかった。
過去に同じ動画を出したチャンネルが無いか調べてみると色々なチャンネルが同じことをしていた。
「うげ。 私と同じ発想の人がこんなにもいるとは・・・・恐るべしYouTuber」
この企画で行くか、他の企画を考えるか話し合った結果この企画はボツになった。
結局企画は『あまり知られていないトランプゲームで遊んで見た。』に決まり『51』というゲームで遊ぶことにした。
「しゃぁ〜! どうも皆さんこんばんは青星声のココナッツと」「ソラトと」「ミズタクだ」
「今日はトランプを使ったあまり知られていない遊びをして行こうと思います」
どんなゲームなんですか?
と知っているのにもかかわらず聞かなくてはならないのが当たり前なのだが、今日の僕には鬱陶しかった。
なぜなら早くゲームをやりたかったからだ。
元俳優が顔に出すぎって顔出ししていたら言われたのだろうか?
「ルールは簡単で、五枚の手札をすべて同じマークでそろえて、できるだけ五十一点になるようにするゲームです。 五枚のカードがすべて同じマークになっていないと〇点となります。一番手札が五十一点に近い人が勝ちのゲームです」
いつもはあまり喋らないソラトさんがルール説明を読むなんて珍しい。
ソラトさんもこのゲームが楽しみなのだろう。
「点数は、Aが十一点。 J、Q、Kが十点。 ジョーカーは十点または十一点の札として計算します。 そのほかの札は、札の数字と同じ点数だから例えばハートの二は二点として計算します。 誰かがストップをかけた時、手札が全て同じマークなら、五枚のカードの合計が得点になります。 ただし、全て同一マークでない場合は〇点になり、得点を入れるためにはまず五枚のカードを集めなくては行けないし、他人と被っていると集めずらくなるゲームです」
ソラトさんは今まで上げた動画の中で一番話したんじゃないかな?
見た目はクールな感じだけど心の中のソラトさんは早くやりたいとウズウズしていそうだ。
「ジョーカーはどのマークにもなるから持っていると有利だね。 勝利条件と進め方はミズタクどんな感じなの?」
「え? あ、僕ですか? 勝利条件は五十一点になったときに『ストップ』をかけることができます。 『ストップ』をかけた人が一位となります。 そのほかの人はマークが揃っていれば得点の高い順に二位、三位となりますが、同点の場合はジョーカーを持っていない方が上の順位で、両方とも持っていない場合はジャンケンです。 また、点数が五十一点達していないときには『コール』をかけることができます。 その場合は『コール』をかけた人よりも得点が高かった場合は『コール』をかけた人がビリになるのでむやみに『コール』をかけると痛い目みるかもしれませんね」
調べながら話しているのでここだけでどんだけ尺を取ってしまったか。
僕が編集するなら文字でルール説明などを貼り付けて省くな。
「進め方は、まず各プレイヤーに五枚ずつカードを配り、場に五枚のカードを表向きに置きます。 残りのカードは中央に積んでおき、積み札として置いていきます。 各プレイヤーは、自分の順番が回ってきたら手札の中から不要なカードを一枚、場に置かれた札と交換します。 二巡目以降は、場に交換したいカードがない場合はパスもできます。 もしくは、「流す」と宣言して場の五枚のカードを流し、積み札から新たに五枚のカードを場に置いて、その中の一枚と交換するのですが、流してからパスをすることはできないですので必ず交換しなくてはならないので損をしてしまう可能性もあります。 カード交換の際に、手札の五枚すべてを場札の五枚と交換することもできます。 あとは、先ほどの勝利条件に従いながら考えて同じマークで五十一につか付けていくゲームです」
説明だけでやっぱり尺を使いすぎていたのでナッツさんは申し訳なさそうにここ全てカットすると手でハサミを作って合図をしていた。
それを見て僕もソラトさんも苦笑いしかできなかった。
編集前にカットすると決めたときにはカットした部分を無駄にしないためにカットしたところで何があったのか説明することになっていたのでその説明後ゲームを始める予定だったのに・・・・。
ドン。
鈍い音が響いた。
「ヴェアアアア」
心絆さんの叫びも響いた。
三脚を買っていなかったため、雑誌等を積み重ねてちょうどいい高さにしてその上にカメラを置いてい上にカメラを置いていたのだが、バランスを崩して倒れてしまった。 一応カメラは無事そうだけど心絆さんのテンションが下がりきってしまったため今日の撮影は中止になった。
「それじゃあ、この後予定あるので今日は帰りますね」
いつもなら撮影の後はそのまま吉野先輩の家で遊ぶかカラオケなどに行って遊ぶのだが最近は撮影が終わるとすぐに帰るようにしている。
別に不仲とかじゃないから心配はご無用。
実写を初めてから半年が経った。
企画を考えるために集まったがなかなか浮かばないためyoutubrで自分たちのチャンネルを見ていたらすごいことに気づいた。
ゲーム実況の時点でのチャンネル登録者数は五百人弱だったのが、チャンネル登録者数はなんと約千人に到達していた。
「やったー。 登録者数少しずつ伸びて行ってるよ」
心絆さんは飛び跳ねたり転がったりと心から喜び、僕はそれを見てニヤニヤしている。
吉野先輩は僕たち二人を見ながらやっとスタートラインに立てたと目を燃やしているように見える。
「そろそろ完成させなくちや」
ニヤニヤしていた僕は一度真面目な顔になって小声で何かの完成を誓った。
その声に二人は気づいてはいなかった。