心絆。 拓真。
※ここから拓真たくまに視点を戻します。
心絆さんが帰ってからまだそんなに時間も経ってないがそうやることもなかったので僕も帰ることにした。 吉野先輩の家から徒歩一分もないところに公園がある。 その公園である女性が一人わんわん泣いていた。 その女性は僕が知っている女性だった。
「こ、心絆さん? 大丈夫ですか」
見ればわかるでしょ? と言わんばかりに泣きじゃくったであろう顔で睨んできた。 あいにくハンカチを持っていなかったから指で涙を拭いてあげようと思ったのだが、拒絶された。
「何しにきたの」
威嚇しているくらい鋭く睨みながら言われると僕が何かしたみたいに見えてします。
「心絆さんが泣いていたので心配になって」
「拓真は私じゃなくても誰かが泣いていたらきた?」
すぐに答えられなかった。 見ず知らずの人が泣いていたからって助けに行くかはわからない。 けど、
「僕は心絆さんが泣いていたからきたんです。 他の誰とかじゃないんです」
「それはなぜ?」
なんて答えるのが正解なのかわからない。 もしかしたら正解なんてないのかもしれない。 それでも僕は正直に答えた。
「好きだから。 好きな人が泣いていたから助けたくてきたんです。 それじゃあダメですか?」
予想もしていなかった答えだったからだろう。 涙の雨を降らせながら顔を下に向けた。
「なんで? なんでなの? 私は拓真が思っているような人間じゃない醜い人間なの。 私の顔は全て偽物。 本物なんて一つもない。 そんな人間のどこがいいの?」
「わからなです」
心絆さんは顔を上げ再び睨んだ。
「私をからかってるの?」
決してからかっているつもりはない。 ただ、僕に似ていたから。
「似てない。 私に足りないものを全て拓真は持ってるし、私から奪って行く」
「それは違います」
「違わない」
近所迷惑なんて考えず大声でお互いを否定した。
「僕は以前人を傷つけたことがあり、それでお金が必要になり取り繕った笑顔で芸能界にいたんです。 心絆さんも取り繕っていたなら同じじゃないですか? だから僕も心絆さんと同じなんです。 マイナスかけるマイナスはプラスなんです。 僕らが一緒にいればプラスなんです。 だから、そんな顔をしないで僕のそばにいてください」
自分でも何を言っているのかわからないが勢いで告白をしてしまった。
「例え話、どうせ嘘なんでしょ。 なんか拓真と話してたら悩みがばかばかしく感じてきたわ。 普通人が落ち込んでいないてる時に告白なんかする? やっぱり私は拓真にはかなわないんだ」
何もかも吹っ切れたのか柔らかくなった顔をあげ、笑い泣いた。
その笑みは本物なのかわからない。 だから正直に聞いた。
「その笑顔は本物ですか?」
と。
それから数日後に二人でデートすることになった。
初デートはお互い野球が好きなので横浜にした。
試合開始時刻が十三時だったのでいつもなら十二時くらいに着くように言っているのだが、今日はまだオープン戦のため指定席なはない。 そのため九時にはスタジアムに着いて並んでいた。 開門時間は開始時間の一時間半前なので十一時半までこうして待っていなくてはならない。 まあチート使えば並ばなくてもいいんだけどね。 本当ならチートは使いたくなかったが、さすがにこんなに待ってられる気力もないのでチートを使うことにした。 新聞紙に名前と人数を書いて並んでいたところに貼っておき新聞紙に代わりに並んでもらう。 メリットとしては並ばなくて済む。 デメリットとしてはもしも列が進んでいた場合は抜かされてしまう。 そんなに長く列から出ないと思うので大丈夫だとは思うが心配だよな。
「拓真! 拓真! グッズ見に行こ」
今いるところからスタジアムを挟んで反対側にスカイスターズショップがあるからそこ行くか。
ちなみに僕も心絆さんもスカイスターズのユニホームと帽子は着用済み。
「拓真これおそろいで買おうよ!」
「何ですかこれ?」
心絆さんが持っていたグッズはハムスターをモチーフにスカイスターズのキャラクターが印刷られた合体靴下。
今日の夜は桜木町駅の近くのホテルで泊まるので明日ペアルックで履くのかな?
「可愛い靴下ですし買いますか」
満面の笑みでありがとーと人目を気にせず頬にキスをしてくる。 少しは人目を気にしましょうよ。
いい時間になったので新聞紙を貼った場所に戻った。 開門時間まで三十分以上あるので全然列は動いていなかった。
時間が経つのが早く、もう門が開いた。
今回は外野席をとっていたので電光掲示板も見れてポールが邪魔にならない場所で、少し高めの端の席が取れればいいが。
チケットの半券をもらい心絆さんの手を取って急いで階段を上り周りを見渡す。 四年も毎日のように会っていたが手を取ったのは初めてだった。 もっとなんかロマンチックなところだったらよかったんだけど、まあこれはこれで心絆さんもまんざらではない様子だし、いいよね。
席は三十一番通路の四段目の五百六十七と五百六十八の席に座った。 階段通路のすぐ後ろなので、人通りが多く見えなくなる心配はないし結構見やすい席だし端の席を取れたのはよかった。
「もう手放しても大丈夫じゃない? 本当い、いい席だね」
「そ、そうですよね。 すみません。 まさかこの席が空いているとは思いませんでしたよ。 そういえば熱いですよね。 あれ買ってきますね」
とっさだったが初めて手を取ったためお互い顔を赤くしてテンパってしまった。 最終的には恥ずかしくなり一人で買い物に来てしまったが二人でいる時よりも一人になって冷静になる方が恥ずかしくなってきた。 恥じることはやってないとは思うけど知り合いに見られたら初々しいとか言われるのかな?
「やっぱりここに来たらこれは食べなきゃだよね!」
僕が買ってきたのはここの名物『みかん氷』。 削った氷の上に皮の向かれたみかんとシロップをかけたかき氷。 簡単に作れるし、別にここで買わなくてもって思うかもしれないけど球場で食べるから美味しさが倍増するんだよね。 パク。 うん。 やっぱりみかんの甘さと炎天下の中で食べる氷がたまらない。 って普通ならなるんだけどなんせまだ三月なので少し寒い。 浜風も今日は強いしみかん氷のチョイスは間違えたかな?
ツンツン。
なんですか? くすぐったいですよ。 あ、そうですよね。 ごめんなさい。 食べたいですよね。
まだ三月だったためみかん氷は一つしか買っていない。 心絆さんは少し顔を赤らめながら口を開けて待っている。 これ、あーん。 を待ってるんだよね? スプーン二つ持って来たんだけどまあいいか。
震えながら心絆さんの口の中に氷を落とす。
「う〜ん。 ちゅめったーい。 でもこれが美味しいんだよね」
五回裏終了時のダンスで心絆さんは思いっきりはじけたダンスでカメラマンの視線をゲットしてスカイブルーシートのペアチケットをもらった。 またこれで来られるね。 とダンス後で少し火照った顔で言ってくれた。
七回表終了後のジェット風船や勝利インタビュー後のVictory Celebrationの花火が綺麗だった。
今日は年に一度の決起集会で、今日スタジアムで応援したファンがグランドの中に入って応援団と一緒に応援歌を歌うイベントの日だった。
個人応援歌のある全選手の応援歌やチャンステーマを人目気にせず大声で歌う心絆さん。 無邪気な子供を見ているようで可愛い。 癒される小動物でもいいよな。 あ、でもそれだと水輝さんと被っちゃうからやっぱり心絆さんは子供だな。
イタイ。
思いっきり足を踏まれた。 本当に心絆さん超能力者ですか?
「めっちゃ楽しいね」
スタジアム内にいる全員が大声で歌っているため聞きづらいが、心絆さんは勢いよく僕の方を向いて打ち上げ花火のような笑顔を見せてくれた。 さっきの花火もナイターだったらこれ以上ではないにしろ綺麗だったんだろうな。
「お腹減った〜」
スタジアムの近くには中華街があるので夕飯は中華街でとることにした。
学生なのでお高いところはいけないのでお安いところですました。
本格中華二時間食べ飲み放題コース約三千円がクーポン利用三時間で約二千円になった。 後一ヶ月したら誕生日で二十歳になるのでまた一ヶ月後にも来たいな。 小籠包で火傷しそうになったり、甘いものは別腹と胡麻団子や杏仁豆腐を食べ過ぎて心絆さんは動けなくなっていた。
ホテルまで電車で一駅だったので電車で向かってもよかったのだ、食べ過ぎた心絆さんのためにも歩いて向かうことにした。
「今日は勝ててよかったですね」
「ほんと! オオオオオってジャンプもできたし外野で応援できて勝ちパターンの継投も見れて勝てたなんて最高でしかないよ」
食べすぎているのにジャンプするから気持ち悪くなってるじゃないですか。 胃薬飲んでください。
その後はホテルについて、事前にホテル側にサプライズで用意してもらったチョコレートケーキを食べて楽しい一夜を過ごしました。
まさか中華料理屋でお腹が出るくらい食べると思わなかったのでチョコレートケーキを頼んだが、次からは控えようかな。
まあ何はともあれ楽しかった。
しゃぁ〜! どうも皆さんこんにちは作者のわ→たく。です。
『その笑顔は本物ですか?』と本文ではありますが、このように彼氏彼女になるなんて本当にあるんですか?と作者わ→たく。は問いたいです。
それではまた明日も読んでください!




