【コラボ】miniナゾ
「こんな見苦しい料理ばっかりで申し訳ないのですが、審査の方をお願いいたします」
メインチャンネルで作った料理を水輝さんに順位つけてもらう。
「まずは二位から。 二位は・・・・」
三位になって罰ゲームを受けたい気持ちは少しあるけど一位にもなりたい気持ちもある。
だからここではまだ呼ばれたくないな。
「二位は・・・・いませんでした」
もしかして水輝さんは天然なのかな。 毎回予想の斜め上を行かれる。
「二位がいないってことは一位か三位が二人いるってことですか?」
こくんとうなずく水輝さん。 かわいい。 なんか今日かわいいとかしか言っていない気がするがまあ本当のことなんだからしょうがない。 自分の気持ちに正直に。
「では、一位から発表します! 栄えなる一位は・・・・ミズタクさんとナッツさんです」
ということは必然的にソラトさんが最下位になるのだが羨ましい。 なんて言うと失礼だけど羨ましい。
「まず、ソラトさんの料理はしょっぱすぎて健康に悪いと思ったからです。 申し訳ないですけど、あれは人の食べる料理ではないと思いました」
全くその通りだと誰もが思った。 やっぱり順番って大切なんだね。
「一位が二人なのは、味は美味しかったからです」
味“は”ってことは他はダメってことだよね。 って、僕のってかに缶食べただけじゃなかった? それに気づいたナッツさんが抗議を入れたところ、ナッツさんが一位で僕が二位に順位が下がってしまった。
「それでは、水輝さん。 申し訳ないのですがカメラに向かってドS言葉宜しくお願いします」
動画的にはソラトさんに向かってやるよりカメラに向かってやってもらった方が華になるのでカメラに向かってやってもらうことにした。
「本当にやらなくちゃいけないんですか?」
水輝さんは嫌がりながらも最終的にやってくれた。
水輝さんはカメラの端を掴んで
「痛い? 痛い? またこんな料理作ったら次はこれくらいじゃすまないんだからね! 次はこうだからね」
カメラの端を掴んでいた手を離してカメラをはたいていた。 本当にはたくつもりはなかっただろうがはたかれたカメラは地面に向かって真っ逆さまに落ちていくが間一髪でソラトさんがキャッチした。 あぶねー。
まあ素材的にはかなり面白いのが取れたしカメラも壊れた訳では無いのでよかったのだが何度も何度も水輝さんは僕たちに頭を下げた。
無事にメインチャンネルもminiも撮り終わった。 今日投稿する分の動画の編集も終わった。
一時に集まって今はまだ四時。 明日はお仕事があるようで遅くても七時には解散かな。
元々予定していた動画は取れたが今日の水輝さんは一日予定を開けてくれていて時間はまだまだたっぷりとあるんだけど、どうしようか。
ご飯を食べに行くのにはまだ早いのでどうしようか話し合っているとラジオに出演したいと言ってくれたのでラジオをすることになった。
「みなさんこんばんは。 ミズタクが一人で三〇分ラジオをやってみた。 第三十七回目です。 始めたての頃にCantoさんとコラボさせていただいて、八月には声優の結城吉乃さんと名香野小春さんのお二人とコラボさせていただきましたが、今回も大物ゲストさんにお越しいただきました。 それではお呼びしましょう。 この、え? あ、ごめんなさい。 まだOPでしたね。 早く呼びたいからって早とちりすぎました。 ごめんなさい。 ということで早速初めて行きましよう。 スタートです」
ボケとか一切無しにマジで間違えてしまい、ナッツさんにりんごよりも顔が赤いと何度もいじられた。 これが動画じゃなくてよかった。 深い深呼吸をしてからOPを開ける。
「改めましてミズタクです。 はい。 ということで、大物ゲストさんにお越しいただきましょう。 人気声優の水輝伊乃さんですどうぞ」
マイクも何も無いスマフォでの撮影だがそこにはいつもやっているラジオのように仕事モードの水輝さんがいた。
「初めまして。 こんばんは。 声優の水輝伊乃です。 宜しくお願いしまーす」
水輝さんの紹介やたわいもない会話でだいたい十五分くらいは使った。 特にCMも無ければ時間もあまり気にしないではいいので、ゆったりいつもやっていたが最近は三十分ピッタリに編集したいと思っているのでラジオを取りながらも撮れ高を確認するようになっている。 今回は十五分まるまる使えそうだし、いいペースだな。
「それでは今日はこのコーナーをやっていきましょう。 『miniナゾ』 このコーナーは視聴者の皆さんにクイズやなぞなぞを募集して、その謎にチャレンジするコーナーです」
特に送ってくれたから何かするってわけでもないのにクイズやなぞなぞを送ってくれる視聴者さんに感謝しながらクイズやなぞなぞが入っているボックスの中に手を突っ込む。 今回はこれかな。
問題は僕が読むが、答えを発表するのはソラトさんが担当することになった。
「ラジオネーム蒼い韋駄天さんからいただきました。 ありがとうございます。 問題です。 グラスの中に入ることはありますが、取り出すことのできないものはなんでしょう。 という問題です」
グラスの中には入るのに取り出せないってことは液体とかではなさそうだよな。
「これってみんなで相談しながらやっていいんだよね? ほんと! 良かった。 一人だったらボケすら浮かばなところだったよ」
いや、ボケは浮かばなくてもいいんだけど。
「液体とかそういうものじゃなさそうですよね? そうなると空気とかそういうものなんですかね?」
みんな本気で悩んでしまって僕と水輝さんの二人喋りになりそうだし、問題と一緒に送ってもらったヒントを読むか。
「ヒントは、シャンパンググラスにはわざと入っています。 ですって」
買った時からわざと入っているもの? シャンパンのグラスを買ったことがないのでピンとはこないが注意しないと見れないくらいなんだろうな。
「シャンパングラスって見たことありますか?」
「シャンパングラスは見たことないですね」
「私も最近お酒飲めるようになったけどまだシャンパン自体飲んだことない」
お手上げと見たのかソラトさんは答えを発表してくれた。
「うっわ〜。 『ひび割れ』とかわからないよ〜」
ナッツさんは頭を掻きながら口をとんがらせる。
「シャンパングラスってもともとひび割れしてるんですか? 欠陥品みたいですね」
欠陥品ってわけではないと思いますけど。 でも何でひび割れしているんだろうな。 調べて見るとグラスの中にゴミや傷があると炭酸が抜けてしまうきっかけになるらしく、全体として散漫な泡立ちになるらしい。 そのため、その原理を逆手に取ったあるメーカーはわざと傷をグラスの底につけるらしい。 ひび割れとまではいかないがそういう理由で傷をつけてたんだ。 これで一つ賢くなったな。
その後も何問かクイズやなぞなぞを解いたが、正解率は〇パーセントに終わってしまった。
エンディングも取りラジオの撮影も終わった。
その後、先輩方がバイトしているラーメン屋さんに行き、七時半くらいに解散した。
解散する間際に水輝さんから
「来年の四月に向けて私がお世話になっているラジオ局『新・改革』とか言ってかなりの番組の放送時間移動や終わっちゃうらしいですよ」
と教えてもらったが、そんなこと僕に話してもらっても良かったのだろうか?




