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「何にしようかな」
卒業式前日。デパートで玲先輩の卒業祝いの品を買いに来ていた。
卒業式といったらやっぱり時計? でもなんだかなぁ。玲先輩らしいものがいいよね。
玲先輩といえば? いつもパソコン。うん。パソコンしか浮かばないや。
「私と話してるかパソコンで何か打ち込んでるだけだよね。本も読まないし、なんで図書委員になったんだろ」
謎の多い先輩だ。私が相手にされてないだけかな? こんなに熱烈アタックしてるのに。
「私、未だに玲先輩の連絡先知らないんだよ?」
もう明日で最後だというのに。これじゃあ連絡すら出来くなっちゃう。
聞かなかった私が悪いんだけどさ〜。
先輩らしいものなんて正直わからないから1番先輩らしくないものを選んであげようかな。最後に飛びっきりの意地悪だ。
「これにしよっと。先輩にはピンクがお似合いだ」
ピンクの可愛らしい桜の飾りが付いた、綺麗な栞。
紙とかプラスチックのやつじゃなく、お洒落な金属のステッキのような先端がカーブしているやつだ。
「本を読まない先輩にはぴったりだね」
ついでに両手で収まるくらいの小さめのヌイグルミも買っておく。
どうせなら勝手にペアにしてやろう。
青と赤のウサギのヌイグルミをセットで購入した。
ベッドにまたヌイグルミが増えちゃうけどしたない。この子の名前を玲くんだね。赤だけど。
赤を玲先輩に渡すのもいいけど栞と被っちゃうしなぁ……。大人しく青にしてあげよう。玲先輩可哀想だしね。
「後は……。お花かな?」
帰り道にはお花屋さんによって贈答用のお花を選ぶ。
ユズにアネモネに、クローバー。色んな花がある。どれにしようか。
ユズなんて花言葉ぴったりかもしれないね。
『恋のため息』
私っぽいでしょ? 先輩には伝わるとは思えないけどね。花言葉知ってるかな? 知ってても伝わらないか。
こんなお洒落な花言葉を持ってる花なんかじゃなくて、もっとシンプルなものにしよう。
「すいません。黄色いバラってありますか?」
店員さんを呼んで訪ねる。やはりこの時期になると需要があるみたいで在庫があった。
それを一輪買ってラッピングしてもらう。
明日は最後だ。泣かないように頑張らなくちゃ。
今日は先輩にあげるヌイグルミを抱いて寝よう。先輩に渡る前に私を染み込ませてやるんだから。
「ちょっとヤンデレぽくて重いかな?」
まぁ、最後だし許してくれるでしょ。誰がかはわからないけど。