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明日はバレンタイン。玲先輩にあげるチョコレートを作る。
チョコを溶かして粉と混ぜたり色々して完成。簡単にいってるけどこれで4回目の挑戦なのです。
先輩と行ったカフェの人にバレンタインにあげる美味しいのありませんかって聞いて教えてもらった。これで先輩を落とすのだ。
授業の後すぐに図書室へ。先輩はもう自由登校で毎日朝からずっと籠っている。
私的には嬉しいけど暇じゃないのかな? 暇だから来てるんだろうけど、友達ど旅行とか行かないのかな?
それは可哀想だ。よし、私が一緒に行ってあげよう!
「玲先輩! 旅行に行きましょう」
「おはよ」
「おはようございます!」
「今日は元気だな……」
安定にスルーされた……。せめて反応くらい欲しい。
「玲先輩毎日ここに来て暇じゃないんですか?」
「やることがたくさんあるからね」
そう言ってパソコンを叩く。
未だに玲先輩がパソコンで何をしているのか知らないや。絶対教えてくれないし。
「何してるんですか?」
「課題。期限が近いんだ」
なるほど。学校に提出するやつとかかな。
「大変ですねー。そんな玲先輩にこれをプレゼントですっ!」
鞄から昨日頑張って作ったチョコレートケーキを取り出して玲先輩に渡す。
「箱?」
「箱ですね」
「なんか入ってるの?」
「開けたらわかりますよー」
今日がバレンタインって知らないのかな。玲先輩はいつもわざととぼけたりあしらったりするから真意がわからない。
包装されたリボンを解き、箱をあける。するとその中からいい匂いが漂ってくる。
「お菓子?」
「しかも手作り!」
「……髪の毛とか入れてない?」
「私をなんだと思っているんですか」
失礼な流石にそこまでヤンデレじゃない。
「でもどうして突然お菓子を」
「今日バレンタインですよ? 誰からも貰えない玲先輩は忘れてるかもしれませんけどね!」
「今日14日だっけ……」
「ちなみに本命なんで!」
「ありがたくいただくよ。ありがとね」
またスルーされた。
私が玲先輩を好きなのは分かりきってるはずなのに、ここまでこんな扱いされると流石に脈なしとしか思えない。
若いんだから過ちとかないんですかね。既成事実!
「結構頑張って作ったんです。食べてみてください」
「それじゃ1つだけ。いただきます」
一口サイズのそれを手に取り口に運び静かに咀嚼して飲み込む。
暫く沈黙が続いた。
なんでなんも言わないの⁉︎ もしかして美味しくなかった?
「どう……です?」
不安になって恐る恐る玲先輩に尋ねる。
「うん。美味しいよ」
「本当ですか! よかったぁ……」
「後輩ちゃんは料理も出来るのか。属性もりもりだな」
「惚れました?」
「どこにそんな要素が」
「こんな優良物件他に絶対ないと思うんですけど……」
可愛くてスタイルもまぁ良くて料理ができて、一途で年下!
「自分でいうな」
「玲先輩が言わせてるんですけどねぇ」
「はいはい。暇なら積んでる本でも読んで消費しちゃいなさい」
「はーい」
卒業まであと少ししかないのに玲先輩ったら全然態度を変えない。いっそ襲っちゃおうか。
そーいえば先輩ショートのが好きって言ったなぁ。切っちゃおうか?
揺蕩う心と一緒に揺れるポニーテールに触れながら。
似合わないって言われたらショックだなぁ。