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94.採石場にておしゃべりがはじまる

■ 採石場 ■


 石の産出する山にある採掘ポイントまたはダンジョン。

 【鉱国】では『ヤターナー』に存在する。

 石工用の石または岩、花崗岩や御影石等と宝石に分類される石が採掘可能。

 深層になればなるほど手に入る石も希少なものになって行く。

 当然魔物も強くなって行く。自然トラップ落盤等にも十分注意して進みましょう


////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////



 「じゃあ、行くとするよ!」


 「ん、行く」


 「いや、チョット待ってくれ! 自分何も準備して無いし、そもそもスキルも何が必要よ。

石掘るとなると<採集>とか必要かね?やっぱり」


 「いらないよ!」


 「ん、いらない。じゃあ、行く!」


 「じゃあ、食事とか修理関係もいらないな?」


 「いるよ!」


 「ん、それはいる。早く教会に行ってきて」


 なんか物凄い煽られるが仕方ないか<野泊者>くっつけて出発しますかね。


 「あっパーティのリーダーは貴方ね」


 「何故に急に参加の自分が・・・・」


 「あたしは問題ないよ。集団戦でアレだけやれるんだ。任せるよ」


 まあ、いいか<軍術士>つけてりゃ問題ないだろう。


 行き先は『ヤターナー』から行ける石の坑道。

 要は採掘用ダンジョンだ。


 許可証を入り口で衛兵に見せればあっさりと中に入れてもらえる。

 二人も当然のようについてくる。

 まあ、一人はどう見てもドワーフだし問題ないのだろう。もう一人は自分と似たような許可証を首からかけているので問題なく通れるのだろう。


 特に火等は使わずに不思議な暖色の光源で、照らし出される坑道はどの壁も継ぎ目の無い石だ。

 そこを明らかに人工的に直線で綺麗に切り取られている。


 大きな石をくり貫くように造られている坑道なのだろうが、石の自然物としての不揃いな色感と人工的な完全な直線が生み出す風景は完全に自然で出来た洞窟や鍾乳洞とは趣が全く違う。


 まるで大昔の王様の眠る石室に迷い込んだのかと思える光景だ。


 入った場所は非常に大きな広間だが、徐々に下がっていくように階段がある。

 

 道なりに進み、広間から出るようにアーチ型の通路を抜けると次の部屋は中途半端に石が切り取られている部屋だった。


 「ここからが、採掘可能の場所。だけどここは初心者用のポイントで、小ぶりの石工用の石も出れば、価値の低い宝石も出る。魔物は出ないから安全に<採掘>をして下積みの経験を得る場所でもある。

 今日はここに用は無い」


 「初心者用って言っても掘り続けたら、その内枯渇するんじゃないの? それに部屋もどんどん大きくなって行くんじゃ……」


 「また生えてくるから大丈夫」


 嗚呼、生えるんだ石って。

 悠久の年月をかけた隆起や、水晶の成長とかそういうのは無いんだ。

 まあ、ゲームだしな、むしろ枯渇しちゃったら困るわな。


 そう言って、マ・ソーニが先導して、左の方に抜けるので、ついていく。


 そして、通路を二つ部屋を二つ抜ける。

 どの部屋も入り口のような広間ではないが、採掘するには十分な広さだ。


 数は少ないが、男のドワーフ達が時折つるはしで壁を掘っている。

 あんな乱暴に石削って穴掘ってで宝石が傷ついたらどうするんだろ?とか思うのは野暮だろうか。


 「んで、そろそろ聞きたいんだけど今回の狙いは何なの?」


 「ユー何とかって言う石だね。赤か赤紫、ピンクって感じらしいね」


 「ユーディアライト」


 「嗚呼、ガイヤには似合いそうだな。真っ赤なやつとか出るといいな」


 「あたしじゃなくて、スポンサーの依頼だって言っただろうが!」


 「そう言えば、スポンサーって何なのか聞きたかったんだわ」


 「ふん!そのまんまだよ。闘技場ってのは要は興行だからね。何とか杯だ、かんとか記念だ。ってやるのさ興行主たちがね。そしてお抱えの【闘士】なんてのもいたりするのさ」


 「なるほどねぇ。それは誰でも選べるものなの?」


 「いや、闘技場の主な評価は二つ『人気』と『強さ』だ。そしてランキングがある。それも総合だけでなく分野別だったりね。あたしは【拳闘士】部門のランカーさ」


 「人気と強さのどっちさ?」


 「両方の総合の点数だね。どうやって計算してるかは知らないがね。強さは簡単戦って勝てばいい。問題は人気だね。一応今のところ分かってるのは興行主やその日のイベント内容によって客層が変わるから、それに応じた戦い方をすると評価が上がるみたいだね」


 「その評価ってのはどうやって分かるのさ?」


 「ファイトマネーのボーナス見りゃあ一目瞭然だね」


 「なるほどねぇ、んでランカーになるとスポンサーがつくって訳か」


 「話はそこまでにして! 魔物が出た!」


 前方を見ると岩だと思っていたのはどうやらゴーレムだったようだ。自分と同じくらいの身長だが、こいつはまずい


 「あのさ、自分打撃力無いんだよね。ゴーレムとか対処しようが無いし、やっぱりついてこない方が良かったんじゃなかったのかね?」


 「まあ、そう言うなって、とりあえずこいつは任せておけばいいさ」


 と言って自分だけじゃなくガイヤも傍観する構えだ。


 「ん、私がやる!チョット下がってて」


武技 圧砕(クラッシュ)


 のっそり動くゴーレムに思いっきり溜めた、両手鈍器の一撃。

 どんぐり状のえげつないサイズの鈍器を使用し、

 まずは突起の少ないうっすら張り出した球状面で一撃。


 一発でひびが入る。


武技 粉砕(パウンド)


 尖った円錐状の方でもう一撃、完全に砕かれるゴーレム。


 「なあ、自分必要ないでしょう? どう考えても」


 「まあ、ゴーレムはあたしも苦手だしそう気にすること無いさ、誰にでも得手不得手があるんだからパーティ組むんだし」


 「いや、マ・ソーニいれば十分じゃん。石掘るにしてもゴーレム倒すにしても」


 「まあ、確かにマ・ソーニは頼りになる相方さ。何人かのスポンサーから声をかけられたけど、なんとなくで女のスポンサーを選んで正解だったわ」


 「スポンサーって依頼とかしてくるものなんだ?」


 「スポンサーがつけば、御用達の特殊な武器や素材を扱う店に入れたり、今までとは違ったクエストを受けられたりと良い事尽くめさ。クエスト成功報酬も桁が変わるしね」


 「【闘士】のクエストって普通闘技場で戦うことじゃないの?」


 「基本はそうさ! 特にあたしのスポンサーは女性だからね劇みたいなストーリーのある興行を好んで企画するのさ、英雄よろしく重装兵に扮装した相手複数を倒しながら一番奥の姫君に宝石を届けるイベントとか」


 「へ~ドラマチック~顔がいいほど人気出るんじゃない?」


 「はっはっは! そう不貞腐れるなよ。どんな顔してるか知らないけどね。ちなみに顔は評点に入ってないって噂だけどね。アバターまで評価されてたんじゃみんなイケメンだからね。

 まあ、そういった興行の他にも依頼が色々とあるのさ、あたしの場合は綺麗な物を集めてくる依頼が多いね。その関連でマ・ソーニを紹介されてこうしてつるんでることが多いのさ。

 何せあたしのスキルビルドは戦闘向きのものばかりだからね、生産やら採集やらはどうあがいたって無理さ。

 あんたも【兵士】なら【兵舎】で任務をいっぱいこなしたほうがいいよ。誰も信じやしないがね。めんどくさいの効率が悪いのと言ってね」


 「いや、自分も散々任務こなしてきたから、100人ヒュムを連れて歩いてたし、任務の大事さは分かってるつもりだけど」


 「あぁぁぁん? ああ、そうかあの時の集団戦の雇用NPCは最初から仲間だったわけかい。それじゃあ集団戦のエキスパートって所なのかねあんたは。依頼でそんな人数連れて歩かされるんじゃ。そういう方向性なんだろうね。

 ふん、いいじゃないか、久々に骨のあるプレイヤーを見たよ。今度一度闘技場でやろう」


 「まあ、断るけど。相手の土俵で戦わないのが、軍を率いるものとしての心得だと思うし」


 「ふん、まあいいさ、どうせいずれ戦うことになるんだからね。本当の強プレイヤーなんてのは今のところ限られてるんだ。いずれ必ず戦りあうことになるさ」


 なんかやたら不穏なこと言ってくるし楽しそうに、そんな事を駄弁りつつ、たまに出てくるゴーレムはマ・ソーニが一掃、いくつかの部屋と通路を抜けて、分岐点にたどり着く。

モチベーション切らさないように何とか書き上げましたが、誤字脱字あったら教えてください。

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