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69.嵐の岬と前哨戦

 ■ トルトゥーガ ■

 【海国】の都の一つ

 国の監視がゆるく、かなり自由を許された土地柄であるが故に人も多く金も多く事件も多い

 そんな猥雑な環境が好みであれば拠点にすることをおススメする。

 本ゲームではNPCを相手にした海賊行為は不可能だが、

 NPCの海賊や幽霊海賊船等と戦闘を楽しむことは可能である。

 また、プレイヤーを相手にした海賊行為は可能である


///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 「おはよう。アンデルセン」


 訓練場に向かうと嵐の岬のメンバーがすでに集まっていた。だが昨日の喧騒が嘘のように今日は集まりが悪い。20~30人位か?


 「よう隊長!来たか!現実では夜だけどな。こっちではログインして無い時は寝てることになってるしな。ログインの時におはようってのは悪くないな」


 「今日は訓練場に来てる人数少ないみたいだけど、もう夜だし皆寝たかい?」


 「んな訳有るかよ。皆とは言わないが社会人だって多いんだ今が一番ログイン数が多い時間さ。

 みんな昨日の一件でそれぞれに活動してるよ」


 やっぱり、自分の態度が悪かったようだ。妙にぴりぴりと苛立ってあれじゃ嫌われるよな。


 「自分の態度も悪かったしな、嫌になっちゃったか?すまなかったね」


 「あ?何言ってんだよ。隊長の強さの秘密を普通に明かしてくれたから【訓練】組みと<戦意>取得組みと別れて活動してるだけだ。

 隊長は現実で何もやってないのにあれだけ強いって聞いて皆何気に気合入ってるぜ。

 時間にある程度余裕があって、隊長がいない間に【訓練】出来る連中だけここにいるだけだ。

 今日はどうする?」


 なるほどな、流石最強を自負するだけあってみんな向上心が高いんだな。

 ちょっと思ってたのと違ったからって、生意気言うもんじゃないな。恥ずかしい。


 「それなんだけどな、よく考えたらそっちのやり方を知らなかったなと思ってさ。

 なにせプレイヤーとパーティ組んでなんてことやってこなかったからな。

 自分のやり方ばかり押し付けてもうまくいかないだろう?お互い持ってる物すり合せて出来るだけ頑張ってみようみたいな方針」


 バルトがぬっとこちらに現れた。


 「おい、昨日はもう少しピリッとしてたろ?緊張感をどこに置いて来たんだ?」


 「そうだっけ?どこかな?」


 「ボス無理だぜ、普段は大体こんな感じだ。人を食ったような冗談しか言わねぇ。昨日は偶々だな。大方初対面の人間が多くて緊張したんだろう」

 

 ちょっとあきれた感じでアンデルセンが言うが、確かに自分は人見知りな傾向は有るかもしれない。


 「ところで、そっちは普段どんな活動してるのさ?任務やってないならなんか他にあるだろ?まさか街道の魔物ばっかり狩ってるわけじゃないだろうし」


 「そうだな、じゃあ今日はうちの狩りに付き合ってもらうか。どれくらい時間はある?」

 

 バルトは納得したのかどうか分からないが予定時間を聞いてくるので


 「今日は内部で5,6時間かな?結構あるほうだと思うけど」


 「十分だ。アンデルセン釣り馬鹿に連絡入れとけ」

 

 「おいボス!釣り馬鹿って事はあの魔物やる気だろ?流石にあいつは・・・・」


 「どうせ今回の蛇もどんな相手か分からないんだ。隊長のアドリブもついでに見せてもらおう。って訳で指揮は隊長にとってもらうぜ!」


 「そっちのやり方を見たかったんだけどね。まあいいや、やってみよう」


 そうして、訓練場から嵐の岬のメンバーと移動する。


 【古都】のポータルから【海国】へと飛ぶようだ。

 何気にポータルは集団戦イベントの時以来だが、なんとなく雰囲気が違っている。

 綺麗な屋根付きになっているし、順番待ちの人が困らないように列の並び方もきっちり決まっている。

 さらに搭乗ゲートのような物も設置されているが剣を持ち込んでも怒られないだろうか?


 緊張しながらゲートを抜ける。多分警備の【兵士】の前を抜けたが特に何も言われずに済んだ。

 ポータルに触れて行き先を言う


 「トルトゥーガ」


 ぐにゃっと体が曲がるような感覚と共にいつの間にか海岸に立っていた。

 船着場だろうか?表現する語彙が少ないのがもどかしいが、外国のお金持ちのヨットが一杯並んでいる桟橋を思い出す光景だ。

 停泊している船はキャラベルだろうか?それともサンブークかな?一本マストではないからダウではないだろう。

 キャラックやガレオンと言うには小さいと思うがどうだろう。

 そんな風に船を眺めていると

 後ろから、バルトの声がする。

 船着場の逆陸地側は繁華街のようになっているのだが、ガラが悪い!正直直視したくないほど怖い。

 絶対ここ海賊の都だわ。そしてバルトが似合いすぎてる。


 「本当は俺たちの拠点をゆっくり案内したいところだが、今日のところは魔物狩りとしゃれ込もう。こっちの船が俺たちのだ。現実には操船にはそれなりの人数が必要なんだろうが、こいつは簡単操作だ」

 と言って、2本三角マストのキャラベル風の船2隻に別れて嵐の岬の面子が乗り込む。


 海に出ると海風が気持ちいい、潮の匂いだ。ここのところ海なんて行ってなかったな。

 土曜どころか日曜日も仕事なんて珍しくないし、たまの休みには寝てばっかりだ。ほんの隙間時間にゲームをやるくらいか。

 今度ちょっと無理してでも、海を見に行くのも良いかもしれないな。


 そんな風に思いながら、ただひたすらに続く海原を眺めていると右手から声が上がる。

 どうやら目的地が見えたようだ。

 自分も声のするほうを見やると島があった。


 そのまま島に接岸し、小さな入り江に船を停めると海沿いに歩いていく。


 すると砂浜が広がっていた。

 なんと言うリゾート感、南国風の木々が立ち並ぶ陸側と太陽を照り返す綺麗なライトブルーの海。

 そしてその間を絶妙に取り持つ白い砂浜。

 一人その砂浜から釣竿を投げる麦藁帽子のおっさん


 「おっ来たかボス!そこの地味なのが噂の隊長か?噂どおり地味だな!まあ、いいさ。今日こそあいつと決着を付けるときが来たな。もうすぐ引くはずだ。ちょっと待っとけ」


 勝手にまくし立てた挙句、また海を見る麦わらのおっさん


 「さてバルトこのおっさんが言うにはすぐにでも敵がお目見えのようだけど、部隊編成はどうする?」


 「そうだな20人だからな、5人のパーティを・・・・」


 「待った、自分は中隊長だから自分の他に20人のパーティを率いることが出来る。要は21人パーティを編成できる、ただし自分が隊長と言う扱いの場合のみだが」


 「なに?そりゃあ有利すぎるだろ。まあ、今回は構わない。あんたに指揮取ってもらう予定だったんだからな、最初から。

 で、どういう編成が動かしやすい?一応タンク、近接アタッカー、術系、支援系で揃えてるんだが、どうやって組む?」


 「兵科ごとでリーダー決めて組んでもらうほうがやりやすいかな。タンク5人、近接アタッカー5人、術系5人、支援系5人でそれぞれ組んでリーダー決めて、それぞれ横に並んで、タンクが1列目、近接が2列目、自分が3列目、術士が4列目、支援が5列目。

 ばらけて囲む配置も良いけど相手の大きさも数も分からないんじゃ、とりあえず横隊からはじめるよ」


 「分かった。よし今回の戦闘に参加する奴名前を呼ぶぞ!呼ばれた奴はさっさとパーティ組んで準備しろ!」


 「おお~い、バルトかかったぞ!引き上げちゃって良いか~?」


 麦わらのおっさんがどうやら噂の魔物を引いたようだ。


 だがまだ準備が・・・・おおよそ終わってるな。早いな。後は自分が全員を部隊に組み入れ、深呼吸をする。


 麦わらのおっさんもどうやらパーティに入っているようだ。


 クエスト発見者といった扱いなのだろうか?多分おっさんがいないと進行しないのだろう。


 ひとまず配置は完了。

 麦わらのおっさんが巨大な何かを一気に海から引き上げる。

 するとでっかい影が砂浜に落ちてきた。


 ワニ?にしては妙に大きな鰭がついてる。あれだ首長竜の一種のなんかだ。

 ちなみに自分の恐竜知識は・・・・

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