64.力を求む
■ 凍傷 ■
状態異常の一つ
すばやさと器用さが極端に下がる。さらに悪化すると動きが停止する凍結状態となる
フィールド効果寒冷でも同様の状態になる。
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次のログインの時にはすっかり気持ちを入れ替えた。
素直に力を求めよう。
どこまでとは言わない。今自分に出来る限りの力を
まずは装備だ。宝剣とアイテムバッグは無事だがそれ以外は全て修理だ。
久々に初心者服を出し、支給品装備で身を固める。
次にスキルだ。出し惜しみせず出来るところまで合成してしまおう。
<剽剣士><不動心>
<防衛域><軍術士><行軍>
<古樹><氷精術>
控え
<言語><跳躍><分析><掴み><生活><疾走>
<剽剣士>=<小剣>+<皮殻甲>+<剣技>+<歩法>
アビリティ 職業スキルの為三つ
剽剣士心得
急所 急所ダメージ増加、急所攻撃時硬直効果
剽悍 すばやさ上昇、連撃ダメージ補正
<防衛域>=剣力+ブロック+殺意軌道(殺気+予測)+広域把握(空間把握+範囲拡大)
アビリティ
防衛意識
真眼 心眼の上位版、死角の攻撃予測が可能
後は、教官のところに行くだけだ。
自分だけで何をやったところで、駄目だろう。
本隊が本格的にヒュージスライム討伐に来るまでにどれくらい時間があるかも分からない。
しかし、奪われた尊厳は可及的速やかに取り返す必要がある。
なぜならここはゲームだ。現実みたいにへらへら笑ってやりすごさなければ生活が成り立たないなんて事はないのだ。
全力で、本気で、心のままぶつかって行ってもいいはずだ。
「兵長、悪いけど・・・・」
「当分は【訓練】か?いいぜ、ただし週に一度はスライムを狩れよ。これ以上瘴気が広がるようなら本隊も急いで動かなきゃならないだろうからな」
「分かった。ありがとう」
「ああ、教官が待ってる行ってこい」
訓練場に着くと教官が待っていた。
「おう、やる気みたいだな。<剽剣士>なら俺のスタイルを伝えることが出来る。心して受け取れ」
「はい、了解」
「今から伝えるのは<氷剣術>だ。氷精の力が宿った武器でしか使用できない術だな。今お前が使っている<氷精術>は失われる。」
「じゃあ、遠距離攻撃も失うと?」
「まあ、そうなるな。多少の範囲攻撃なんかはゆくゆく覚えられるがな。やめておくか?」
「いや、お願いします。教えてください」
教官が、教えようとしてくれているのだ。信じる他無い。
今の自分には他に強くなる手段など思い浮かばないのだから。
「<氷剣術>自体はこの国のそれなりの猛者なら使える者も多い。理由は簡単、<氷精術>が取得しやすい事と、貸与される宝剣に氷精の力が宿っているからだ。
そして、俺のスタイルは小剣を使用した上で防御から始めるスタイルだ。まさにお前のブロックスタイルそのものだな。それに<氷剣術>を絡めて行く」
「ってことは、同じ<氷剣術>使いでも戦い方は変わってくると?」
「そういうことだな、お前の支給された宝剣が小剣サイズなのは、多分俺から剣を教わってるっていう情報から上が気を使ってくれたのだろうな」
「そういうことでしたか、じゃあ、早速お願いします」
「そうだな、基本は『凍牙』だな
<氷精術>のフリーズタッチがあるだろ?相手に『凍傷』のデバフを与えるあれだ。
剣に冷気を纏わせてブロックすると硬直時間を延ばし、さらにブロック成功時又は攻撃ヒット時に凍傷を確率で与える術だ。
ただし、剣に冷気をまとわせている間は精神力が減り続けるからな」
「その術だけですか?」
「いや、それが戦い方の軸になるってことさ、その先は戦闘をこなしていく内に自分なりに閃くだろうから基本を教えてやる。宝剣を抜け」
そうして【訓練】が始まった。
以前のとにかくめちゃくちゃ攻撃を浴びて、ブロック能力やその他もろもろ基礎能力を引き上げる【訓練】とは違う。
剣から冷気を発して制御する方法に始まり、丁寧に動き方や術のコントロールを教わる。
週に一度はスライムを潰しに行き、ヒュージスライムを眺めながら次の戦いの時を想像する。
剣以外で受ければ、前回の二の舞、すべての攻撃を剣で受け相手の体積を減らしていく。
後は、ここぞというところで核に剣を突き立てることが出来れば、勝てる。
そろそろいける気がするし、まだまだ駄目な気もする。
逸る気持ちとしり込みする気持ちがない交ぜになって普通ではいられない。
しかし、まだ勢いに任せて突っ込むには早い。
まずは、教官の術と戦い方を吸収する。
ヒュージスライムに復讐を誓って