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62.【帝都】と出陣式

 ■ 所属地域 カラー ■

 【帝国】では所属地域によってそれぞれ使用する色が決まっている。

 中央は赤 海側西部は白 北部は黒 東部は青

 となっている。

 南部については大河沿いに都があり大河を越えてすぐに他国となる為、南部というくくりは存在していない。


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 案の定、兵長に言われるがまま軍の礼服を作ってしまった。


 まあ、デザインは思ったより普通で助かった。


 白いタイツとかだったらどうしようかと思っていたが、実際には、暗いグレーのスラックスとダブルの詰襟みたいなもんだ。裾は前が短く後ろがやや長いけどタキシードみたいなものだろう。

 紐とかごちゃごちゃないだけ助かるわ。

 学生時代を思い出し、鏡を見ていると


 「何で前のあわせを閉めてるんですか!今回の式典は室内なんですから前の合わせは一番上だけ折ってくださいよ!」


 といいながらルークが上着の前部中心のダブルになっている部分を気管支の辺りから上の部分だけ折り返す。


 「右上腕の白いドラゴンは帝国のシンボルです。帝国の初代皇帝の伝説に出てきます。そしてこの襟内の色と詰襟のラインの色が青なのが東部の所属、詰襟の右の車輪のバッジが輜重隊のマーク、左の星の数が階級ですからね。あと勲章も持ってるんだから左胸につけてくださいよ」


 「勲章って魔物から得たもんなんだけど、つけていいの?」


 「当たり前でしょ!それが無きゃ隊長は中隊長じゃないんだから。通常は上から下賜されるものですけど、魔物から得たって事は神様の思し召しですよ。絶対に必要です」


 「分かった、後何か注意することはあるかね?」


 「まあ、隊長は今回の式典でも階級はそこまでじゃないし、ただ、兵長の言うとおり先行部隊となれば対邪神兵装を預かる形になるかもしれないですから、その時は『謹んで拝命します』って片膝突いて言えばいいですよ。何か差し出してきたら両手で受け取ること!それだけです」


 「片膝突いて『謹んで拝命します』」

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 そうして出陣式当日、なんだかんだ初めて来た【帝都】をろくに見る間も無く、式典会場へ


 着いたは良いけど、どうしたらいいのか本当に分からない。入り口でまごついていると一人の【兵士】が話しかけてくる。自分知ってる兵装と大分違うということは【帝都】守備兵か近衛兵、でなければ儀仗兵だろうか?


 「どうかなさいましたか?」


 本気で困ってるので素直に伝えることにする。


 「今日の式典に参列するように言われているんですけど、なにぶんこういったことは初めてで、困ってます」


 といいつつ所属と名前を伝えると


 「それでしたら席までご案内いたします」


 出席者名簿を確認することすらなく案内される。全ての参列者の名前を覚えているのだろうか?流石は都会の【兵士】さん、うちとはレベルが違うのだろう。


 席まで案内してもらったので、


 「助かりました。ありがとうございます」


 「いえ、もしよろしければ握手をしていただいても?」


 それ位構わないし、むしろこちらが感謝の意を示してそうしたい位なので、礼服の白手袋を外して、握手をする。

 すると元の持ち場に戻っていく【兵士】さん同僚と何かしゃべっているようだ。


 「(うわーあれが噂の東部輜重隊の隊長さんだよ。輜重隊にもかかわらず、この前の祭りで武功をあげた立志伝中の人だぜ)」


 「(えー俺も話したかったなぁ。どんな人だったよ。やっぱりごりごりの武人みたいな?)」


 「(いや、全然逆、物腰の柔らかい人だったよ。階級とか俺より全然上なのに偉ぶらないし)」


 「(いや、それは向こうが所属が東部の田舎だから一概に階級だけで物を言えないからじゃ・・・・)」


 「(何言ってんだよ、勲章見てないのかよ。国から出されたものじゃないぜ、神に認められた称号だぞ。それこそ地方だろうと何だろうと関係ないだろうが)」


 「(ま・じ・か~なんでそんなに強いのに輜重隊なんかやってるんだよ)」


 「(でも、今回は対邪神の先行部隊に抜擢されるかもしれないんだろ。すごいわ~。どこまで行くんだろあの人)」


 なんか、ちらちら見られてる気もするが変な感じだ。まあ、気のせいだろう、田舎の輜重隊の事なんか知るわけないだろうしな。


 なんとなく一人でそわそわしていると式典が始まる。


 「全員起立!まず国務尚書より邪神の尖兵である『スライム』発生の正式発表と今回の邪神侵攻に伴う非常事態宣言を行う」


 「それでは、まず今回スライムの発生した地域である【帝国】最北東部渓谷地域の---」


 話が難しい、そして長い。校長先生のお話か!といいたいところだが、自分の通ってた学校の校長先生は話を5分でまとめるよう、毎回内容を考え吟味していたのでその思い出とは合致しない。


 「次に軍務尚書より今回の作戦概要を説明する」


 「地域的な制約から今回の作戦は3段階と捉えてもらう------」


 話がさらに難しい、そして長い。多分命令自体は別口に降りる筈だから、兵長に聞こう。

 質問いいですか?とか聞けるもんじゃない。虚空を見て全然関係ないことを考えていると。


 「では、コレより任命式を行う、各代表は皇帝陛下より対邪神兵装【宝剣】を授与される。謹んで受け取ること」


 「では、対邪神対策総指揮 司令長官---- 現地司令部指揮官 東部領土総監---- 」


 なんか司令長官や総監や、将軍なんかが指名されていく。ことごとく初老のようだが、あれかな?歴戦の勇士だったりするのかね?

 ぼんやりと呼び出されては、皇帝陛下の前に片膝突いて何か受け取ってる人たちを眺めていると


 「対スライム先行部隊 実動部隊隊長 東部輜重隊隊長-----」


 ん?うえ!自分だ!完全に不意を突かれた。


 何とか通路に出て、皇帝陛下の前に片膝を突いて跪く


 「(そなたには期待しているよ)」


 何かボソッとつぶやいて、剣を差し出してきたので頭を垂れて両手で受け取る。


 「謹んで拝命いたします」


 何とかなった。ルークのおかげだ。その後は前に習って自分の席に戻り、突っ立って話を聞いていただけだが、緊張のあまりほとんど頭の中真っ白だった自分には何が何だか分からなかった。


 式典が終わり、ぼちぼちと皆が退場し始めると人ごみに紛れ、気配を消してそそくさと立ち去る。


 すると肩に手を置かれる。

 優しげな自分より少し年上のお兄さんが立っている。年齢ははっきりと上だと分かるが歳を取っているイメージの無い人だ。


 「なにかございましたか?」


 明らかに自分より階級が上と思われる階級章と勲章をぶら下げている。無碍な対応は出来ない。


 「噂はかねがね聞いているよ。この前の祭りの試合も見せてもらったし、ちょっと聞いてみたいことがあってね」


 「はっ何でありますか?」


 「そう、硬くならなくていいよ。優秀な指揮官だと聞いているのに自ら希望して輜重隊の隊長をやっているそうじゃないか、もっと前線で戦ってみたく無いかと思ってね?」


 「自分の希望ではないです。兵長にはめられました」


 「はっはっは!そんなところじゃないかと思ったよ。相当気に入られたようだね。ところでもし前線に呼んだら来て貰えるかね?」


 「命令とあれば前線でも参りますが、現在のポジションに不満はありません」


 「ふむ、そうか。分かった。ありがとう止めてしまって悪かったね」


 「いえ、滅相もございません」


 と言ってその場を立ち去る。偉い人なのは間違いないのだが一体誰だったのだろうか?


 まあ、いい、貸与された剣を持ってそそくさといつもの【兵舎】に帰ることにする。

 

 今日は疲れた。速攻飯食って寝よう

毎日更新を楽しみにしてくださる方には大変申し訳ないのですが、ちょっと更新遅れます。

風邪と仕事の事情です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 兵長にはめられたw正直に言うなw
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