最終話.おっさんのエピローグ
ゲームの中では好きにやりたい事が出来るものだが、現実では中々そう上手く行かない。
それでも最近は周りの環境が変わって、珍しく連休なんてものが出来た。
どうやら親会社からの注意が入ったらしい。
うちの会社は基本親族経営だが、仕事を貰っているのは一社だけ。実質子会社と変わらない。
社長は一端の社長のつもりで、好き放題できると思っていたらしいが、会長と仲の良かった親会社のトップが交代するのと同時に締め付けが厳しくなった。
厳しいって言っても法律を守らなくちゃいけなくなっただけなので、当たり前のことなんだけどね。
思い通りにならない社長のストレスが、はけ口にされる社員にぶつけられ、今迄以上にギスギスする職場。
しかし、不思議と自分の周りは無風状態。
ただ待遇が改善されるばかりで、いい事しかない。
まあ、とにかく連休だが、取り敢えず久しぶりに旅行してみた。
何となく海が見たくて、適当に電車に乗りふらっと行った先は、
雪こそ降っていないが【帝国】の様などんより曇り空。
しかし、暑いのがあまり好きじゃない自分にはちょうどいい。現実には耐暑装備なんて無いしさ。
船着場近くの定食屋で朝取れた魚の刺身定食を食べて、そのまま防波堤へ。
波が高くテトラポッドにぶつかり飛び散る白い飛沫が体にかかるが、悪くない。
今が何時か忘れるような薄暗い曇天に荒い波が、まるで人生のようだなんていったら言い過ぎだろうか?
そのまま、ただただ海を眺め続ける。日本海の荒い波に余計な思考が押し流されていく。
「飛び込んじゃいかんよ」
唐突に掛けられた声に振り返ると、犬を散歩しているおばあ……お年をめしたお姉さん。
「いや、飛び込みませんけど」
「海は人を引き込むから、気をつけんと。程々にしておきな」
そう言って、犬をつれて何処かに行ってしまった。
ふむ、目上の忠告は聞いておいてもいいか。
本当にただ海を見に来ただけなので、他にやる事もない。魚買っても家に付く頃には悪くなっちゃうし……。
乾き物をいくつかと地酒を御土産に家に帰る。
泊まっていっても良かったのだが、なんかそういう気分じゃなかったので、帰りは宿泊費を新幹線代に変えて、
のんびりと家に帰る。
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ほとんど移動だけの旅行だったが、たまにはいいものだ。
いつもの行きつけの居酒屋に寄り、旅行してきた事を伝えれば珍しがられるが、
そこまで深く突っ込んでくるわけでもない、居酒屋のおやじ。
愛想がいいわけではないが、無愛想でもなく、余計な事には口を挟まず淡々と安くて上手い食事を提供してくれる。
因みに酒は夕方6時以降のみ。近くに学校があるんでその時間まではただの定食屋。
久しぶりの非日常とただの日常。
若い頃は色々不満があったと思うし、将来は不安だった。
その時々好きに生きてきて、行き着いた場所がここ。
今も不満はあるが、いい歳になって何故か少しづつ世の中が良くなっているように感じるのは自分だけだろうか?
こんな歳になって将来に希望が持てることがいい事なのかどうかは分からないけど、
今日も帰って自分はゲームを起動する。
ゲームの中でもやらなきゃいけない事はいっぱいだ。
長年と言ってもいいのでしょうか?
自分より長く執筆されている先生方はたくさんいらっしゃいますが、
自分にとって最初に書いた作品がこちらになります。
まさか2018年に書き始めたときに2022年まで書き続けているとは想像していませんでし、何度投げ出してしまおうかとも思いましたが最後まで書けたのは本当に皆様のおかげです。
本当に長い間お付き合いありがとうございます。
ちなみにこの後はソタローの物語を書きたいと思っています。
それに伴いタイトルを変更しました。よろしくお願いします。
https://ncode.syosetu.com/n8019hp/ ←ソタローの物語になります。




