604.【旧都】侵攻ちょっとお休み
がつがつシチューを食べるルーシーに、どんどん食事を出してやる。
やっぱり一番働いたヒトがいっぱい食わないとね!少なくとも、うちの陣営は食料が足りないって事はないからさ!
「は~食った~!さて報告だな」
「うん、頼むよ!」
「いや!報告してから食事だろ!」
どこからともなく無粋なツッコミが入るが、当然食事をしてから報告だ。
もし、緊急なら言わずとも報告してくれるんだし、もう準備しちゃってたんだから、
一回食事して仕切りなおして、気合十分で突撃するなり、なんなり……。
「何にもなかったな」
「だと思った。それで敵の様子は?」
「敵もいない。人っ子一人いない」
「はぁ?」
ん~どういうことだ?退却したって事か?
いやいやいやいや!そんな何の抵抗も無しに、こんな重要拠点を明け渡すわけないじゃ~ん!
「はい!退却!皆一回帰るよ!」
「どういうことだ?敵がいないんだから、このまま占拠してしまおう」
「いや100%罠だから!いや~ソタローもやるよな~。器がでかいわ!」
「どういう事だ?罠があるかもしれないってのは分かるが、器がってのは?」
「自分の得意技、砦潰しを都1個でやろうって訳」
「うぇ……そりゃひどいな。でも確かに【旧都】が無くなれば、本拠地が西の【帝都】、東の【古都】に分かれるから、距離的な意味では互角になるのか」
「そういうこと。逆に自分達が【旧都】を占拠すれば、こっちにかなり有利な状態になる」
「じゃあ、どうするんだ?」
「過酷な任務を頼む事になるけど【偵察兵】を複数隊に分けて、交互に【旧都】潜入及び探索」
「罠を探し出すしかないのか。最悪どこかの隊が罠にかかって全滅の可能性もあると」
「うん、流石に【旧都】スルーでこのまま攻め込むのは怖いからね」
「時間はかかるぞ?都は砦とはサイズが違うからな」
「仕方ないよ!慎重に頼む。近隣の町に連絡は入れておくから【偵察兵】の拠点に使って、お金も食料も渡しておくし」
「分かった。こっちは任せてくれ」
と、言うわけで一回引きあげる。
大部隊を動かすにはお金も労力もかかるが、仕方ない。損切りってやつだ。このまま滞陣して無駄金食いつぶすよりいいだろう。
なにしろソタローが何仕掛けてるか分からないもんな。
地形的に雪崩はないだろう、大河を塞いで洪水も河族を自分が抑えている以上無理。
となれば、大爆破か大沈没か、いや、自分の予想がつかない方法だってある筈だ。
何の収穫も無しに引き上げなんて普通は不味いんだろうが、ここはのんでもらおう。
駄目だって言うなら、自分が単独で【旧都】に侵入して調査するしかない。それで被害が最小限に収まるのなら、それが一番いいだろう。
兎にも角にもまずは引き上げ、大急ぎで陣地を片付けて、すたこらさっさと一目散に【古都】に退避。
皇帝以下誰も、自分を責めなかった。寧ろ自分が単独で【旧都】に潜入しなかった事を褒められたのが解せぬ。
ふむ、当面は小さい町村の小競り合い程度、流石にそれは任せておくほか無い。
自分は【帝都】決戦の陣容を決めなくちゃ。
外の場合と【帝都】内の場合とね。しかし折角の都を火の海にはしたくないし、
やっぱり外で決戦。開城した後、正面から国務尚書VS皇帝と白竜VS自分となるのが、一番被害が無くて理想的かな。
そうなると、ビエーラの遠距離攻撃隊の配置とカヴァリーの機動遊軍の使い方が勝負の分かれ目になるのかな。
因みに重機関銃は雪に埋まっちゃうので、使用できない。
ソリに乗せてみたけど、撃った瞬間ソリ壊れちゃう。
そうなると、既存の兵種で戦うしかない。本当にガチ集団戦か。自分が邪神の化身の力で横槍入れてもいいけど、ガイヤに正面からやれって言われちゃったしな~。
それにしても【古都】が随分物騒になったと言うか、いや治安はいいのだが武装が物々しい。
多分クラーヴンが暇に飽かして、そこら中に重機関銃を設置しているんだろうが、
市街戦になった場合も想定して、そこら中に重機関銃を設置していやがる。
流石にやりすぎなので、クレームをつけにいくと、
「なぁクラーヴン……何じゃこりゃ!」
目の前にはキャタピラに重機関銃が載った戦車?重装甲車?
いやいずれにしてもコレはいかんだろ!ずる過ぎるじゃんって言う兵器がゴドレンの店裏に駐車してあった。
「どうした?隊長?硬直して」
「いや何で戦車作っちゃったの?」
「ああ、そいつか?カーチの機械人形の一つで、重量の許容量が大きかったから、試しに重機関銃載せてみた」
「なんかクラーヴン最近あちこちに重機関銃設置してるじゃん。気に入っちゃったの?」
「いや、やる事ないから設置してるだけだぞ。暇なんだ。鍋の注文も包丁の注文もこねぇ。うちは鉄具屋だからよ。剣も作るし、日用品も作るんだ」
「じゃあ、内乱中だし剣作れば?」
「一般兵士に卸すような普通品質の物は、鉄のある限り作って売っちまった」
「他にやる事ないの?」
「お前さんの装備だが、色々凝りたい所があって、保留中だ。あと<象印術>も使いたいしな。よく考えたらガードやブロックに剣を使うお前さんに何で<象印術>刻んでやらなかったのかってな」
「いや、クラーヴンの鋼の剣は気に入ってるから別にいいけどさ」
「そういうことじゃねぇんだ。なんだかんだ【鉱国】の鍛冶職人プレイヤーの方が俺より腕がいいんだろうなって勝手に思ってて、中々【鉱国】に行かなかった事がもったいなかったなって思ってるだけなんだ」
「ふーん、まあ自分もまだ<晶印術>も<粧印術>も<象印術>もとってないから、そんなに焦らなくていいよ。内乱後が終わったら【鉱国】に遊びに行こう。預けっぱなしで気になってるNPCもいるし」
「そうなのか?じゃあ内乱終わったら【鉱国】な」
「あっそうだ!暇なら【兵士】達に暗視用装備頼む!切り札になるかもしれないからさ!」