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594.唐突にガイヤに喧嘩を売られる

 【古都】に戻り【兵舎】に篭って次の作戦を考えていた。


 正直【旧都】を干す作戦は結構時間がかかる。その間に再び侵攻してくるのは目に見えているので、敵をどう迎え撃つか悩みどころだ。


 出来るだけ兵力は使いたくない。やっとこ勢力を盛り返してきているだけのうちの陣営はまだガタガタ。


 こう、なんか、悪辣なやり方で嵌め殺したい!


 何より白竜が出てこないかな?と思ってるんだよね。実はいないんじゃないか説をこれだけ流布されたら、出すしかないと思うんだよな。


 白竜が出てくる事前提に作戦を考えた場合、どこで当たるかも問題だ。白竜の使いどころを宰相の立場で考えると……。


 その時一気に強い光が窓から入ってきて、思わず外を見やると【訓練場】の辺りで火柱が立ち上がっていた。


 嫌な予感がしつつ、制服装備フルセットのまま出掛ける。


 最近クラーヴンに作ってもらったスポーツサングラス風ゴーグルを装着して……本当は口も隠したかったけど仕方ない。


 【訓練場】周りにはすでにヒトが集まっていたが、誰も入っていかない。


 中心に仁王立ちで待ち構えていたのはガイヤ。


 十中八九自分が目的だろうと、一人で【訓練場】に入っていく。


 ゲーム内は夜【訓練場】の篝火が暗く中央のフィールドを照らしている。誰かが手入れしているのだろう雪はかかれていた。


 「久しぶりだね隊長、なんか懐かしいシチュエーションだろ?」


 「ああ、船貰った時の?火柱を上げたガイヤの後に入場したね確か」


 「早速だけど勝負しな!もう二回負けてるんだ。呼び出すのも無粋だと思ってこちらから来たよ」


 「自分も内乱だなんだで結構忙しいんだけど」


 「そんな事は分かってるよ。だから来たんだよ!」


 「ええ、寧ろ迷惑なんだけどこのタイミング……」


 「いいから勝負しな!あたしも前のままじゃないよ」


 「そりゃそうだろうけどさ」


 そして、剣を抜く間もなく赤いオーラを纏うガイヤに、自分も<青蓮地獄>を発動し、待ち構える。


 拳を握りこみ、その拳に炎をまとった瞬間に、銃を引き抜き冷凍光線を発射。


 火球とぶつかり即消滅。


 そのまま、二発三発と打ち込むと、どちらも避けたガイヤが、


 「前は遠距離攻撃ハメで、十分戦えたって言うのにねぇ。まあ、接近戦と行くかね」


 と、体を小さく纏め、的を小さくしながら一瞬で間合いを詰めてきた。昔より一瞬のダッシュ力が上がっている事に驚いたが世界樹の剣(枝)を引き抜き対応。


 剣と服に精神力を流して、真っ白くなった制服と黒地に白いラインの入った剣を持ち、先制攻撃。


 戸惑ったガイヤの腕に掠り、


 そのまま突くとガイヤは大きく外側に回りこむようにステップ。


 「根住!」


 『うん!いいよ!』


 自分が相棒を纏うと同時に、横からボディを抉りこむような鉤突き、クリーンヒットを貰わないように体をずらしつつ、


 相棒がガイヤの後ろ髪を<掴み>からの、


気脈術 陰気


 薄着でこんな所にいるのだから、氷精及び耐寒装備だろうと思ったので、ダメージ術で対応。


 しかし、ダメージを貰いながらも、更に顔に横突きを見舞ってきたので、カウンターで腹に一刺し。


 お互い紙一重で掠りつつ、


 ガイヤは自分の膝に横蹴りで、ストッピング。自分は足をへし折られないようにずらしながら受けつつ、至近距離で散弾に切り替えた銃をぶっ放す。


 衝撃で転がったガイヤに更に一発ぶち込むと、姿が消えたガイヤ。


 殺気に気が付き間一髪で剣を立ててブロック。


 いつの間にか青い雷電を纏ったガイヤのラッシュを<跳躍>で上に避け、


武技 反動滞空


 で着地点を少しでも伸ばす。


 それでも追って来たガイヤに、


冷剣術 獄霜界


 ちょっとでも時間稼ぎのつもりが、炎を纏った拳で地面をぶん殴られ、相殺された。


 突っ込んで来た所で、あえて後ろを向き、相棒の尻尾で足を絡め取り転ばし、


 追撃は加えずに距離を取り直す。


 追いつかれないように<疾走>で逃げに逃げ、相手が大振りになった所で、ブロックからの逃げ。


 それでも、避け切れなかった突進攻撃を体で受けつつ、ガイヤの首を<掴み>からの


気脈術 陰気


 で即回復し、のらりくらりとやり過ごす。


 ガイヤはずっとダメージを気にしない思い切った攻撃が多い。


 攻撃のプレッシャーで時折食らってしまうが、都度自分なり相棒なりが掴んで吸収。


 どうやらガイヤは自分の剣の振りを大よそでしかかわせない様だが、それでも果敢に攻めてくる。


 それにしても、なんか全然焦らないな~と思い始めたところで、


 「ふん!あたしが一向に焦らないんで不思議に思ってるんだろ?」


 「まあね、幾ら強くなったにしても、結構食らわしてるよ」


 「あんたにも当ててるさね!でもまあ、結構な量吸われてるのも分かってるけどね」


 「まあね、結局吸収が自分としては一番いい回復方法だったみたいだからね」


 「ふーんそうかい!あたしはね、あんたが大霊峰で会ったって言う霊鳥に会いに行ったよ」


 そう言って見せてくれる腕の文様は、確かに鳥型だ。


 「もしかして永久に生命力持続回復?」


 「まあそうなるね。でも精神力はそろそろ尽きそうだし、これ位にしておこうかね」


 「え?どういう事?」


 「二つ約束しな!この内乱が終わったら、決闘王戦を【闘技場】でやる事!ソタローと本気で戦う事!」


 「何さ急に、どっちもそのつもりだったよ」


 「ソタローに関してはどんな手段を使う事も辞さないとかそんな感じだろ?それをやめろって言ってるのさ」


 「どういう事?」


 「曲がりなりにもアンタの事を目標としてた子さ。一度でいいから正面からぶつかってやんな。あたしが言いたいのはそれだけ!じゃあね!」


 そう言うと、颯爽と帰ってしまったガイヤ。相変わらずマイペース過ぎて何がなんだか分からないけど、はっきり望みを言ってくれる所は割と好感を持てるので、覚えておくとしよう。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで読んで1つだけ不思議なのが「ソタローが隊長に憧れてる」ってことがかなり広く浸透していて、しかもガイヤが直々に頼みに来るくらい心配してるってこと まあ、勿論ソタローにも色々あったんだ…
[一言] ソタローは隊長を目標としていたなら、手段を間違えてるよね 民を苦しめたら駄目なことを忘れちゃ駄目なのに ってか、民が苦しんでいなかったら、隊長は皇帝が負けても いや~負けちゃっ…
[一言] >「曲がりなりにもアンタの事を目標としてた子さ。一度でいいから正面からぶつかってやんな。あたしが言いたいのはそれだけ!じゃあね!」 それってソタローの目が曇ってただけでは? 隊長の本質も知…
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