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59.黄金大樹~クリューソス デンドロン~ プロローグ

一応 ここから第2部のつもりです。


本当は第二部のタイトルを「黄金大樹~クリューソス デンドロン~」

にしたいんですけど、どうやって表現したらいいのか。

誰か教えて help me

 ■ 盗難 ■

 <窃盗>や<強奪>といったスキルが存在する。

 通常は魔物から、倒していない状態でも一部素材を奪うスキルだが

 育て方次第で【ヒュム】や【ニューター】からも盗むことが出来る。

 【ニューター】の場合はアイテムバッグから奪い取る形になる為、鞄の中身も要注意


///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 今日も相変わらずの【輸送】任務だ。

 あの大会の後、兵長に物凄い怒られたが、それ以外は相変わらずの日々だ。

 

 変わったものといえば、服と鞄が変わったくらいか。

 服が変わったのは真っ黒黒で中2っぽいって言われたから、軍狼装備を外してちょっと前の装備に戻ってる。

 鞄に関しては賞品をカタログから選んだ時に欲しいのがそれ位しかなかったのだ。

 武器やら防具やらはどれがいいのか分からないし。

 道具も使い捨て物と交換するのは、なんかもったいない気がするし。

 

 8×8スタックになった上に盗難防止機能が足され、

 さらにデザイン変更も可能とのことなので、無理を承知で

 肩掛けにショートソードを背負えて、おなか側でアイテムの出し入れが出来るボディバッグみたいな奴。

 って希望書いて出したら、本当にそういうのが届いたのだ。

 正直腰周りがもっさりしてたので、助かった。


 「今日も平和だねぇ」


 「平和だねぇじゃないですよ。折角の機会を棒に振っちゃって、すっかり戦争も無いこのご時勢に国の威信を見せ付けることが出来たんですから、皇帝陛下もここで褒美に隊長をもっと昇格させようとしてたのに、すっぽかしちゃうんですもん表彰式、とりあえず今回の功と相殺ってことにしてくれたから良かったですけど、首が飛びかねませんよ?」


 「別に悪い事したわけじゃないし、首まで取らないでしょ?それに俺の器じゃもっと大人数なんて率いれないよ。この前の大会でも負けてもおかしくなかったし」


 「あ~あ~もうこれだから、皇帝陛下の身にもなってくださいよ。昨今珍しい武功を上げた【士官】に報償を与えないなんて皇帝陛下のほうが疑われちゃうんですよ?もし、次にお達しがあった場合は絶対参加してもらいますからね」


 「ルーク代わりに行ってくれよ」


 「何で自分が行くんですか!【管理】とか嫌がらないくせに、何で皇帝陛下と会うのは嫌なんですか!気さくないい人ですよ。皇太子の頃は【帝都】の武官学校でてるし、庶民的な感覚も持ってますよ」


 「【帝都】の武官学校は庶民じゃなくて貴族だろ?」


 「まあ、貴族が多いことは否定しないですが、そういう地位とかひけらかす様な人は少ないですよ。なんていうか『国守ってこその貴族、自ら戦ってこその貴族、まず体と頭を鍛えろ!』みたいな人ばっかりですよ」


 「へ~ルークは何でも知ってるな相変わらず、しかも皇帝推しだし。知り合いなの?」


 「んな!何言ってるんですか!知り合いとかそんな訳、ななな無いに決まってますよ」


 「ああ、この前の表彰式代わってくれた時に声かけてもらったのか」


 「ええ、ええ、そうですとも、超オーラとかありましたね!めっちゃいい人でした。一度会えば分かりますよ」


 「まあ、会う事はないだろう。ど田舎の輜重隊が武功上げるなんてめったなことじゃ無いもの」


 「そのめったなことじゃない機会棒に振っておいて、なんかちょっと嬉しそうなのが鼻に付くんですよねぇ」


 ぐだぐだとルークとしゃべっていると今回の目的地【ウシエーリ街】に到着、通称渓谷の街だ。

山の間に広がる狭い平地に氷麦を作っている街だ。


だが、いつもとはちょっと様子が違う。なんか硫黄のような匂いがする。


 「なんか、いい匂いだな」


 「いや、コレ大分臭いですよ・・・・いや!まずいかも!」


 「温泉が出たのかな?入りに行こう!!」


 「違いますよ!何でこの匂いで温泉とか言ってるんですか!『瘴気』の匂いですよ!匂いが漂うほどってことはいつ強力な魔物が発生してもおかしくないですよ。こんな街で!!」


 「そうなのか?じゃあ、急いで役場に行こう」


 「それには及びませんよ」


 突然背後からかかる声に一気に警戒度を上げる。


 「「誰だ!!」」


 「街長です」


 「あっこんにちわ、いったい何があったって言うんですか?やっぱりコレ『瘴気』ですよね?でも、まだ落ち着いているってことは、魔物は出てないのかな?」


 「心あたりはありますが、一応機密に当たることですので【古都】の代表に報告を上げようかと、ただご想像の通りいつ魔物が出てもおかしくない状態です。住民には荷物をまとめるように言ってありますので、避難の際の護衛を頼みたいのです」


 「ああ~ここの軍の担当者はなんて?」


 「速やかに避難できるように【古都】に応援を呼びに行きました」


 「自分で行っちゃったんですか?ちょっとそんな慌て者で大丈夫なのかよ」


 「【騎兵】が彼しかいなかったのです。仕方がありません」


 ああ、会ったことはないけど、ここの指揮官は馬上で指揮を取るタイプなのか。

 それはそれで指揮官らしくてかっこいいけど


 「じゃあ、次に偉い人は?」


 「小官であります!」


 「あっいつだかの試験の時に一緒だった心配症の人」


 「お久しぶりであります。すでに【士官】になり先日も国の威信を賭けた試合で優勝したとか!お噂はかねがねうかがっております。自分はやっと【下士官】であります。どうぞご命令ください!」


 「配属先が違うのにそうそう命令しちゃっていいのかね?」


 「今回の場合は緊急だから構わないですよ。街長さんも一緒にいて話を聞いてるんだからなおさらです。むしろすばやい対応が必要かと」


 「じゃあ、荷ソリとアリェカロを借り受けたいんですけど、後このまま避難するとすぐに悪くなる食料かな。

 個人で持てる量には限界があるだろうし【古都】までの食料といざという時に動けない人を乗せる用にどうですかね?」


 「用意は出来ています。ただ【管理】のほうが手が足りなくて」


 「じゃあ、自分でやっちゃっていいですかね?何を借り受けたか目録作るので一緒に確認してもらって、そのまま返却するなり途中で放棄したものは軍に相談してもらうなりって事で」


 「そうしてくださると助かります」


 「そちらの心配症【下士官】さんは、【管理】は大丈夫な方?」


 「ボエニーであります。多少の心得はあります」


 「じゃあ、手伝ってもらいますかね。急いで終えて【古都】まで避難しよう」


 なんか、いつもの平和な任務が珍しく慌しくなってきた。 

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