562.胃騒動
なんかもう結構な数の司祭倒した気がするんだけど、後どこ攻略よ?そんな事を思いながら、ログイン。
「起きたか、ズボンと筒籠手直ったぞ!まあ最大値が結構削られてるからマメにメンテナンスして使いな。後コレはおまけだから困ったときに開けてみな」
「おっ助かる!自分も結構内臓解放したし、そろそろ正念場の脳が近いかな~って思ってたからさ」
「?もう次は脳じゃないのか?」
「え?でも膵臓とかあるんじゃない?」
「あるかもしれないが、特に言われてなかったろ?何よりお前さんが、腎臓解放しただろう時に一気に瘴気が海に流れ出して、そろそろケーちゃんの汚染もかなり状況が良くなってるんじゃないかって話だぞ?」
「水に瘴気垂れ流して大丈夫なのかよ……。まあそれは世界樹に任せるとしてだ。司祭を全部倒して、オーブ集めないと脳にいけないじゃん」
「あの……ケーちゃん膵臓ありません!」
「「スイゾウアリマセン?」」
「消化液はそもそも必要ないし、ホルモンとかを分泌する器官は肝臓周りにいっぱいくっついてます」
「なんか肝臓周りにって、魚みたいじゃん」
「ケーちゃんは犬でも魚でもないので……」
「へー、じゃあ司祭って後どこにいるの?」
「もういません。全部倒しちゃいましたよ?」
ふーん、もっと骨がある司祭が何人もいると思ったんだけどな~、そっか~倒しちゃったか~。
修理してもらった装備をそそくさと装着して、ケーちゃんへ。勿論借りてた装備は返した。おまけは鞄に仕舞い込み、のんびり歩く。
目指すは脳か~どんな敵がいるんだろうな~と、ケーちゃんの口に辿りついた所で、
名前は知らないが見慣れたベテランエルフが、
「隊長!ちょうど良かった!すぐに胃まで来てくれ!」
「え?何?行くけど、説明して!」
「そうだな、話しながら行こう!とにかく大変なんだ!戦力になる者が一人でも欲しい!」
「うん、分かった。急いでるんだよね?飛ばすよ!」
何度も行き来してすっかり慣れたケーちゃん内部を<疾走>と<跳躍>を使い、一気に走り抜ける。
景色を置いていくような感覚がなんとも久しぶりな気がするが、個人の感想は一旦置いておいて、さっさと胃に向かわなきゃな。
ベテランがあんなに慌ててるんだからよっぽどだよ!
ただ問題は、いつの間にか置いてきちゃったから、説明が聞けてないって事!まあ現地で聞きながらうまい事応じていくか!
そして、あっという間に胃へ到着。
「何があったの!」
手近にいた若いエルフに話を聞く。
「腸から大量の東の者達が大挙して押し寄せてきて……、さらにまだ解放してなかった胃にいた東の者達が合流して……」
なるほど、邪神の尖兵に取り憑かれたヒト達が大挙して押し寄せてきたわけか。
詳しい状況を聞きたいが、若いエルフは緊張で何かをしようという気持ちは感じるが何もできていない。
こういう子に負担かけても仕方ない。自分はエリーゼ様の指揮下に入って、前線で暴れる他あるまい。
スーパーが確か指揮本部になってた筈だと、すぐさまスーパーに向かいそのまま作戦会議に混ざる。
「とにかく大通りに追い込んで、そこで重火器による十字砲火で片付ける!それを基本方針として、各隊動け!」
ん~ほぼ方針は決まった後のようだ。ここは素直に指揮下に入るべ!
「悪い!遅れた!それで自分はどうする?」
「隊長!よく来てくれた。一応隊を率いれる者は規模に応じて外周バリケードの防御を任せた所だ。激戦区は大通り沿いってことになる」
「民家を改造したトーチカで迎撃って訳だ。じゃあ自分は敵の後ろに回って撹乱でもする?」
「それもありがたいが、隊長には中央に陣取ってもらいたい。率いる人数的にもその方がいいだろう」
「でも、大規模銃撃戦の指揮できるかな?それも拠点の取り合いとかじゃなくて、大挙して押し寄せてくる群れ相手でしょ?」
「魔物相手に1000人で戦ってきた経験があるのだろう?銃の扱いは我々に任せればいい」
「じゃあ、士気及びここぞという時の<融力術>要員って感じかな?まあ自分の火力は大した事ないし仕方ないか」
「単独で内臓をいくつも占拠してもらっているのだ。一対一なら相当の手練だという事は皆知っている。毎年司祭達とは顔を合わせているし、手合わせもしてきているんだからな」
「じゃあ、自分は一応上から見渡せる学校の屋上から指揮するわ」
「そうしてくれ!まだ本格的なぶつかり合いになる前に学校の校庭に主だった戦闘員達を集めるから、一言かけてくれ」
「自分そういうの苦手なんだけど」
「何でもいいんだ。任せたぞ」
え~スピーチ的物ってこれでもかって位苦手なんだけど~。
学校に向かいつつスピーチを考えるが、何にも思いつかない!
困ったわ~…………???!
早速じゃん!装備屋のおっさん!やっぱりあんた最高だよ!
すぐさま鞄から困ったときに使うようにと渡された箱を取り出す。
「おっ!隊長!このやばい状況で指揮するんだってな!応援してるぞ!なんか皆の前で話すんだろ?こっちだこっちだ!」
装備屋のおっさんから託されたおまけを確認する間もなく、スナイパーエルフに学校の屋上に引きづられてしまう。
なんだかんだこのエルフも頭一つ抜けた金の卵世代。
何が凄いって筋力が凄い。エリーゼ様は地獄の【訓練】であのガトリングを取り回すだけの筋力を手に入れたらしいが、この子は才能じゃないか?頭はちょっとあれだが、緊張しないという意味ではかなりの大物だ。
そのうち対物ライフルで長距離スナイプしたりしてね!
しょうも無い事考えている内にあっという間に屋上へ、
後ちょっと柵に寄ったら、皆から姿が見えてしまうだろう。スナイパーエルフは無邪気に自分が何を言うか待ってるが、
本当にこういうのは苦手だ。両手で持っていた箱を開ける。
頼むぞおっさん!