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56.紛紛紜紜 闘乱而不可乱

 ■ 集団戦イベントルール5 ■


優勝したチームは最後に表彰式があるので代表者は必ず残ること


【帝国】皇帝よりじきじきにお声掛かりがあるので失礼の無いように謹んで受けること


賞品については 後日カタログより選択可能 順位ごとにカタログの内容は変わります


///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////


 「・・・・ついにここまで来た・・・・」


 「来ました・・・・ね。隊長」


 決勝の自軍砦上でルークと遠い目をして物思いにふけっていると。


 「あ?隊長とルークで何遊んでんだ?むしろ隊長さっきの戦闘、最後の方ちょっと寝てたろ?」


 「先輩!それは自分の変わりに【管理】任務やってくれるって言うフリですか?」


 「俺は、何も見てねぇ!気が付いてもいねぇ!」


 「よくそれで【士官】になれましたね?」


 「そりゃあ、もうよ、嫌々最低限だけがんばったんだよ」


 急に萎れる先輩、よっぽど嫌だったんだろう。


 決勝の相手は、王国騎士だそうだ。向かいのフィールドを見ていると隊列を組むわけではないが、整然と配置に就くさまが見える。


 どうやら、今までとはレベルが違うようだ。


 しかし、そんなに早く配置に就いたら、手の内を晒すことになるだろうに。むしろあえて見せて変化する気か?と疑う位だ。


 見る限り中核になるのは、明らかに色つきの奴ら。

 5人明らかに色が付いたやつらがいる。そして取り巻きが5人づつ

 つまり全体であたりつつも小隊単位で策を打ち出してくるつもりなんだろうな。


 赤が攻撃の核かな。凸隊形の先頭を固めている。隊形と言ってもスキルを使っている訳ではない様だ。なんとなく歪んでいる。


 しかし自力のみでここまで並べるとなればどれだけ練習したんだか、ちょっと感心するわ。


 青は最初から城門前から動かないって事は、防御の要なんだろう。


 白がその間にいるって事は、足のある万能なタイプか?


 チラッと見えたはずなのに今はどこにいるか分からない黒は隠密型だな。奇襲はくれぐれも気をつけないと


 最後に金だな、砦の屋上に見える。自分と同じ指揮型か?


 【騎士】って割にバリエーション豊かだな。


 こういうゲームの【騎士】ってタンクみたいなイメージだったんだけど。【兵士】系じゃないか?


 ふと、爺ちゃんを思い出すが、流石にこんな練度の高そうな連中には、混ざって無いか。いい歳だしな。


 相手の赤は攻めてくる気満々って感じだし、こちらは密集隊形で城門前を固めて待ち受けるとしよう。


 弓兵は砦二階の矢狭間から援護。偵察兵はフィールドに伏せさせておこう。


 ミランダ様をどう使うか、それが問題だ。


 先の戦闘で見せただけなのに、相手はすでに手を打ってきている。


 むしろ【帝国】開催だからって寒さ対策をあらかじめしてきただけか?いずれにせよ同じ手は使えない。


 策戦を『兵糧攻め』から『足止め』に変更しておく相手の副官の大技封じの為にだ。


 それから・・・、


 「ミランダ様、歩かせて悪いけど」


 「なんじゃい、今でも毎日雪道歩いとるし、悪いのは歯だけじゃわい。何でも言うがええ」


 「ルーシーを護衛につけるから、ちっといいタイミングまで伏せられるかな?」


 「歩くよりきついじゃないかい。まあ、雪の中を何時間も獲物を待ち続けた若い頃よりはよっぽどましだがの、任せるとええ」


 となると、今回は旗の前に自分一人だけか。


 いつもより暖かいと思ってたところに一陣冷たい風が吹き抜ける。


 二発の号砲ともに、決勝開始


 『行くぞ!』


戦陣術 激励


 まずは、開幕士気上昇で様子を見る。


 相手は赤を先頭にまっすぐ突っ込んでくるようだ。


 【恐慌】にならないってことは、士気管理できる相手って事か、とうとう出てきたか。


 まあ、そもそも自分が出来て他のプレイヤーが出来なかったことが不思議なくらいだし予想の範疇だ。


 十分に引き付けたところで、


戦陣術 方陣

戦陣術 戦線維持


 敵も一斉に武技を放ってくるようだが、結局個の力だ。隊列維持は問題無い。


 方陣はこちらから攻めるには、動きが遅すぎるが相手が攻めかかってくる分には、攻防十分な性能だしな。


 一当たり目は、こちらが有利かな・・・?


 ふと気がつくと、サイドを上がってくる小集団がいる。


 「ルーク、狙える範囲でいい、端から攻めてくる連中も削ってくれ!なんか気持ち悪い」


 あまり歩みも早くないし、目的が分からない。なんとなく目障りだな~位の感覚だが一応迎撃を指示する。


 まあ、中央の主攻とやりあってる連中にこれ以上負担をかけられないし、伏せてる偵察兵達もこの段階から見せるわけにはいかない。

 

 そのまま、中央の動静に意識を戻し、敵がこちらに突っ込みきって圧力が最大になった瞬間。


 相手の動きの隙間にねじ込む


戦陣術 後詰


 歩兵が前に出て一気に相手を押し戻す。その間に重装兵の手当てを急がせる。


 ちらっとさっきの端を見ると小集団は残すところ二人、とうとう壁にたどり着いたかと見えた瞬間。


 ドッ!!ゴン!!


 と足裏から心臓に突き抜けるような振動と音が鳴り響く。


 「弓兵隊急いでそいつら潰せ!!」


 指示は完全に遅すぎた。


 間もなく壁に穴があく。


 一応その二人はすぐに処理したようだが、壁に穴あいちゃうとかひどすぎる。


 そちらも意識してここからは戦わなくてはならない。


 啄木鳥で端から一気呵成に攻め寄せなかったってことは、あくまで打てる手を広げながら、こちらの意識を散漫にさせる布石のつもりなのだろうか?だとしたら相手の指揮官はいやらしいな。


 端ばかりに気を取られていると、今度は攻勢に出た歩兵が相手を深追いしている。


 「いくらなんでも退き過ぎだろ!」


 思わず虚空に突っ込みを入れてしまう。


 「歩兵!止まれ!重装兵と衛生兵は急いで歩兵と合流しろ!」


 すでに歩兵は敵軍と自軍を割るセンターラインあたりまで出てしまっている。


 しかし相手も相手で、敵陣のさらに砦寄りまで退いている。


 ここで気がつく、あの砦の上の金は指揮だけじゃなく支援もやっていやがる。


 最初の攻防で少しは収支が上だと思ったのに、生き残りは完全に回復されている。


 ちなみに中核だった赤と取り巻きは一人も削れなかった。


 状況が変わる停止した一瞬にまずは状況確認だ。


 最初から人数差がある上、削った数自体はこちらの方が多い、相手は今のところ中隊、部隊レベルの連携や術は無い。支援は効果範囲が砦周りくらいまで、これらがこちらの有利な点。


 壁に穴があいている。支援の分相手の守りは堅そうだ。中核となる連中は健在。まだ黒が出てこない。他の色つきも力が分からない。コレがこちら側の課題。


 手が無いわけではない。弓兵を出して主攻に加わらせれば打撃を与えられる範囲も損害も増すだろう。


 偵察兵を使えば瞬間的な突破力は上がる筈だ。そのまま突破してフラッグへ短期決戦もありか。


 ただ、どちらを使っても、守りが手薄になる分相手も使ってくるだろう。黒を


 むしろ短期決戦されちゃう可能性のほうがヤヴァイ


 考えている時間がもう、無い。


 双方おおよそ準備が整ってしまった。


 再衝突のオーダーは・・・。

すみません、話を分割します。

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