558.紅司祭
案の定見つかった司祭の部屋。
一応重要器官をコントロールする役目の部屋の筈なんだけど、どうやってコントロールしてるんだろうって、実は前から不思議だった。
まぁ、東のヒト達が正気を取り戻したら聞けばいいかそんな事はさ。
部屋の中央には紅色の司祭が一人、今度の得物は何かね~。目新しい武器が出てくるのはちょっとだけ楽しみなんだけどね。
無造作に近づいていくと、まだ十分に間合いがあると思えたにもかかわらず、急な殺気に顔を傾け回避。
一瞬目の前を何かキラキラした物が通り抜けたかと思ったら、すぐ紅司祭の手元に引き戻されていった。
ふーむ、体型的にまた女性か。何の武器かな?投擲武器のようで、引き戻されるって事は糸か紐かついてるわけじゃん?
さらに距離を詰めると薙ぎ払う様に先ほどの武器を振り回してきたので避けながら正体を確認すると、九節鞭か!渋いな~こいつは楽しそう!
さらに避けながら距離を詰めると、自分の目の前の足元の地面を抉る様に打ち込み威嚇してくる。
逆に自分は気持ちが高ぶり楽しくなってきた!相手は間合いを詰められたくない、自分は詰めなきゃ剣が当てられない、そういう勝負だ多分!
巻き上げた九節鞭をアンダースローで投げるように伸ばしてくると、銀の蛇がのたうちながら獲物に食らいついてくる様を幻視するようだ。
敢えて剣で打ち返し間合いを詰めれば、大きく跳躍して逃げる紅司祭。
自分のように<跳躍>かそれに類するスキルの使い手なんだろうな~。追いきるのは難しいか。
左手で散弾銃を引き抜き、剣と散弾銃状態で距離を詰め直す。
術を纏った九節鞭で結界を張るように振り回しているので、ちょっと待つ。
術の撃ち終わりを狙って<疾走>一気にこちらの間合い、
武技 払い抜け
か・ら・の~、
武技 逆巻
久しぶりの剣武技コンボを当ててやる。さらに追撃を狙うと、紅司祭の左手が襲い掛かってくる。
邪神の尖兵で出来た巨大な手を剣で振り払い、中指と薬指を斬り飛ばしながら回り込もうとするうちに、九節鞭で叩かれ一瞬行動が止まった所で、再び間合いを取られてしまった。
ふむ、近接攻撃もあるのか~。
でもまあ、やるしかないもんな!もう一度距離詰めるところからいきますか~。
そんな事を考えているうちに、いつの間にか紅司祭の手元から地面に突き刺さっている九節鞭。
足元から感じた殺気に反応し横に転がって回避。避けても避けても追うように地面から突き出し、生える九節鞭をとりあえず避ける事に集中。
撃ち切ったのか、手元に九節鞭が戻ったところで攻撃再開。
一気に駆け寄る自分に、九節鞭を振り回してくる相手。
体全体で回転する勢いを利用した横薙ぎ、いっぱいに伸ばした九節鞭を叩きつけ、
これらを剣で弾き、転がって回避、そのまま立ち上がって走りこみ、
九節鞭の先端が高速で射出される様に飛んできたところを散弾銃で撃ち返して相殺。
間合いに入ったと思ったところで一気に、
武技 追突剣
からの
武技 飛翔剣
大ダメージを食らいながら九節鞭を振るってきたので、
武技 反動滞空
九節鞭の攻撃を相殺しながら、回避。
まだ体勢を崩している紅司祭にそのまま斬りかかると予想通りの左手迎撃。
左手にも意思があるように、紅司祭の体勢関係なしに襲い掛かってくるが、そんな連携ばらばらの攻撃は食らわない。
左手指を斬りおとす。そして、隙のある胴体に向けて散弾銃を発砲すれば、ノックバックで吹き飛ばす。
かなりダメージも蓄積したし、そろそろトドメかな~と警戒しながら歩いて近づくと、
邪神の尖兵を纏った左手に九節鞭を持ち直す紅司祭。
九節鞭と邪神の尖兵が一体化し、黒い軟鞭が襲い掛かってきた。
一振りするだけで、不規則に軌道が変化する鞭に攻撃が読めない。
殺気は回避するけども、右から来るのか左から来るのか、下から来るか上から来るか、
急激な軌道変化に判断が追いつかない。
こうなるともう、邪神の尖兵を地道に削るしかないか……、間合いに入る九節鞭を斬りおとす度に、落っこちた先端が瘴気に変わっていく。
一旦攻め込むのを諦めてひたすら受けに回って斬りおとしまくれば、どんどん集中力が高まり、自分の剣の間合いに入った攻撃は全て跳ね返す。
徐々に長さを失っていく九節鞭にこちらから間合いを詰め、相手の左手を思い切り擦り切る。
邪神の尖兵があからさまに左手にくっついてるので試しに斬りつけてみたら、肩の辺りを斬った所で紅司祭から力が抜ける。
膝から崩れ落ちる紅司祭から大量に瘴気が立ち上り、紅のオーブと小鍵を落としてそのまま倒れこむ。
うん、まぁまぁだったな。強いのは強かったけど、もっと脚を使った回避とかステップワークが有っても良かったよな~。
問題はここは目的地の腎臓じゃないのに、この司祭連れて外出ないといけないってのは面倒くさい。
しかし、コレがこのクエストの進め方なんだろうしな~。
一回出て、やり直してもう一度血管迷路に迷い込むの面倒くさいが仕方なしか!嫌だ嫌だ言ってても進まないし、隠し扉を探す。
壁に隠れた回転扉があったので、紅司祭を肩に担いで扉の向こうに進み階段を上る。
今までの隠し扉より圧倒的に長い階段、薄暗く幅の狭い階段をひたすら登り続ければ、扉に突き当たり、
開ければ、明るさに目が眩む。
ああ、外に出たかと思い、そのまま無造作に踏み出した所に……地面がなかった。
海に真っ逆さまに落っこちた。
うっかり落っことした紅司祭を拾って陸まで泳いで戻る。