554.学校制圧
「悪い!急ぎの相談」
「どうした隊長顔色が悪いぞ。無理はするなよ?」
「ああ、でもあまり放置してると自分の気持ちがもたないから、この食料品店制圧したばかりで悪いけど頼むよ」
「そうなのか?勿論協力してもらってる手前もあるし、拠点制圧に関しては積極的に進めるつもりだが」
「なんだなんだ?隊長随分と焦ってるみたいじゃないか?ご飯でも食べて落ち着いたらどうだ?」
「次の建物を制圧できたら、食べて休むよ。だが次は一気に行きたい。目標は学校」
「学校?」
「子供用の教育機関。まだ子供の姿は見てないけど、いざというときの事も考えると一人ってのもさ」
「子供か……分かった!全員もう一働きだ!占拠に向かうぞ」
「ほら!だらだらするな!子供が被害にあってるかもしれないってさ!行くよ!」
「確かに居住区の割りに子供の姿は見ませんでしたわ。急ぎましょう」
エルフ達も子供の事となって目つきが変わり、さっさと戦闘準備を終え、自分を先頭に学校まで向かう。
玄関まで埋まってた邪神の尖兵の触手はいつの間にか消えていたが、一人で進むには十分な広さだった筈の廊下を大人数で埋めつくしてしまった。
「4階建てだから、4手に分かれて制圧しよう。1階はやばい触手持ちが一体いるから、火力集めて一気に倒す」
精鋭チームで、さっきの壁を突き破られた部屋まで向かい、
何も言わずにそれぞれの得物を向けて火力全開でぶっ放す。
触手を出す間も与えずに一方的な暴力で制圧。何にも悪くないが、今は急いでるんで手荒いけど我慢してね。
ダメージが蓄積したところで、膨らんでる腰の辺りを剣で突いて、解放。
なんとなくお年を召した雰囲気の東のヒト、もしかしたら校長先生だったかな?
まあいいや、一階をさっさと制圧しよう!残る部屋は大して広くない。開いた瞬間ヒト影があれば、速攻弾をぶち込み制圧!
「うし!二階行こうか。ある意味自分にとっては正念場なんだよな~。大丈夫かな皆」
ぞろぞろと二階に向かうと、すでに制圧が終わったようで階段で2階制圧隊とはちあった。
「どうだった?」
「子供はまとめて眠りについてたぞ。各部屋に大人が二人づつ襲い掛かってきたから、それは解放した。子供も取り憑かれてたけど眠ったまま動かないのは、体に負担が大きいのかもな」
「まあ、不幸中の幸いか、子供に剣やら銃やら向けたくないしな」
各部屋を一応見て周り、異常がない事を確認。ほとんどの部屋は教室で間違いないだろう。廊下の突き当たりだけ何にも無いだだっ広い部屋。多目的ホールかな?
さらにその奥に図書室。受付に一体いたようだが、ちゃんと解放済みだ。
そのまま3階も制圧済み突き当りは科学室と家庭科室。
4階の突き当たりは音楽室か。
いずれも制圧済み。人数がいるとやっぱり早いな。後子供が襲ってこなくて本当に良かったそれだけ。
ホッとしたし、どこかログアウトできる場所を探そうと思った所で、
轟音と衝撃と揺れに一瞬足がすくむ。
地震ではない、何かが落っこちてきたような感じ。何しろ音が4階のさらに上から聞こえるんだから。
すぐさま走って屋上に向かえば、扉に鍵がかかっているので散弾銃で破壊。
屋上に出れば、でかい東のヒトが一人。佇んでいる。
自分より頭三つ分はでかく。上半身は裸?邪神の尖兵を纏っていて分からないが、真っ黒く、
ムッキムキ!ナイスバルク!
腕が長く太く、それだけで自分位の体積がありそうなんだけど?
ローブを着てないから司祭ではないのだろうが、邪神の尖兵に取り憑かれたヒトのバリエーションの一つかな?
振り上げられる拳を警戒し、狭い屋上のポジション取りをする為すぐに周囲の確認。
エルフ達も自分に続いて屋上に飛び出そうとするが、寧ろ逃げ場が無くなるので、一旦下がってもらう。
振り下ろされる拳を避けるように走り、地面にぶつかる瞬間にジャンプ!衝撃が足元を抜けていく。
4階で感じた衝撃はコレだな。なんのきっかけで動き始めたんだろうか?
まあ、動きは遅くて単調。避けながら反撃のタイミングを計っていると、扉の方からエリーゼ様の乱射。
高密度の連射で敵の動きを止めてくれている間に、敵の太すぎる手首を切り落とす。
片手がずるっと落っこちて瘴気に変わるが、すぐに生えてくるのは織り込み済み、予想外だったのは斬った腕だけ短くなっているという事。
コレって片方だけひたすら攻撃してれば、バランス崩すんじゃない?
と、いう事でもう一発手首から先を切り落とす。
しかし、中々思うように行かないもので、体を軸に独楽のように回るだけなのだが、
アンバランスさを利用して上下運動も加わるので、非常に避けづらい。
一瞬の隙を突いて<跳躍>、頭上に飛び出して、
武技 反動滞空
弾があるだけぶち込み、
回転が緩んだところに、剣で表皮を削るように斬る。
ぶった斬って、本当に腕が落っこちちゃう事はないと思うが、ちょっと怖いもんね。
とりあえず、核を探さねば倒せない。
手、腕、足、脚、腹、背中、股間、尻、斬りまくっても手ごたえが無い。
多分もっと深部なのだろうが、気持ち悪いんだよなどうすっか……。
再び、調子を取り戻したのか手を振り上げてくるが、長い方の腕の脇下に核があるじゃん。
振り下ろしてくる腕に寧ろ向かって行き、脇に剣を突き立てる。
全身に纏っていた邪神の尖兵が溶け落ち、そのまま瘴気に変わり解放完了。
そのまま学校を完全占拠、最初に覗いて諦めてた管理人室のような小部屋には外から回りこめる扉があり、占拠したら。
どうやら用務員室のようで、宿泊できるようになっていた。
ここで本日は飯食って寝る。