552.スーパー制圧
「どうした隊長?敵の様子が変わって焦ったか?」
「こっちも口から触手生えてる?」
「ああ、だが人数は大した事ないから、今のところ押しているがな」
「そう?一応拠点に出来そうな場所見つけたけど、どうする?もう少しこの辺りの制圧を進めて退路確保優先してもいいけど」
「正直なところ暇だったのだ。最低人数でこの辺りの制圧を進めよう。おい!拠点制圧戦だ!最低人数残して先へ向かうぞ!」
そして、精鋭をぞろぞろ率いて一路スーパーへ。
スーパー前の乗り物とか停められそうな広場で集合。
「どう思う?」
「サイズ的には悪くなさそうだが、何の建物だ?」
「自分が落ちたところは食料品売り場だったけど……日用品店じゃない?」
「ほーこんな広い場所で買い物するのだな。よし制圧といくか!」
「それでは私達が先行しますわ!」
勇ましく一歩前に出る姫毛カールとその部隊。そのうちの一人が妙にデカイ弾倉の銃を両手で構え、発射!
ポンッ!人参サイズの塊が飛んでいく。壁に着弾し爆発したときに、榴弾だと気がついた。
「突入口開きました!」
「よし!それでは突入しますわ!」
「アホかい!何の為に扉と壁があると思ってんの!拠点防御の為に壁は残しておこうよ!扉から入ろうよ!」
「隊長やってしまったものは仕方ない。突入しよう」
あれかエルフは海で自由にぶっ放す癖がついちゃってるね。建物でセコセコ戦うのは合わないか。
「分かった。ただ一気に突入しないで、まずは釣り出そう。広い場所で倒せるだけ倒してから突入で!」
スーパー入り口に開けてしまった壁の穴を囲むように配置。
そして、それこそここで榴弾でしょう!
「じゃあ、さっきの内部に撃ち込んで」
「いや、そんなことしたら室内がぐちゃぐちゃになるが?」
「中で待ち構えてる奴らもぐちゃぐちゃにしてやろうぜ!」
「いや、東の者が寄生されてるだけなのに、そんなの可哀想じゃ……?」
「やられるよりマシじゃん?何より壁に穴あけておいて今更言う事じゃないから!」
まあ、実際には爆発に巻き込んだくらいで、ヒトがぐちゃぐちゃになる事は無い。取り合えず入り口周辺の敵を引き釣り出して殲滅からはじめる。
爆発に巻き込まれて最初に出てきたのは3体。エリーゼ様のガトリング乱射で、あっという間に削れて、弱体化からのトドメ。
しかし、音に釣られて1体背後の民家から出てきたところを銀髪エルフが乱射で足止め、若い銛使いのエルフが核を突いて、解放。
その後一旦様子見をするも出てこない。なんか皆自分を見てくるので、潜入しますか。
気脈術 陰気
気配を消して、スーパー内部に潜入。いざとなったら逃げればいいので気楽なもんだが、入り口付近はぐちゃぐちゃだね。
ラックも品物も全部吹き飛んで、元々何が陳列されていたのかさっぱり分からん。
問題は邪神の尖兵に取り付かれたヒトがどこに隠れてるかだ。まあ向こうは隠れてるつもりは無いんだろうが、取り合えず一人残らず倒して、拠点化せねばな。
入り口から真っ直ぐ進めば左手に食料品、右手に日用品みたいだ。
遠めにちらほらとは見えてるな~。いっか!左側から乗り込んで荒らしまわって集めるだけ集めて外に出よう。
ラックに飛び乗り、上から食料品売り場を見渡すも、陰気を通しているので未だ気が付かれていないのが不思議な感じ、見たところ集まっている風ではない。
皆ばらばらに導線上に佇んでいるだけだ。順路をイメージしたところで、
「うっし、行くか!」
軽く気合を入れて、走りはじめる。まずは野菜売り場の客風に一太刀浴びせ、店員風にも一太刀。
角を折れて、魚売り場の客に斬りつけ、店員二人をまとめて散弾銃で吹っ飛ばす。
自分のイメージだと次は肉売り場の筈なんだが、ケーちゃん内部の店では肉は売ってないのかな?
調味料売り場と加工食品売場の人々をがんがん斬っては銃で撃ちまくる。
伸びてくる触手を剣で斬りおとしながらレジ横を抜ければ、
レジ内にいたヒト達も自分を追いかけてカウンターに引っかかってひっくり返りながらもやはり一目散に自分を追いかけまわし、
食料品売り場のヒト達を集めつつスーパー入り口から飛び出す。
自分の姿に一瞬びくっとしながら構えたエルフ達に、
「すぐ出てくるから!警戒して!」
指示を出しつつ自分は<跳躍>しながらエルフ達を飛び越え、裏に回って着地。
一息ついて振り返れば、一斉に飛び出してきた東の者たちに銃弾を雨あられの様に浴びせまくる残酷な光景。
まあ相手は邪神の尖兵に取り憑かれている訳だし、仕方なしよね。
あっという間に人間植木鉢になって、そこからさらに動きが鈍くなり、ほとんど動かなくなったところをさくさく狩られる。
そして、皆の視線がまた自分に集まるので、もうひとっ走り!日用品売り場の方も釣ってくる……。
大方片付いたところで、内部を細部まで確認。バックヤードの倉庫や調理場なんかに、まだいたのでそこは流石に各個撃破。
スーパー内部は本当にぐっちゃぐちゃにしてしまい大変申し訳ないが、スペースは十分。
ご飯も作れそうだし、いい拠点になりそう。水だけは絶対使わないように指示をして、皆で片付け。
特に穴開けちゃった壁はあり物でちゃんと塞がなきゃね~。
しかし、まあ一箇所じゃ周りを囲まれたときに大変だ。相互に助け合える拠点を探さねばな~。