550.腎臓行く前に胃占拠加勢
ログインして早々にケーちゃん内部に向かう。
正直、あの血管迷路は景色があまり変わらないしウンザリなんだよな~。
腎臓に向かうのにどういう順路を進むか……、そんな事考えながらケーちゃんに乗り込もうという所でエリーゼ様率いる消化器官占拠チームと合流。
「早くも肝臓を解放してくれたらしいな。隊長一人に負担をかけて申し訳ないと思っていたのだが、心配するだけ無粋だったようだ」
「そんな言われても血管がどうにも複雑だし、運だよね。次の腎臓にどうやって向かうか考えるだけで頭痛くてさ」
「ふむ、我々はこれから本格的に胃の占拠に向かうつもりだが、もし良かったら一緒にどうだ?深部に拠点を設けたほうが探索しやすいだろう」
「いつの間に食道の占拠を終えたんだか……そっち絶好調じゃん」
「そんな事ないぞ?細かい通路の占拠は今でも地道に進めてるしな。とは言えまず主要部を押えてしまおうという事だ」
「ふーん。それで胃の主要部も占拠って訳か」
「そうだな。胃はかなりの人数が住んでいるというし、正直どう占拠していくか迷っていたところだったんだが、隊長がいてくれれば戦力的にもかなり安定するし、こちらとしては助かる」
「逆に自分は胃に拠点を設けて、残りの内臓の解放を進められると言う訳か……」
悪くないな~。血管迷路がなんだかんだしんどかったし、仲間がいる状態で奥地に進めるのはかなり助かる。
ここはちょっと頑張って胃に拠点を作るのを手伝いますか。
ぞろぞろとエルフ達と一緒にケーちゃん内部を進むが、人数がいるおかげで何の不安も無い。
自分が知ってるのは肺までだが、肺とはそもそも道が違うようだ。
辿り着いたのは本当に広い大通りを挟んで広がるショッピングモール?にしては広すぎか?
「口辺りは劇場だったのに、奥はお店が並んでるように見えるんだけど?」
「そうだな。色々な店があって面白いぞ。何箇所か拠点化して使わせてもらってるが、最初ほど纏まった人数がいるわけじゃなかったから、何とかなったな」
ふむ、細かいところはまだ占拠の途中らしいし、急に飛び出してくる敵がいないとも限らない。十分に気をつけて進むとしますか。
とは言え人数がいるだけあって余裕があるのも確か。一人でずっと警戒しながら進むよりかなり気楽。
二階建てと見られる一つの店舗の上階窓に怪しい人影、
壁を登れる自分が一階窓に手を掛け、登り、二階窓から潜入と同時に人影を突き飛ばす。ひじ内に付いていた邪神の尖兵の核を潰し、無力化。
ついでなので、二階のその部屋から建物内部を探索、後二人ほどヒトがいたのでそれぞれ奇襲で速攻無力化。
邪神の尖兵の核の場所を見つけるのもだいぶ慣れてきたのか、あっさりと建物を一つ占拠して大通りに出ると誰も待ってなくてちょっと寂しかったが、すぐに追いつく。
「隊長は相変わらず動きがおかしいな」
「え?何が?」
「いや、普通あんな窓から飛び込んで一方的に倒して出てくる戦闘員などいないんだがな……」
「あ~だって登る場所が無いから<登攀>鍛えてないんでしょ?」
「まあ、そういうことだな。この調子で、回り込んで敵背後からの奇襲を頼めると助かるぞ」
「それって、単独で敵背後に潜行しなきゃいけないし、自分のリスク高くない?」
「まあ、そうなんだがそこは隊長の戦闘力を期待しての事だし、無理はしなくていい。でも出来る範囲で頑張ってくれれば、こちらの戦闘員に余裕が出て助かる」
ふむ、無理の無い範囲でいいなら頑張りますか。もともと自分は偵察探索人員だしな。
そのまま大通りを抜け、大門に辿り着く。
「随分でかい門だけど、この先が胃?」
「そうだ。我々もまだ入ったことなくてな」
「そりゃ緊張だね~。皆ちょっと引いて警戒してよ。自分が突っ込んで偵察するから」
「いやいやいや、そんな無理させられないだろう」
そう言いながら全員ある程度、距離を取って門を囲むように陣形を組む。
戦闘員達の遠距離火力を集められるように配置し、抜けた相手を近接武器持ちが片付ける作戦らしい。
最悪の場合一気に邪神の尖兵に取り付かれたヒト達が大量になだれ込んでくる可能性もあるだろう。体を緩めて、代わりに集中力だけは限界まで引き絞り、剣と銃を引き抜き構え待つ。
足の速いものが門横の仕掛けを動かし、がらがらと門がこちら側に両開きに開いていく、同時にその場の全員の緊張が高まり、一体のヒト影に射線が集中、一斉射撃で一瞬で倒れるヒト。
とりあえず、門の攻防は一人倒して終了。
門の内側は、住宅を中心とした市街地戦って感じか?
遮蔽物の多いフィールド、エリーゼ様の火力が生かせないのは中々に手ごわそうだね~。
ここはそれこそ自分の出番か。隠れながら進んで出来るだけ敵を狩って回る事で少しでも占拠速度を上げるのを手伝おうじゃないか。
寧ろその為に合流したのか?