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55.地之道也 将之至任 不可不察也

 ■ 集団戦イベントルール4 ■


 本選からはスタートの合図 勝利時の演出がある

 号砲でスタート 勝利チームの砦上空に花火となっているでお楽しみに


 なお 本選の観戦は専用の施設で大ビジョン放映

 また 見逃した方 用事などで見られない方はHPに動画の特設サイトをご利用ください


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【帝国】にしては珍しい快晴の日、イベント本選となった。一応本選もお金が賭けられるとのことなので自分に金貨10枚ほど賭けておく。


 何とか無事にISOは乗り切ったものの、まじで眠い。かなり珍しいことに是正も気づきも無いなんていう数年に一度の奇跡で乗り切ったのも、この予選で気合が入ったおかげかもしれない。


 しかし、一回戦目は拍子抜けだった。また『雑魚ロール』だったのだ。士気も何もなしに突っ込んできて【恐慌】。


 先頭のなんか荒っぽい感じのお姉さんだけは、ちょっとやりそうな雰囲気だったけど、結局のところまともに士気管理しないで突っ込んでくれば、ああなるだろう。

 

 コレ、ここに至ってさすがに自分も気づかずにはいられない。


 この祭り、別にゲーム内で一番強い人が出てるとかそういうんじゃないってこと。

 運営がゲームを盛り上げる為にちょっとしたイベント企画したよ~って事なんだろう。

 多分強い人は見たことも無い魔物と戦ったり、闘技場で死闘を繰り広げてたりするんだろう。


 と、なれば自分も緊張とかせずに程々に楽しむとしよう。

 そもそも観客や見物もいないしさ。いたらいたで緊張するから困るけど。


 「なんか、いい顔になりましたね?隊長!例の【管理】の仕事何とかなったんですかね?それとも本来の自分の強さを理解して、この大会の相手を一蹴してやろうみたいな感じですかね?いずれにしてもいい傾向ですよ」


 「そうな、まあ力抜いて楽しむことにしようか」


 「次の相手は【砂国】ですね、術士が多いので有名な場所ですよ。うちみたいな集団で固まるタイプには天敵ですね。どういう作戦で行きます?」


 「一応、相手は熱い国の相手だって聞いてるから奥の手は用意してる。後は、重装兵でギリギリまで寄せて歩兵で突っ込む、ルークとルーシーにうまくタイミング合わせてもらわないとな」


 「なるほど、重装兵の大盾を頼りに少しでも削られないように進むわけですか。確かにそれしか方法は無さそうですね。まあ、いつも通り我慢して、一瞬の隙を作って一気呵成になだれ込む、それだけですね」


 「それだけって言うけどな、そういう状況を作るから勝てるんだと思うぞ。感心される様な軍運用しているうちは、危なっかしくって駄目だ」


 「でも、奥の手は用意してるんですよね?」

 

 「ああ、用意してる。戦は、正を以って合い、奇を以って勝つ」

 

 「感心されるような運用じゃ駄目だって言ってたばかりじゃないですか。奇策なんて用意しちゃって」


 「まあ、そう何事もうまくいかないし、こだわらずに出来ることは何でもすればいいさ」


  そうして、ぼちぼちと配置に就く。

  今回は自分以外野戦態勢だ。こちらから動く予定だ。

  自分はいつも通り屋上フラッグ階段前、隣にはミランダ様だ。


 「今日は、入れ歯して来てますかね?」


 「大丈夫じゃ、安心せい。開幕と同時に準備するからの、オババの奥の手その1をのう」


 「期待してますよ。多分相手には効くはずですから」


 そうこうしているうちにフィールドに号砲が鳴り響く


 ミランダ様が即座に準備に入ったところで『行くぞ!』


戦陣術 激励


 相手は、術士中心だけあって予想通り待ち受けるスタイルのようだ。本当は自分もそうしたいところだが、にらみ合ってて勝てるわけではない。

 

 まずは、重装兵の速さに合わせてじりじりと進軍、不思議なのは待ち受けるスタイルの割りに敵が外にいる数が多いことだ。装備を見る限り前衛がいないのにどうする気なのだろうか?


 弓兵の適正距離から仕掛け始める。術より弓の方が射程が長いのだから、このまま削られっぱなしってことは無いだろう。

 そろそろ術士の攻撃距離か?と思った瞬間。


 向かいの砦のフラッグ付近が、発光する。


 人影が何かを頭上に掲げているようだが、そこから光が発しているようだ・・・・ヤヴァイと思った瞬間

 「こっちも準備は整ったからの、いくぞい」


 流石、術士だけあって自分より先に発光の正体に気がついていたみたいだ

 ナイス!ミランダ様


 ここにきて副官の技能、うちで言うオババの奥の手を使ってくる相手がいようとは、相手を甘く見すぎていた。予選を誰もが慣れてない内に、しかも士気差による【恐慌】状態と兵糧攻めだけで乗り切っちゃったのがまずかったか。


月占術 新月の誘い

天地術 ブリザード


 快晴だったのに、いきなり夜になったかと思いきや、月が黒く染められていく。するとばたばたと自軍の連中が倒れていく。


 と同時に唐突に吹き荒れる寒風、小石があたっているんじゃ無いかと思うほど痛い雪。


 時折【輸送】任務の時なんかに出会うブリザードそのものが吹き始める。


 兎にも角にも自軍の状況把握だ。


 「状況、報告!」


 これだけで、ちゃんと情報が上がってくるうちの中隊は相変わらず優秀。どうやら半数を眠らされたようだ。


 しかも、衛生兵の手持ちの道具では回復は出来ないらしい。自然回復もこの対戦の間は見込めそうも無いようだ。


 それに対して相手は、


 「砂漠の夜の気温を甘く見るな!これしきなんとも無い!!ソヘイラ様は暖かいところへどうぞ」


 などと言っているようだ。ルーシーの読唇に寄ればだが。


 効くと思ってた切り札まで外して、さらに半数が行動不能とは・・・・


 いや、絶対やせ我慢してるわ相手。めっちゃ寒そうだし、術撃ってこないし。


 やるだけやるしかない!

 

 「弓兵!牽制しろ!他は隊列組みなおせ!凸隊形!」


戦陣術 斉射


 ルークが眠って無くてよかった。


 「よし、突撃だ!『行くぞ!』」


戦陣術 激励

戦陣術 突撃


 多少の抵抗はあったものの砦から出ていた敵は何とかあらかた片付いた。問題はここからだ。


 建物内に踏み込めば術の嵐に晒されること間違いなし。消耗戦をやるには心もとなし。


 どう砦を攻めるか・・・、


 攻めない。


 敵フィールドの術のギリギリ当たらないところで待機しよう。確か占有率で勝敗が決まる筈だし、なんか相手の砦の中から色々言ってきているようだが、聞こえない。


 ルーシーも読唇使わなくていいぞ。


 むしろ、敵に隠密行動がいるかもしれないから、偵察兵は自陣と砦内を、索敵


 万全の状態でタイムアップを狙おう。


 最初の緊張状態からすると何も無い状態で、時間がただ過ぎるのを待つのはやや苦痛、というより相手の奥の手が効いたわけでもないのにすごく眠い。


 ブリザードが吹き荒れてるし、寝たら死にそうだから我慢するけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本編の盛り上がりもすごいですが、個人的に「是正も気付きもなし」ってところに泣けてしまいました。頑張ったんですね。
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