549.東の者収容所
水にぷかっと浮いてきた黄色司祭を引っ張って岸に戻り、待機していたエルフに預ける。
自分はとりあえず、装備をおっさんに預けに行きたい。
久しぶりに食らった邪神の尖兵のいやらしい装備破壊系攻撃でがっつり耐久が減ってしまったズボンや筒籠手をメンテナンスに出したい。ここでうっかり壊してしまうのはちょっと辛いよな。
陸地を渡って水上要塞側に出ようとする途中ふと見やれば、随分とテントが増えた。
「なんか随分と増えたね」
「ああ、東の者を収容するのにどうしても必要だからね。隊長が主要器官の占拠の為に単独でがんばってくれてる間にも結構運び込んだよ」
「え?なんでまた?」
「なんでも、前より長時間活動できるようになったからってエリーゼ様が、ケーちゃんの食道沿いを占拠進めてるんだよ」
そうだったんだ。どういう仕組みかは分からないが、消化器周りにヒトがやたら住んでる構造だから、人数使えるエリーゼ様たちにそっちの占拠任せるほうが、役割分担としてはいいのか。
それにしても……。
「まだ誰も起きてこないの?」
「まだ皆寝てるみたいだね。邪神の尖兵の核はちゃんと潰したの確認してから収容するようにはしてるけど……」
「まあ、不安だよね。ちょっと前まで操られてて攻撃しかけてきたヒト達なんだから」
「いや、それは世界樹様の元にいるわけだし、何とでもなるだろうけど、皆お腹すいてるだろうなって」
「ああ、確かに寝てるだけだからってお腹すかない訳じゃないもんね。早く起きてご飯食べられるといいけど」
ふむ、確かにこのまま起きれずに餓死なんてのは見たくないし、何とか早く皆の目が覚めるといいけど。
その為にも自分は一刻も早く装備のメンテナンスだ。
いつものおっさんの部屋に向かうと、マフラー作りから解放されてくつろぎムードだったらしいおっさん。
炙った肴で酒を飲んでた。羨ましい!でもやることやったんだから別に恨む気は無い。
「ちょっと邪神の尖兵の攻撃食らっちゃってさ。メンテ頼みたいんだけど」
「ああ、貸してみろ」
おっさんにズボンと筒籠手を渡す。
「結構がっつりやられちゃったんだけど、何とかなる?」
「こりゃ……中々きつそうだな。まあある程度までは直してやるさ。でも時間がかかるだろう。代わりの装備を使ったほうがよさそうだな」
「代わりのものか~制服着るしかないか」
「いや、右腕は<紋章術>も入ってるんだし、肩当だけあればいいだろ?大した物じゃないがあの毒ヒトデで作った肩当があるから使え。下は腰巻にするか」
そして渡されるのは小ぶりだが肩にフィットする肩当。そしてひざまで隠れる薄いレザーの腰巻?
軽く動いてみると意外と具合がいい!足元が自由に動いて楽!あんなに股がスースーするからズボンのほうが良いと思ってたのに!
「あっそういえば、制服に合わせる装備ってどんな感じ?」
「順調に進んでるぞ。シャツと手袋が氷精でもはや耐性だけは磐石だな。ネクタイとブーツとベルトと剣帯のデザインは出来てるが、どんな効果を載せるかで迷っててな」
「ふーん、まあその辺はお任せするよ」
という事で、一旦借りた装備で次の攻略は進まねばならなさそうだ。
あのレギオン毒ヒトデの肩当はどんな効果があるのか、早めに試してみたいな。
そして、おっさんのところから今度はスキルの確認に向かう。
本当はちょっくら飲んでおつまみでも食いたかったが、まだ用事がある。
というのも、邪神の尖兵を結構な数倒しちゃったじゃん?スキル熟練度が溜まってると思うんだよね。
個室に入って確認してみると案の定、取得したばかりのスキルががっつり熟練度溜まってる。全然使っても無いのに、笑うしかない。
ある意味サービスタイムなのか?普通の敵まで邪神の尖兵にとり憑かれてる所為で、モリモリ入ってくるのよね。
そしてくっつけられるのは、
<陰精術>+<木剣>+<集中>+<服>=<陰術士>
陰精術心得が4種混合
精神集中・・・精神力の総量と術の威力上昇
精神軽減・・・精神力の総量上昇と精神力の消費量軽減
と、欲しいものが全部手に入ってしまった。
スキルに関してはボーナスステージ!でも何とればいいのかよく分かんない。
まあいいか!あるものでも使い込めば熟練度が溜まってどんどん性能が上がっていくのだから、折角枠に収まって全部あげられるんだからコレもいいのか!
<氷剣士>
<探索者><捕術士>
<不動心><散銃士><反逆者>
<防衛域><野泊者><融力術>
<古樹><越障者><陰術士>
控え
<採集>
<採集>は余っちゃったか、まあケーちゃん内部で集めるものもないし、別にいいか!
よ~っし!用は全部終わったし、飯食って寝るか。
残る司祭が何人いるか分からないけど、なんか師匠キャラっぽいもんな。絶対強い相手だし、気を引き締めていかないとな。