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548.肝臓黄色司祭

 血溜りの上に行く道を見つけて、登っていく地味な螺旋階段。


 薄暗い部屋の中央には黄色いローブの人影が静かにこちらを向いて佇む。


 表情は見えないがうっすらと高まっていく殺気に、自分の気分も呼応するように高まる。


 ぬるっと、どこからとも無く取り出だされる大槍はふさの付きでしなりの効いた直槍。


 一歩の踏み込みと同時にしなりを生かして螺旋状に抉りこんでくる槍先を敢えてブロック!


 予想通りの貫通力に腕が持っていかれそうになりながら強引に耐え切るも、こちらも動けない。


 うんうん、いい~手ごたえじゃん!これで他人に迷惑さえかけてなきゃみっちり稽古つけてもらいたかったわ!


 でも……でも~!許さん!ぼっこぼこにしたるわ!どんな手を使ってもな!普通にやったら苦戦しそうだから、何でもやったるわ!


 ゆらゆらと槍先でフェイントをかけてくるが、殺気が無いので反応しません。


 その槍先に剣先を触れさせ、お互いに刃先のみで相手の動きを感じ取る。


 引くか押すか弾くか巻き込むか、多分端から見たら何の動きも無い意味の分かんない状態だろうが、


 自分は真剣、相手が突きこむ瞬間、剣を巻き取ろうとしてくる瞬間に神経を集中。


 司祭がフードの奥でニヤッと笑ったかと、なんともなしに感じる。それこそ切っ先のゆれで……。


 槍を引かれ、一気に距離が遠のいたと感じたのは自分だけか、一手で3発突きを見舞ってくる。

 

 「根住」


 『うん!』


 槍を引いた瞬間の嫌な予感に根住を纏い、一発目を剣先でそらし、二発目を横を向く事で紙一重で回避、三発目はわき腹に掠りながらも、根住の陰で槍先を巻き取った。


 掴まえたといえ、棒状のものは捻られるとあっさりと取り返されてしまう。


 例えば最近配備が進んでるサスマタ。あれ最弱の欠陥品だということは分かるだろうか?


 棒状のものを掴むには手のひらの摩擦で持つわけだが、強引に捻られると手から離れてしまう。


 最近配備されてるサスマタって言うのは相手に突きつける半円に棘も何も付いてない。


 つまり簡単に掴めてしまう。自転車やバイクのハンドルのように掴める敵側と棒を持たなきゃいけない使用側どっちが強いかは明確。


 あっさり捻りあげられて、奪い取られ、長い鈍器として振り回される欠陥商品。他人の命を守らねばならない人は本当に使い方に気をつけて欲しい。


 ちなみに相手は今槍をかなりやわらかく持っている。これはつまりこちらの動きに合わせて瞬間で切り替えてくるのだろう。駆け引きを楽しもうってか?


 ふーん、余裕見せ付けてくれちゃってさ~。


 根住で槍を固定しながら、自分は槍に沿って剣を滑らせ相手の手を狙う。何なら指に一当てして部位破壊狙い。


 根住の力だと完全に槍を固定できないようだが、それでも根住が粘ってくれるおかげで、ゆっくり動く槍を滑るように剣で削り取る。


 そして司祭の手に一太刀ってタイミングで、槍を手放し足元に落ちる槍の持ち手を蹴り飛ばし、


 槍を腰を支点にするように両脇で抱え直し振り回してきた事で、柄が自分の腹にぶち込まれる。


 例えるなら、鉄棒で不意に腕から力が抜けてお腹に抉りこみ、内臓が飛び出そうなあの感覚。


 ゲームだしだいぶマイルドな痛みの筈なのに、ゲロ吐いちゃいそう。


 両手で綺麗に構えなおす槍を力づくでぶん殴る。地面に槍先がぶつかり弾んだところで一気に距離をつめ強引に袈裟切り。


 あっさり一歩引かれて避けられた所に、根住の手が伸びて槍を持つ手首を<掴み>からの


気脈術 冷気


 ほんとにナイス根住!凍った敵を他所に一旦一息つく。


 散弾銃を引き抜き、生命力を捧げて<犠牲>からの、


武技 縮砲


 とりあえず、一発やり返さなきゃならんでしょ!


 大ダメージに怯んだもののすぐに槍を構えなおす黄色司祭。


 一息で何発も乱れ突きを見舞ってくるが、そのうちの一つを狙ってブロック。


 動きの止まった所で、間合いに踏み込む。動き出した司祭の手首を狙い剣を振るえば、槍を返して柄で受けられる。


 空いている左手で槍を<掴み>にいくと、槍を捻って手を弾きにかかってくるので、


 さらに間合いを詰めて相手の頭を狙って剣を振るう。


 避けるどころか寧ろ踏み込んできて胴体を突き飛ばされ、再び間合いを取られてしまった。


 そしてそのまま力の篭った槍の突きを放ってきたので転がって回避、そのまま転がって間合いを詰めなおす。


 狙い撃つ様な突き込みをブロックするも地面に貼り付けられ動けなくなるが、根住の尻尾だけ勝手に動き黄色司祭の足を巻き取り<掴み>からの


気脈術 冷気


 再びの凍結状態、相手は邪神の尖兵に取り付かれているとは言え人型だし、ここで大技はやばいかね~。


 どこに邪神の尖兵の核があるのか……。


 頭かな~。明らかに出っ張ってるんだよな~ローブのフード部分がさ!


 寿老人かよ!ってちょっと思ってたわ。


 しかし、動きを止めないと頭を一発も殴れないなんて、やっぱり強かったな。ここの司祭達はまともな状態で会いたかったな。


 【訓練】つけてもらえたら、楽しかっただろうに……、まあ一旦お休み、また今度戦いましょう。


 世界樹の剣で頭をぶん殴ればローブの内側から瘴気が大量に漏れて、ぶっ倒れる黄色司祭。


 転がる黄色い玉と小さな鍵に心臓の時と同じ仕掛けかな?と部屋中確認して回るとヒトが入れそうな箱っていうかエレベーター?


 ボタンとかは付いてないけど鍵を使って横スライド扉を開け、中に黄色司祭と一緒に入る。

 

 すると急な圧力に尻餅をつき、アッと言う間に空に投げ出され、水の中に落っこちた。


 何がなんだか分からないが、エレベーターじゃなく射出装置だったのか、しんどい。

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― 新着の感想 ―
[一言] ( ̄□ ̄;)!!今度は緊急射出装置(笑)
[一言] 最近のサスマタは先端部分が手錠みたいに締まって簡単に外れない構造になってる なので1人が狙い易い胴を固定して動きを制限し他の人が腕や足を捕まえて押したり引っ張ったりして転ばせて起き上がらせな…
[一言] 肝臓で黄色 黄疸じゃないですかやだー
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