541.血管ていうか水道?
休みは終わり再突入日。
「一先ず肺部分までの汚染は無いと思われるので、そこまではバックアップ及び拠点防御隊を出そう」
「ああ、やっぱり肺の邪神の尖兵倒したから空気が清浄化されたんですかね?」
「だろうな。調子が悪くなる者は出ていない。でも引き続き内部の水やなんかは手を出さないように伝えてある」
「賢明ですね。空気汚染があるって事は水質汚染だってある可能性はあるし、でも今度は補給線が伸びるって言う問題が出てきますね」
「ふむ、その辺りは我々は疎いからな。通常戦闘艦で大型の魔物を狩りに行くのが普通で、そういう後方から物資を送り込むような事をしてこなかったからな」
「まあ無理せずぼちぼち行きましょう。食べる物だけは沢山あるわけだし、少し多めに持ち込んでもこちらに取り憑かれる者が出ないことが最優先ですよ」
と言う事で、ケーちゃんの口から肺までは占拠完了。次に目指すのは心臓。
情報によると肺から血管内部を通って心臓まで行けるらしいのだが、血液が瘴気で汚染されて無いとも言えない。
いや、寧ろ汚染されてると見て、自分が単独で突っ込むのが無難だろう。一人でどうしようもなくなったら、また考えるってことで!
道中エルフ達に見送られながら安全に肺奥へ、そしてあからさまなマンホールを開けて降りて行く。
薄暗い常夜灯程度の灯りしかない地下道、脇には水が流れているがあまりにも暗くて泳ぐのは勘弁して欲しい、何より強い瘴気の香りが否応無く警戒心を掻き立ててくる。
よく考えたら今までのフィールドは明るかった。ヒトが住んだり移動するためだろうが、何の灯りだったのだろうか?
そして血管内部が暗いのは普通ヒトが入るような場所では無いからだろう。
さて、どっちに向かうかな~。さすが血管だけあって、あっちにもこっちにも細かい分岐、心臓に繋がる方向だから太い道を通ればいいんだろうが、細い道にどうしても折れなくちゃいけない。
もし太い道のみを通ろうとすると、どうしても対岸に渡らないといけない訳だが、泳ぐのはちょっと本気でやばい感じがする。
いや、自分はニューターなので案外なんとも無いのかもしれないが、それでもちょっとな~。
なので細い血管に入り込み時折架かっているヒト一人渡れる橋を通って対岸に、そこから太い血管に戻る。
非常に回りくどく面倒臭い道のりに、すっかり自分の位置を見失った。
そして、ふと道が途切れている場所へ、唐突な途切れ方に明らかに不自然なモノを感じ、警戒した所で水の中から飛び出してくる魚?
水の中から勢いよく飛び出してきて真っ直ぐこちらに飛んでくるがブロック。水横の通路に落っことし、その姿をよくよく確認すれば、
ギザギザの歯に目は無さそう。口だけ付いた細い楕円の何か。
でも血液の中に入った異物を食うって事は白血球的な奴かね。自分を異物と捉えたか、邪神の尖兵に取り憑かれて正気を失っているか?
白血球だとしたら、ケーちゃんの大事な機能だしあまり傷つけたくないので慎重に対応しないとね~。
硬直が解けて道の上を這う白血球(仮)が口を大きく開けてこちらを威嚇してきて、今回は後者邪神の尖兵に取り憑かれているのが確定。
口の中に核がチラッと見えたので、口の中に剣を突っ込まねばならない。でもまあ自ら飛び出してきた時よりかなりスピードが遅いので、基本泳ぐ生き物なんだろう。
自分に接近して口を大きく開いた瞬間に、一瞬で核を突いて潰す。
動かなくなったところで水の中に戻しておく、まあ水が汚染されてればまた取り憑かれる可能性もあるけど、一旦はどうしようもないだろう。
そのまま血管迷路を再度攻略開始、しかしさっきの白血球(仮)に見つかった所為なのか結構な頻度で襲われる。
同型の口だけタイプ。殺意高めにしか見えないトゲトゲタイプ。毒と見える怪しい液体を内部に含み針を突き刺してくるタイプ。
取り敢えずはそんな相手。やっぱり免疫機能が攻撃しかけてきてるのかな~って感じ。
しかし、いつからだろう?視線を感じる。殺気混じりの視線なので、自分の自意識過剰とかそういうのじゃない。
まあ、向こうのタイミングで攻撃仕掛けてくるでしょ。
問題は本当に自分は今心臓に向かっているのかと言う、その一点だ!寧ろ自分を狙う敵がいるなら道順当たってるって事なんじゃない?
心臓で司祭に会う前に一戦かな~。
そんな事思ってたら、対岸に上に登る梯子が架かっているのを発見!
問題はどうやって対岸に渡るかだ。かなり太い血流をどう越えるか?回り道を探すしかないのかな?
ちょっと面倒臭いな~目的地が見えてるのに道探し直さないといけないとかさ。
凍らせて進もうにも、水が流れてるから凍らせちゃって溢れたりしたらヤバイよな。
普通に考えてさ、心臓近くの太い血管が詰まって血が溢れたら、大変な事になっちゃうじゃん?
そんなこんな対岸の梯子を眺めて考え事をしていたら、膨れ上がる殺気とリンクするように目の前の血流も盛り上がり、盛大に血液を道に溢れさせながら何かが姿を現す。
迷路に面倒な事考えて鬱々しちゃったし、デカイ強敵ボコボコにしてすっきりしたるかね。