表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/613

54.【コローナ ファミリア】の場合

 「姉御~運が良かったっすね~。本選までは残るつもりでしたけど本選一回戦の相手は、プレイヤー一人だけの記念出場プレイヤーみたいっすよ~」

 

 「何を油断してるのさ。相手だって予選を勝ち抜いてきたからこの場に立っているんだろうさ」

 

 「そうは言ってもっすよ。NPCに流石に負ける気がしないっすよ。掲示板でもただ運だけで残ったんじゃないかって言ってるのに」

 

 「そうやってあんた達はいつも掲示板やら攻略情報を鵜呑みにしてるから弱いのさ。まじめに【養成所】で【訓練】受けてみな!少しは、ましになるだろうさ」

 

 「それは無いっすわ~拘束時間ばかり長くて碌な報酬も無いこのゲームのクエストをまじめに受ける奴なんていないっすわ~」

 

 「そんなんだから、いつまでたっても動きがちぐはぐで、武技ブッパだの術ブッパだの。駆け引きの一つもありゃしないよ」


 「いや~姉御には敵わないっすよ。今のところ強NPCで埋まってる闘技場ランキングに10位とは言え引っかかってるとか、ありえないっすよ。自分NPC相手にぼっこぼこにされますもん、あれ無理ゲーだわ~」

 

 「全く情けないねぇ。弱い上に人の言うことも聞き入れないで、さらに弱音しかはかないとか何考えてるのさ?」


 「そうっすね~うまく立ち回っておいしいとこ取りっすかね?」


 「馬鹿!本当に情けない!地道にやればいくらでも強くなれる仕様なのにお前達ときたら!」


 「いや~姉御みたいにβからやってるわけじゃないしそこまで強くなんてなれないっすよ~」


 「そもそも、最初の話に戻るけどね、あんた達NPCに負けるわけ無いって言ってたじゃないのさ?何で闘技場だと負けるのさ?おかしいだろ?つまりそれだけ強いNPCを率いてこの場に立っている可能性もあるって事じゃないか」


 「ええ~まじっすか!?流石にそれはずるいっすよ。そんな事したら誰も勝てないじゃないっすか!それだけは無い!」


 「本当に自分に都合のいい可能性ばかりを残して、現実逃避ばかりするねあんた達は」


 「いや、現実逃避ってゲームですけど」


 「ゲームだって現実だよ!ちゃんとあんた達の意思で体動かしてんだろ!そもそも、なんでこのゲーム始めたのさ」


 「そりゃあ、何度も言うように格ゲーファンでいつか自分の体で戦ってみたいと思ってたからっすよ。 このゲームはRPGって銘打つ割にそういうとこ結構自由にやらせてくれるから、まじ最高ーっす。

 スキルシステムとか面倒っすけど、武技までたどり着けば後は戦うだけっすからね」


 「そうやって、武技や術ばっかりに頼ってるから駄目なんだって言ってるのにねぇ。汎用スキルと駆け引きで技を当てる隙を作る。自分のバトルスタイルを作り上げる。そういう醍醐味が全部抜け落ちてるよ」

 

 「まあ、自分で動かすキャラを自分の思い通りにメイクするのは楽しいっすけどね、汎用スキルとか闘技場じゃ使い物にならないっすよ。<察知>とかしてどうするんすか?相手目の前っすよ」


 「まあ、いいさ。今回の作戦だけどね」


 「いつも通りの全軍突撃。それだけっすよ。そもそも連携なんて取れないんだから。

 会敵と同時に大技ブッパ、後は個別に削っていけばそれでいいんじゃないっすか?」


 「まあ、最初からあんた達に連携なんて期待してないし、それしかないってのが実情だけどね。とにかく私が先頭に行くよ。あんた達は付いてきな!」


 「うぇーっす。流石姉御格好いいっす」


 「副官NPCにも開幕速攻大技から入ってもらうからね」

 

 「おっとうとう切り札使っちゃいますか?もっと勝ち進んでからでいいんじゃないっすか?相手はただの記念出場プレイヤーっすよ」


 「ん~本選入ったら速攻使うつもりだったんだけどね。様子見てからにするかい」


 「やっぱりなんだかんだ、姉御も相手チームが強いかよく分かってないんじゃないですか」


 「そりゃ聞いた事も無い相手なら、慎重にもなるさ。あんたの言う掲示板見たら、強NPC連れてるって言うだろ?気になるじゃないさ」


 「そりゃ、負けた奴の言い訳っすよ。その噂のチーム以外どこもそんな強NPCなんて話出ないじゃないっすか」


 「そうなんだよねぇ、予選で一回でも当たってれば良かったんだけどね」


 「さてと、ぐだぐだと話してたら時間だよ。最前線に全員並びな。一気に敵陣を駆けて踏み潰すよ」


 スタートの合図は本選からは何かの号砲になったらしいね。


 『ダンダン』

 

 という音と共にスタート


 一気に敵陣を攻めあがると

 敵は綺麗に隙間無く盾を構えてこちらを待ち受けている。

 100人いるはずの最前列が10人となると、どれだけの深さを持った陣形なのかね?


 まあ構わないさ、まずは一発当ててそれから考える。それだけさ。

 【訓練】を思い出し、いつものフォームから、


 一撃!


 そう思った瞬間、敵の圧力が一気に増した。さっきまでの盾の列が壁に見える。

 何をしたところで跳ね返される。そう幻視した瞬間、武技がファンブル、体も動かない。


 周りの仲間達も同様だ。何も出来ずに呆けている。

 そして、そのままゆっくりと壁が近づいてくると、飲み込まれる。そしてブラックアウト。


 試合の様子を見ていたが、どうにもここから勝ち目は無さそうだ。


 しかし、相手の指揮官どんな面してるんだろうね?

 コレだけの連中を率いてるんだ。どんな猛者なのか。

 今度は闘技場であってみたいね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ