539.動く木殲滅
一旦扉を閉めて通路を戻る。大部屋を占拠するエルフ達に今のところ異常は無さそうだ。しかしちょっと人数が少ないのは、何人か引き上げたかな?
正直な所、どうやって邪神の尖兵達が寄生したか分からないので、ここに大人数集めておく事自体ちょっと怖い。
念のため食べる物と飲む物だけは運び込み、船内にある物を食べないようにはしている。でも食中毒でも無いのに、そんな事で防げるのか?って話だよね~。
「ちょっと敵が沢山いる部屋に突き当たったから、手伝ってもらいたいんだけど」
「そうか!ただ何人か体調不良者が出たので、世界樹様の元で休ませてるぞ」
「ああ、人数が減ったのとは思ってたんですが、何かありましたか?」
「うむ、私はまだ影響が出ていないが、うっすらと瘴気と言うのか?それが蔓延しているようで、高齢の者から体に異常を感じているようなのだ」
「瘴気の影響なら世界樹様の元に送るのが正解ですかね」
「私もそう思う。やはり前に話した通り当分は少数精鋭、面倒でもマメに引き上げたほうがいいだろう」
「了解!じゃあ、次の一部屋攻略するまでを目標としますか」
そして若手精鋭達、エリーゼ様を中心とした見慣れた若いエルフ達を率いて通路を通り、左手へ。
ただスナイパーエルフや数人がなにやらデカイ箱を運んでるのが意味分らん。エリーゼ様が止めないなら別にいいけどさ。
扉の前で一応号令だけかけておく、
「皆準備はいいね」
「任せろ!」
「今日はここまでなんだ、使い切るつもりで行くから安心しろ」
「問題ありませんわ、日頃小言を言ってくる年配者達に実力を見せるいい機会ですわ」
うん、小言も言いたくなるよね。実力と潜在能力はあっても自制心が足りないんじゃ怒られちゃうよ。
でもまあ気合は乗ってるみたいだし、大暴れするには丁度いいか!
「じゃあ、開けたら自分がまず突っ込むよ」
全員が大きく息を吸い、緊張を高めたのを背中で感じ、
気脈術 冷気
気脈術 陰気
不意打ちに備えて耐性を高め、気配を消し、扉を開けると同時に目の前の木を一体斬りつける。
取り合えず回りは全部敵!散弾銃を適当にばら撒くようにぶっ放し、目の端に映った邪神の尖兵の核を世界樹の剣で潰す。
敵は木なのだやる事は一つ!<青蓮地獄>発動と同時に剣を逆手に持ち地面に突き刺す。
凍剣術 獄霜界
動きの緩んだ動く木達の邪神の化身を見つけては潰す。
「続け!全員総攻撃だ!」
と、エリーゼ様のガトリング掃射が入ってからは一気にこちらの有利の展開。
スナイパーエルフ達が自分の開いた入り口部分の空間にデカイ箱を設置、何か操作して音楽が流れ始めた?
大部屋にあった何かスピーカーか蓄音機みたいなやつじゃん?
「どうしたのそれ?」
「これか?踊るときに使う音楽が鳴る道具だぞ?音楽を聞くと体の調子が良くなるんだ」
ああ、え?ああ・・・確かに前にヒーロー達と闘技場で戦った時にそういう音楽関係っぽいヒーローいたけど、そういう音楽バフみたいなのあるんだ?
流れてきたのは軽快なジャズ、いやブルース?なんだっけな~。
いや、あれだ。前回がタンゴだもんダンス曲じゃん?ジルバだったかな?ジャイブかな?
ジルバって日本で鈍った言葉で、ジターバグとかそんな言い方が正式だったかな?
まあ、いいか!
ズッチャン、ズッチャン!って言うこのリズムがなんていうか分からないけど、何気に自分のようなおっさんには妙に馴染むリズム。
何か楽しくなってきた~。
目の前には黒い巨木、銀髪エルフが乱射し動きを止めているが両手の銃の弾を撃ちきった所で、自分が前線を代わる。
体の軽さに任せて滅多切り、木の葉を飛ばしてきたがかわしながら、どうしても当たるものは斬り捨てる。
装填の終わった銀髪エルフの跳弾による多角攻撃に妙に防御の集まる場所を切り裂けば、ビンゴ!
邪神の尖兵の核を潰す。
周囲でも銃を使う女性戦闘員の牽制に合わせて近接武器使いの男エルフ達が核を潰してとどめをさして行く。
単独で牽制と制圧を行うエリーゼ様は別格、火力が違う。
木々の隙間から現れたのは獣。
犬とも猫とも言えない、なんなら前足が進化して器用に使いこなせそうにも見える。
茶色、黒、白といろんな色の獣がこちらに向かってくるが、調子が出てきた戦闘員勢の火力の前に身動きが取れなくなり、
男勢に片っ端から倒されていく。
まあ、森だし獣がいてもおかしくないんだが、なんだったんだこいつら?
強いて言うなら白が回復担当っぽかったのだが、エリーゼ様の火力が高過ぎてよく分んなかった。
その後も群がってくる木や獣を倒し続け、一番奥には人面ならぬ、完全にヒトを模した木。
なんだろう・・・マンドラゴラを引っこ抜いたまま大きく育てたみたいな?
自分達が前に集合すると閉じていた目をゆっくり見開き・・・、
「あっエリーゼ様頼みます」
なんかしてきそうな雰囲気だったので、速攻の牽制射撃。
あまりの連射に、動きが止まった所で全員一斉攻撃。
近接武器でも銛を投げたりできるものはガンガン投げつける。自分も散弾銃を撃てるだけ撃ち込む。
あからさまに守ってる胸部辺りを近接部隊で集中して叩けば、分りやすく邪神の尖兵の核があったので、潰す。
相手が何とかかんとか守ろうと腕や木の枝を振るってきたが、知らん。
こっちは制圧しないと今日のご飯が食べれないの!悪いけど何も喋らせないし、何もさせないよ!
これ見よがしにヒトっぽい形だけど、邪神の尖兵に取り憑かれてるんだから、取り合えずオネンネの時間だよ!
核を潰せば、動かなくなったので、
「じゃあ、引き上げようか!ご飯にするよ!」
取り合えず、飯食って寝る!