537.第二回目突入前会議
大部屋周辺を制圧して、できる範囲で東の者を運び出して一旦ログアウトからの、
仕事を終えて再ログイン!
未だ東の者達は目を覚まさない。邪神の尖兵に乗っ取られるってのはよっぽど体に負担がかかるのだろう。
また何人か増えた耐寒耐冷装備のエルフ達が世界樹様の下に拠点を造るべく作業している。
一先ずは司令部で会議だ。中の様子を一応確認してきた訳だし、色々聞かれるかもしれない。
「さて、全員集まったようだな。それではまずケートス突入隊隊長の話を聞こうか」
え?いつの間にそんな役職のヒトが決まったんだ?まあ、でもこの前の突入した中で一番役職が上なのはエリーゼ様だろう。
エリーゼ様の方を向くと、何故か目が合った。
何を言うのかな~と思ったが一向に無言。なんだろう?長考か?まあ多くの戦闘員達の命を預かるわけだし、軽々しく発言も出来ないか。
すると、隣にいたスナイパーエルフが脇腹を肘で小突いてきたので、
「え?痛いんだけど」
「(おい!なんか無いのか?ケートス突入の事で聞かれてるだろ!)」
「・・・え?自分?いつの間に自分にそんな役職が・・・」
「う、うむ、現状最も多く率いる事が出来、古の【巫士】様の術を使え、尚且つもっとも深くまで潜入した隊長に当面指揮を取ってもらいたいのだが?」
司令部にいつもいるかなり歳嵩と言うか、なんならおじいちゃんエルフに急に頼まれたが、まあ仕方なしか。
「ああ、じゃあ、現状内部は邪神の尖兵に取り付かれてる東の者で溢れていると見て間違いないですね。邪神の尖兵の核を潰せば皆それだけで倒れますので。さらにはちょっとした物陰や細い廊下にもいますので、慎重に進まないとどうしようもなさそうです」
「ふむ、一気呵成に制圧とは行かないか・・・」
「そこはなんともですね。リスク回避するなら当分は少数精鋭の方がいいんじゃないですか?何しろどうやって取り憑かれたのかがそもそも分からない訳で、我々の方に被害が出ないとも限らないですよ?」
「なるほどな。それで隊長は次の目標はどうすべきだと思う?」
と、エリーゼ様が聞いてくる。
「一つは大部屋中心の細い道や小さな部屋の完全制圧及び安全確保ですかね。内部潜入の橋頭堡として機能させるのがいいかと」
「一つはって事はまだなんかあるんだろ?」
「もう一つは普通に更に奥の探索ですね。口近くの大部屋はそれこそ複数人で制圧するしか無かったですけど、細い廊下や小部屋なんかは少人数で見るしかないですから」
「やはり、都度拠点を構築しながら慎重に進むしか無いか・・・」
「ああ、そうだ。そう言えば!中はそこまで寒く無さそうだから、一時的に我慢して突っ込めば完全な耐寒耐冷はいらなさそうですよ」
「ほう、それならいくらか展開速度は上げられそうだな。完全耐寒耐冷の外作業隊と最低限の耐寒突入隊を分ける必要があるな」
「戦闘するなら身軽な方が絶対いいし、分けるのは賛成ですね。なんなら東の者を運び出すチームが欲しいくらいですよ」
と、まあそんな感じで自分としては本当に慎重に進むしか無いじゃん!って感じなのよね。
まだ鼻から口にかけて、ほんの入り口部分しか攻略できていないが、人手が増えれば何とかなる筈。
イメージとしては大部屋を人数使って制圧。それ以外は自分のような偵察チームが細い道の攻略って感じかな。
でもそうなると単独及び少数精鋭で、あちこち回れなきゃいけないわけで・・・結局自分が頑張るしかないのか。
ベテラン勢も二人一組とかで進んでもらえば悪くないかもしれないが、一旦自分が回った場所を細かく見直してもらう位に限定した方が危険が少ないよなどう考えても。
「さて、入り口近くで司祭様がいそうな場所だが・・・」
「それなら喉奥から先、心臓の間が一番近いかもしれません」
「心臓の間?」
「ええ、ケーちゃんの体を動かす最重要部位の一つです」
「あのさ、心臓って言うくらいだから重要な器官なのは分かるんだけど、具体的にそこの司祭様って何やってるの?倒しちゃってもケーちゃんにダメージは無いの?」
「心臓の間の司祭様がいなくなれば、ケーちゃんはかなり弱体化します。今の凍った状態を解除してもほぼ動かなくなり眠りに付くと思います」
「別に死んじゃったりはしないんだ?」
「ええ、ケーちゃんは元々何もしなければよく寝るだけの大人しい生き物だと聞いてます」
なるほどな。この情報が正しくて凍らせなくてもいいとなれば、世界樹の負担も減るし第一目標としては悪くない。
「じゃあ、次は制圧地域の拡大と心臓の間攻略を目標にするという事ですすめたいんですが?」
「「「「「異議なし!」」」」」
目標が決まった事で、全員がそそくさと動き出す。
一時的に寒さを我慢する方法としては〔火辛子〕を使った料理が最有力との事なので、ちょっと辛いレシピを考える事にする。