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536.パーティタイム

 自分が立っている場所はどうやらケーちゃんの舌の上らしい。ふかふかしているが湿っているとかざらざらしているとかそんな事も無い。


 いっぱいに入ってきた外の光が逆光になり尖った牙の影が見え、ここが口の中だということがよく分かる。


 一旦外に出ようかと思ったが、世界樹のいる陸の方から黒い何かがどんどん近づいてきて、よくよく目を凝らして確認すればメンバーぎゅうぎゅう詰めのデカイ箱!


 ソリですらない!凍った陸地と海をデカイ棺桶で異常な勢いで滑って向かってくる。


 そのままケーちゃんの下の歯にぶつかって、ひっくり返るように自分の周りに転がった。


 「うん、騒がしいね」


 「すまん、素早く静かに入り込むにはこれが一番だと思ったんだ」


 まぁ、ケーちゃんもいつまでも口開けてたら疲れるだろうし、ボタンを押して口を閉じてあげる。


 「さて、取り合えず今回の目標はこの先の大部屋の制圧でいいと思う」


 「以前入った事あるが、皆で踊ったり会食したり、色々な出し物を見る部屋だ」


 「要は外向きのパーティホールって感じなのかな?この先にかなりの人数が集まってるけど、ここを制圧しないと今後奥に向かうのに面倒だと思うんだよね」


 「分かった。じゃあ守備チームはこの入り口の維持を頼む。最悪退路になるから、最重要だぞ!」


 「じゃあ、エリーゼ様は中二階の回廊から敵頭上に弾丸をくれてやって、牽制お願いします。とにかく数が多いので」


 「他の攻撃制圧部隊は正面から行って目を惹きつけるから、裏から隊長は確実に数を減らしてくれ」


 自分とエリーゼ様はホール中二階回廊に向かい、それぞれ配置に付く。


 そして、頭上からエリーゼ様のガトリングが嵐のように弾を降らせ始め、その音で一斉に状況開始。


 エリーゼ様に気を取られ、階下から仲間を踏み潰しつつ向かって行く、邪神の尖兵に取り憑かれた東の者。


 背後からまず一人邪神の尖兵の核を潰し、振り返ったヒト型の顔に付いてる核も潰す。


 そのすぐ背後から体格のいい一体が腕を振り回してきたので、転がって避けそのまま脚に付いてる核を潰す。


 すると、その振り回してきた腕が惰性で自分の背後にあった大きな箱に当たり台座から落っこちた。

 

 その衝撃で、箱から音が鳴り始める。


 タッタラッター、タッタラッター、タッタッタッタッ・・・


 なんだっけな~何かこう・・・めっちゃ踊れそうな・・・首とかスパッ!て動きそうな・・・タンゴか!


 一斉にヒト型達がこちらに振り返り、自分がターゲットに・・・いいじゃん!


 思わず口端が持ち上がる。なんかこの曲テンション上がるな~。


 一斉にヒト型の群れがこちらに向かってくるのが何か楽しくなりながら、剣を逆手に持ち地面に突き立て、


氷剣術 霜界


 敵達の動きが緩んだところで<跳躍>からの


武技 反動滞空


 中二階の回廊に戻る。どんどん群がってくる敵が、仲間を踏み台にするように徐々に回廊に近づいてくるが、散弾銃で吹っ飛ばす。


 手が届く相手は核を潰し、やっぱり階下に落っことす。頭上から散弾銃の弾をばら撒いてやったら、何人か凍りついた。


 本能のまま直線的に向かってくるだけの相手なんぞ怖くもなんとも無い。


 弾の装填が済むごとにぶっ放し、剣の届く範囲まで来た奴は、核を潰して解放してやる。


 ふと、入り口付近を見ると、銀髪エルフが乱射しながら仲間を援護しているが、中々に進みが遅いようだ。


 近接担当が一人、ヒト型に取り憑かれそうなので、回廊の欄干に足をかけ<跳躍>を使って天井から下がっているシャンデリアを掴み、そのままの勢いでホール中央のテーブルの上に降り立つ。


 一斉に囲んでくるヒト型達の一部にエリーゼ様のガトリングが降り注ぎ、道が出来る。


 隙間を縫うように近接担当の若いエルフに近づき助け、手近にいるヒト型を片っ端から解放しまくる。


 タラララ~ラ、タラララ~ラ、タラララ~ラ~ラッラ!!


 入り口付近の戦線を整え終わった所で、今度はエリーゼ様に群がる奴らに背後から強襲!


 何か操られてて何にも考えられそうも無いのに、何か怯んでるようにも見えるのは気のせいだろう。


 「タラッタータッ!ははは~」


 軽やかな弦楽器の音に変わったな~。癒されるわ~。


 装填が済んだ散弾銃をぶっ放しつつ、確実に核を一個づつ潰す作業に没頭する。


 妙に体がキレる!仰け反るように敵の攻撃を避け、その動きのまま腹にある核を潰し、


 普段ならステップなんてそんな器用な真似出来ない筈なのに、不思議と足が思うままに動き、


 ターンからの斬撃、膝を曲げず足を伸ばすようにいつもより間合いの長い突き、地面を踏みしめるのと同時に重量の乗った打撃。


 全然集中力が切れない!敵の数が減れば減る分だけこちらも余裕が出て、殲滅速度が速くなっていく。


 そして、曲もクライマックス。


 一際大きな一体が、腕を振り回してくるのを紙一重でかわす。


 更に叩きつけてきた腕をターンで横に避け、噛み付いてきたところを剣の柄でかち上げる。


 腕を掴み、


気脈術 冷気


 凍ったところで、邪神の尖兵の核を潰しトドメ。


 大部屋のヒト達は全員解放され、床に転がっている。


 そこからは皆で地味に転がっているヒト達を運び出し、世界樹の根元に寝かせておく。


 要塞まで連れて行って正気を失ったままだったら嫌だし、だからと言ってケーちゃんの中に放置すれば、再び取り憑かれる可能性もある。


 だから折衷案として世界樹の近くに並べておく事になった。

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― 新着の感想 ―
[一言] もはや無双シリーズのそれであった
[気になる点] 調子がいいのは音楽のせいか装備なのか [一言] 本能で隊長におびえている
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