533.突入計画
融けた司祭様は取り合えず昏睡状態。
「相当のダメージを負っているな。これは当分起きないだろう。原因が邪神の尖兵なのか凍りついた所為なのかは分からないがな」
100%邪神の尖兵に取り付かれていた所為だな。おのれ!邪神め!
しかし、ケーちゃん内部の情報を持ってるヒトが当分起きないとなれば、情報が無い状態で戦う事になる。
黒いローブの司祭様はかなりたどたどしかったが喋っていた。一応操られてるのは間違い無いだろう。更に食料を手に入れようとしていたと言う事は、ヒトの体を生かすつもりでいるのだろう。
ちなみに現状相手に動きは無い、何ならケーちゃん凍りっぱなし。
どうやら、世界樹が凍った状態を維持してくれてるらしい。しかし内部が凍っていなければ、邪神の尖兵が出てこないとも限らない。
現状、外の低温状態で活動できるのは自分と耐寒耐冷装備をマフラー以外も装着した数人だけ。
監視を続けつつ、対策を練る。
中のヒト達が操られてるにしても邪神の尖兵さえ倒せば何とかなるなら、早めに対応しないと凍死とか餓死とかまずいもんな。
まぁ、このゲームの場合そこら辺はそうそうNPCが死ぬ事は無いんだけど、自分は一回やっちゃってるからな~魔物化した教区長をさ~。
今は凍った外でも活動できるヒトを増やす為に耐寒耐冷装備を増産する他しかない状態。
つまり装備屋のおっさん頼りってわけ。やっぱりここぞという時に頼りになるのはおっさんだな。
一応内部の道筋だけは刺青のお姉さんが教えてくれたが、ケーちゃんの中は小さな部屋がいくつも連なっているらしい、
一つ一つ制圧するとなるとかなり時間がかかりそうだ。
そうなると数日かけて地道に制圧して行く事になるわけだが、拠点をつくれる場所を確保しつつ、
攻撃制圧チームと拠点守備チームと潜伏偵察奇襲チームと三チーム必要って事になった。
さらには世界樹の根で作った近接武器使いと遠中距離武器使いの混成チームじゃなきゃいけない。
部屋一つ一つが小さいためパーティでの行動となる。
取り合えず第一陣。
ケーちゃんの口が閉じている為鼻から潜入。脳を占拠できれば、ケーちゃんのコントロールを取り返せる可能性が高いようだが、簡単には入れない。
なんなら壁をぶっ壊すような進み方をすればケーちゃんにダメージが入ってしまう。
正攻法で脳に入り込むためには何人かいる司祭が持つ鍵を全部集めないといけない。
ちなみに最初に倒した黒の司祭は黒いこぶし大のオーブを持っていたが、これが鍵で間違いないそうだ。
後は制圧しながら司祭達を倒し、ケーちゃんのコントロールを取り戻す。これが基本方針。
しかし、まだ第一陣なので鼻から下、喉辺りまでを制圧するのが目標。
まず攻撃制圧部隊がエリーゼ様含む5名、銀髪エルフと若い近接武器使いの男エルフ達。
次に拠点守備部隊が姫毛カールが率い、スナイパーエルフがエース、後は男エルフ達。
最後に潜伏偵察奇襲チームが、自分!だけ!
おい!と思ったが、装備屋のおっさんが全力で装備を作ってくれてるのに無理は言えない。
どこまで出来るか分からないが、まずは入り口近くを確実に占拠し敵が出てくるのを防ごうと思う。
そうと決まれば、今日のところは飯くって寝て、ケーちゃん潜入制圧に備えないとな!
とにかく皆温かい物が食べたいだろう。
海草、つみれ、白身魚、ホタテ、その他諸々出汁の出そうな海産物をぶっこんだ鍋!
今回の寒さは天上のヒトには堪えるだろう。未経験の寒さのようだからな~。やっぱり温かいものを食べるしか、癒される方法は無いはずだ。
何なら体が温まれば身も心もほっとするのではなかろうか?
燗にした酒と熱い鍋で、腹を満たしてもらい体を温めてもらい。皆にも一旦休んでもらう。
交代で監視要員だけ残し、兎にも角にも休む。
自分だけはちょっと世界樹に挨拶に行く。
「すみません、お手数をお掛けして」
『いいよいいよ。なんかあいつの中に入って、戦うんでしょ?ゆっくり休みな』
「そう言ってもらえるとありがたいです。お酒はいりますか?」
『じゃあ、貰おうかな!』
と言う事なので【森国】の古酒を土に流す。
「それじゃ、おやすみなさい」
『うん、おやすみ!何か凄いね。いつの間にかこんな色んなお酒が作れるようになったんだね』
「なんか大昔の英雄が、誰でも好きなだけ酒を飲めるようにって何でも願いが叶う玉に頼んだらしいですよ」
いつだか聞いた話をして、自分も水上要塞に戻り、一旦休む。
次はケートスのケーちゃん攻略だ。中ではきっと邪神の尖兵に取り憑かれた者達と戦う事になるのだろう。
十分に英気を養わなきゃな。