526.世界樹の剣
太刀魚倒して、太刀魚尽くしを食べて寝て、起きたら武器屋のおっさんに呼び出される。
そんな天上生活。
どうやら、早々に自分の世界樹の剣から仕上げてくれたらしい。ありがたいけど何か最優先にされるのはしんどい。
なんで、皆で見に来るんだよ!
見世物になるのは仕方が無いと諦めて、武器屋のおっさんに渡された剣は、ぱっと見た感じ鉄剣なんだけど?どうなってるのかな?
「お前さんに使いやすい性質にしておいたぞ」
「どういうことよ?」
「お前さんの普段使いの剣は重量のある鋼の片手剣だろ?色々混ぜ物はされてるが、ベースはそんな感じだ」
「まあ、製作者のクラーヴンは鉄製品が得意だから間違いないと思うけど」
「世界樹様は金属を産み出せるから金属の性質を持たせる事が出来るし、重さも自在。お前さんの身体能力に補正がつくし、回避や耐性や回復といった面でも助けになってくれるだろう。影響を与えるのは剣とお前さんの肉体だけだが、様々な世界樹様の加護を得る事になる」
「何か立て板に水で説明してくれるけど、なんつうヤバイ代物渡してくれてるのよ」
「世界樹様の根なんだから普通の事だ諦めろ」
「ブロック能力とかガード能力は?」
「そこは残念ながら、そっちの剣の方がいいだろうな。逆に世界樹様の剣はあくまで木剣だから術との相性はいいぞ」
「分かったよ。上手く使い分けるさ」
「折角だからあの制服?装備とフルセットで見せてくれよ」
「なんでさ?」
「いやあの制服ってのはお前さんの国の正式な戦闘服じゃないのか?」
「戦闘服って言うより礼服だよ。あの服ならどこ行ってもおかしくない服」
「へ~その割りに戦闘に対して実用的だけどな。いいじゃないか見せてくれよ」
「はいはい・・・」
そう言って、礼服セットに着替える。両袖をまくって腕輪も装着。ドヤ!
なんかざわつく見学者達。前に三人をとっちめるのに一回着てる筈なんだが、そんなざわつく物か?
「な~!勲章胸につけないのかよ!礼服だったらブローチ外して勲章だろ?」
と、スナイパーエルフ。そして続々とクレームが入る。
「その襟って意味があって折り返してるんだろ?間に世界樹様のジェットのネックレス着けてたら、意味深じゃないか?」
「前戦った時手袋は黒のままだったよな?服の色が変わるなら手袋の色も服と同じ色に変わった方がかっこいいぞ!」
「ベルトもあれだなもっとバチッとした方がカッコイイ」
「その仮面と襟巻きは合っていませんね。普段の黒装備ならよく合っていますが、その礼服には全く合っていません」
「その礼服にその散弾銃はでかすぎてアンバランスだし、礼服の時はハンドガンにしないか?」
「それ言ったら、剣を背中に背負うのもやめたほうがいい。腰に差した方が絶対雰囲気あるよ」
「内側のアンダーアーマーちら見せより、シャツかなんかにした方がいいな」
「じゃあ、ブーツも替えよう!もうちょっとすっきりしたデザインの方がいい!」
「あ~~~~~~もう!皆勝手なこと言うけどさ!それじゃ総取替えじゃん!まずアクセサリー類外すと氷精と状態異常耐性の補助がなくなるの!それ以外の防具が無いと<疾走><登攀><水泳><跳躍>なんかの補正がなくなっちゃうの!他にも大事なのは握力と腕力と装備許容補正!」
「「「「????」」」」
「え?なによ?」
「それだけ氷精の防具で固めておいて、アクセサリー必要?ちゃんと精神力通せばほぼ状態異常は喰らわないでしょ?それに身体能力補正なら世界樹様の剣で十分じゃん。移動補正については一考の余地があるかもしれないけど、その礼服ってそんなに移動補正必要?」
「ま、そう・・・だね・・・あっでも仮面が無いと暗視とか・・・」
「逆にそれだけじゃん。何かもう少し礼服に合う仮面にしなよ」
「・・・作れる?」
「ふむ、グローブとシャツは水晶が必要だが手元にあったな。後ネクタイとブーツとベルトと剣帯とハンドガンか、何とかなるだろう」
何とかなっちゃうのか~。じゃあ作ってもらうかな。
「じゃあ、頼むよお代は?石壷?」
「石が余ってるんだよ。いい物すぎて逆に買い手がつかねぇ」
「じゃあ、貝殻のお金で払うわ」
「そういや、荒稼ぎしてるんだったな。金で払え」
「問題は仮面?」
「仮面ってのは実はよく分からないんだよな~。ここじゃつける奴いないから」
「まあ、別に無理しなくていいよ」
「何か思いついたらって事にしておくか」
まぁ、制服装備はあくまでファンタジー忍者服の耐久が無くなった時の控え用趣味服みたいなものだし、お任せしちゃおう。
「それじゃ、次は世界樹様の剣を実際に使ってもらうとしよう!」
エリーゼ様がヤル気だ・・・。