525.海のギャングって言うか強盗
ログインして【訓練】に向かおうと思ったが、既にエリーゼ様が地獄の鬼になってたので、今日は他行こう。
自分もね【訓練】したい気持ちはあるのよ。でも途中から入るとかってテンションが違いすぎて、醒めちゃったりするじゃん。悪いじゃん。
ああ、でも、自分自身をもっと締めていきたい気持ちもあるんだよな~。銃だけでもちょっとやってこうかな・・・。
「よう!ダンジョンの続き行くか?」
うん、考え事している内に活きのいい若いエルフに声をかけられた。
実戦も悪くは無いか!魔物狩り倒してスキルの育成も悪くない!
何だかんだ、またスキル手に入れちゃったもんな~。
言っても指名手配の時とかほとんどスキル増やさなかったし、のんびり戦える今スキル育成に力を入れるのも悪くない。
「行こうか!あのダンジョン、地図が手に入るだけで奥に何があるか分からないし気になるね」
若いエルフと連れ立って小船で林まで行き、潜る。
すっかり慣れた水中ダンジョン。地図があれば入り組んだ三次元迷路もなんのそのどんどん進む。
ついでに魚の魔物を狩って切り身を集め、夕飯にする予定。イカとかタコとかもあればあっただけいいな。
そんなこんな未踏地に到着。なんか秋刀魚かな?銀色の魚が増えたな。
ふっふっふ、これは塩焼きかな!つみれもいいな~。食いでのある魚だぜ!
でも、ドロップは切り身!つみれは作れるだろうが、秋刀魚の姿のまま焼きたいのに!
魚はダンジョンより普通に釣るなり採るなりした方がいい物が食えるのか。
そんな事を考えつつも切り身を集めていると、
すぅっと長ーーーーい銀色の影が自分の横を抜け、秋刀魚の魔物を食い荒らして、何処かに行ってしまった。
「・・・」
「・・・」
思わず若いエルフと顔を見合わせたが、多分ボスサイズの魚魔物。
少し進むも、魔物の影が無い。多分さっきのボス魔物が食い荒らしてしまったのだろう。
折角の楽しみを・・・焼き魚で一杯やる気だったのに!
その後魔物がいない場所が通り道だろうと、見当をつけてさっきの長いボス魔物を追いかける。
飯の恨みは、そう軽いものじゃないぞ?
そうこうしている内に辿り着いた小部屋の壁沿いをさっきの長い魔物が悠然と泳いでる。
ちゃんと観察すれば、何の魚か分かった。太刀魚だ。
秋刀魚に太刀魚って、鋭い魚のフィールドなのか?酒の肴には丁度いいけど。
ゆらりゆらりと近づいてきて、自分達に触れるかどうかという所で、急速反転。
感じた殺気に反射で剣を立てブロック。
斬撃を喰らうが太刀魚の方は何も無いという事は直接攻撃ではなく、鋭い衝撃波って所か?
太刀魚だけあって、斬撃系の魚なのか?
ちなみに若いエルフは偶々自分の後ろにいたので、セーフ!
さて、どうやってくかね。まずは最近お決まりの、
気脈術 冷気
耐性上げからやって行く。何だかんだこれがあるだけでかなり戦いやすくなる。
すぅっと泳いで太刀魚に近づき、突きを一発やり返すも手応えがいまいち。この魚硬いぞっと。
氷剣術 凍牙
丁度術を使った戦闘やりたかったし、タイミングがいいな。楽しくなってきた。
再びゆらゆらと揺れるように近づいてきた太刀魚がまた自分に触れるスレスレで、反転。
そこに剣先を当てて擦りつける。
斬撃の衝撃を受けつつ、相手の胴にも凍る剣でダメージを与え、相打ち状態。
怒ったらしい太刀魚が噛み付いてきたので、剣で正面からブロック。エラに指先を差し込むように<掴み>からの、
気脈術 冷気
凍らせた所で、
<集中> 威力
さらに<犠牲>で生命力を捧げ、威力を高めに高めた、
気脈術 陰気
特大吸収攻撃!相打ちのダメージを一方的に回復し、相手には大ダメージ!やってやった!
ダメージを与えるタイプの術が少ない自分にはやっぱり 気脈術 陰気 が使い勝手いいんだな~。
陸上なら銃もありだが、水中じゃやっぱりそうも行かないしな。
大ダメージから立ち直った太刀魚が、何故か立ち泳ぎの様に頭を上にして浮き始めた。
そして、一瞬光ったかと思うと、視界が乱反射する銀粉に覆われる。
水中をキラキラした銀粉が舞うが、その量が多すぎて大きい筈の太刀魚を見失う。
時々視界の銀粉の揺れが不規則になり、多分太刀魚が通ったのだろうと、それ位の情報しかない。
殺気を感じ背中を剣で庇えば、衝撃で飛ばされる。また感じた殺気に剣で受ければ反対方向に飛ばされた。
こうなったら仕方なし、若いエルフに離れるようにジェスチャーで伝える・・・?
何か分かってないみたいなので、遠くを指差すと離れていった。
そこで<青蓮地獄>を発動。
殺気を感じると同時に、
凍剣術 獄結海
自分ごと周囲を凍りつかせ、そこに若いエルフの銛が飛んできて、至近距離で爆散!
銛が爆発する訳じゃないが、ほとんどくっつくような位置にいた太刀魚に強力な術が当たり、エフェクトが爆ぜる。
ダメージ量が許容オーバーしたのだろう。動きが鈍くなった所を二人で術を使い削り倒す。
太刀魚の<解体>は任せて、自分は宝箱開封。やっぱり透明な石のような地図。
でも、前手に入れたものとくっつければ、接着剤も無いのに不思議と一体化して行く。
まん丸になるまでもう一息だが、今日のところは引き上げよう。