524.帰還からの依頼
水上要塞に帰還、戦闘艦を再びドッキング!
戦いで傷ついたところを修復する為にメンテナンスをはじめる。ヒトデの棘とか甲板にガッツリ刺さりまくったし、ダメージはあるだろう。
自分は基本歩きなので乗り物の耐久って奴はよく分からないけどさ。
水上要塞の別の舟に数本のロープで世界樹の根を引き上げ、程よいサイズに分けて工房に運び込む。
自分もついていって装備屋のおっさんに頼み事!マフラーを編んでもらわねば!
<融力術>を実用するには絶対必要な耐寒耐冷装備。自分は現状の装備で問題無いが、エルフ達は耐えられないらしい。
多人数で使う術なので、装備も数を揃えなければならない。つまり少ない材料で沢山作れるもの!
そう!マフラーしかないだろう。エルフ達に装備屋のおっさんの手編みマフラーを揃いで着せるぞ!
「よう、お疲れさん。世界樹様の件は上手く行ったようだな。ヒトデってのは手強かったか?」
「おかげ様でね。ヒトデも何とかかんとか倒したよ。それでさ<融力術>を使うに当たって問題が発生しちゃってさ」
「おう?そうなのか?そりゃ一大事だな。皆期待してる案件だし・・・でも俺に相談するって事は装備で解決するんだろ?」
「そう言う事。自分は氷精使いだからどうしても周囲が寒くなっちゃうんだよね」
「つまり耐寒耐冷装備って事だな」
「話が早くて助かるわ。一応素材としては地下で雷精羊の毛をごっそり貰ってきたから、それ使えば作れると思うんだよね」
「ふーん、数が必要なんだよな?大量に作れるものか」
「マフラーでしょ。ここは!おっさんが~よなべ~をしてマフラーを編んでくれた~」
「俺が編むのかよ。俺が編むしかないのか、はぁー・・・。いつ東の者が来るとも分からん状況だし、本当によなべだな」
「何があるか分からないのは本当だし、悪いけど頼むよ。素材は置いてく」
「ああ、任せろ」
そして、一旦甲板に戻ろうとすると、
「ちょっと待て、忘れてるぞ!」
と言って、おっさんが何か投げてきた。受け取ってみてみると腕輪。
「出来たんだ?」
「ああ、余裕がある時に精神力を込めておけば、いつでも一定時間生命力と精神力の最大値に補正がかかるぞ」
「なるほどね、精神力込めっぱなしじゃ無くて良いのは助かるね」
「まぁ、例の服の時にでも使うと良い」
「肝心の服は?」
「ふん、一応調整はしてみたがな。やはりお前さんの場合氷精に補正がかかった状態で使った方が耐性が高まる」
「まあ、それはそうだろうね。って事は消費量問題は解決しない?」
「それなんだがな。消費量をある程度コントロール出来るようにしておいたぞ」
「どういうこと?」
「常時全開じゃなく、お前さんの込める精神力量で耐性をコントロールできるぞ」
「その込める量って言うのは?どれくらいのタイムラグになるの?」
「そこは使って慣れてくれ。一瞬ではないが、遅いと感じるほどでも無いとは思うぞ」
今度こそ、用事は終わり今日のところはログアウト・・・。
「それで、お前さんは世界樹様の根の武器はショートソードでいいんだな?」
「自分も持つの?」
「そりゃそうだろう。下手したら、うちの連中を率いて東の者と戦ってもらわないといけなくなるかもしれんしな」
「まあ、戦うのはいいけど、貴重な世界樹の武器をね~」
「いいじゃねぇか。<木剣>のスキルだけは取って置けよ・・・ついでに術士向きのスキルも取ったらいい」
「取ったらいいって・・・、あっそう言えば!<陰精術>ってどうやったら強化できる?」
「対応する宝石があれば補正アクセサリーは作れるだろうが、スキル<集中>とか取れば術効果上昇アビリティがつく筈だ」
「じゃあ、それ取ろうかな」
とまぁおススメされたまんま、
<木剣>
消費軽減・・・そのまんま精神力の消費量を軽減してくれるらしい。
<集中>
威力・・・<集中>を使って溜めると次に使う術の威力が上がる。
前にソヘイラ様が使ってた気がするし、何となく分かる気がするが【訓練】かなんかで使い慣れておこうと思う。
用事は一通り済んだかな。一通りも何も装備屋のおっさんに丸投げしただけだけどさ!
ちょっと暇そうなエルフでも捕まえて【訓練】でもしようかな。
木剣借りて、どの程度消費量軽減されるのか、どれ位威力が上がるのか、溜め時間はどれくらいなのか。
諸々納得行くまで試して、飯食って寝る。
何か大きい戦いが近い気がして、ちょっと落ち着かない気分だな。