52.始如處女 敵人開戸 後如脱兎 敵不及拒
■ 集団戦イベントルール3 ■
砦の造りは全て同様となっているが正面入り口の他一階層目に関しては壁を破壊しての進入も可能である
ただし通常の攻撃や術では破壊不可能の為 オブジェクト破壊専用のスキルかジョブを取得していることが条件である
またフラッグは剥き出しであるが 正面階段以外から上って奪うことは不可能となっている
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前回の二の轍を踏まないように戦闘フィールドに着いたらとにかくすぐに砦に向かい相手プレイヤーと鉢合わせしないように気をつける。
相手の情報を得られないのはちょっと怖いのだが、逆に言えば相手もこちらの情報を得ることが出来ないと思えばフェアな状況だ。差し引き収支はゼロだろう
基本は 横隊 で重装兵隊を前線に出して待ち構えるスタイル。
状況に合わせて会敵までに変隊する時間はあるだろう。
とにかく緊張を高め、一戦づつ乗り切っていこうと毎度綿密な話し合いをしながら進めるのだが、
2、3回戦目は相手が明らかに100人近く布陣しているということは、多分自分と同じようなソロプレイヤーなのだろう。緊張して待ち構えるも、何の士気管理もせずに突っ込んできて勝手に【恐慌】状態になってカウンターの繰り返しだ。
コレが所謂、記念出場プレイヤーだったのだろう。たしかに拍子抜けだ。
4回戦目やっと本当にイベントが始まったと思った。
明らかに意図を感じる布陣と戦闘の滑り出し、前衛に使役魔物と思われる、木の集団20体。そのすぐ後ろにそれらを操っていると見られるプレイヤー。そして、一部は砦の中、一部は敵陣後方で待ち構える弓使いのプレイヤー達。
木を前衛のタンクとして使い、弓をメインアタッカーに据えた布陣なのだろう。理にかなっている。
敵前衛は動きが遅く攻撃力も低いものの剣で切ろうが槍で刺そうが鈍器で叩こうが効いてはいるが生命力が高いのか数を減らせない。
むしろ降り注ぐ矢にこちらが徐々に削られていく、まだ敵陣奥まで入ることが出来ていないおかげで被害が少ないだけだ。
前衛が押し切れず一進一退、こんな時術士がいたら助かったんだが、と思うと右に立っているミランダ様が目に映る。目が合ったので軽くうなずくと
「むにょむみょ」
「入れ歯忘れてきたんですか?今日はスキルに<言語>セットしてないから何言ってるかわからないですよ?」
どうやら、今日の予選は術を期待できないらしい。一気にピンチだ。とにかく何でも試してみるしかない。
策戦 兵糧攻め
いきなり、はまった。今日はツイてるかもしれない。
敵前衛の木が動かなくなったところでこちらの重装兵隊を残して敵陣を攻めあがる。
抵抗があると思ったが無理やり突き込ませると思ったほどではない。どうやらプレイヤーまで効果があったらしい。
腹が減っては戦は出来ぬ。ちゃんと飯食って補給してから試合を始めるべきだったな!その後はそのまま押し込んで勝ちきった。
5、6回戦とまた記念プレイヤー。まあ、初日だしな。7、8、9、10と『雑魚ロール』
っていうかこのゲーム『雑魚ロール』率高すぎだろう?なんかそういうのを楽しみやすい特殊なコンテンツでもあるのだろうか?攻略情報を読みたくなる気持ちをぐっとこらえる。
11戦目 騎乗プレイヤーを25体揃えて指揮官もろとも開始と同時に突撃された時はちょっとヒヤッとしたが、敵が布陣中に騎兵ばっかりだなって思った時点で仲間を砦内に引き上げ、入り口を重装兵で固め、2階から弓兵で狙わせて、序盤は地味に削りに徹し、程よいところで 兵糧攻め 馬が棒立ちになったところを逆転攻勢、後はそのまま飲み込む。
上手く嵌ってくれた。
その後も大半は記念プレイヤーか『雑魚ロール』ばかり、こちらとしては都合が良い。制限時間いっぱいだと30分かかってしまうが、どれもあっさりと終わるので何とか30戦消化できそうだ。
途中立ちふさがったのは、前衛重装兵と後衛術士とシンプルな集団だったが、一気に攻め寄せてくることもなく、立ち上がりに時間をかけたせいか【恐慌】状態も起こさずに、ボコボコ範囲術を投げ込んでくる連中だ。
いつもならがっちり左右くっついて密度を高めることで突撃力も防御力も増すのだが今回ばかりはそうも行かず、お互いの間を開きつつ一定の間隔で布陣する他ない。
陣術 疎陣
密集力の低さを補う陣形で、通常時より強くなるわけではないが、それでも何もないよりはずっと良い。
こういう立ち上がりゆっくりな正攻法の火力+防御力型が苦手なのかもしれない。
幸いうちの重装兵隊が個有の大盾スキルで術の威力も減じてくれているおかげで何とか戦線は保てている。
状況を動かしたのは、ルーシーの偵察兵
そろそろと敵陣の端を潜入し敵後方にたどり着くと
戦術 伏兵
戦術 奇襲
一気に相手を混乱させ、ついでに 挟撃も食らわせたことでほぼ壊滅、後はゆっくりフラッグを奪うが、結構時間のかかる戦闘だった。
後は、特別苦戦するでもなく何とかノルマ消化。なんだかんだ初日スタートダッシュは正解だったのかもしれない。記念で出場するだけの連中を片付けるだけで勝率を稼げるのだから。
ほっとした。一つ大きな仕事をやり遂げた自信で、今回のISO審査も無事に乗り切れる希望が湧いてきた。
おっさん余裕の30戦全勝
でもまだ、剣の一振りもしてないから
無双じゃないよね!(言い訳)