510.精神力解決の道
「よう!随分厳しい【訓練】をはじめたそうじゃないか?」
「いや、全然そんな事ないよ。普通」
「そうか?この前の【訓練】だけで、若い奴らがげっそりしてると聞いたがな?」
「ああ、エリーゼ様は厳しいから天上地獄コースってのがヤバイのかもね。自分は対象じゃなくてよかった」
「ほー・・・それで今日も【訓練】か?」
「まだ決めてないけど【訓練】と魔物狩りかな?ちょっと自分も締め直すわ」
「そうか、じゃあ丁度いいか。例の精神力の件だがな」
「ああ!預けてる装備の精神力消費の件ね」
「一応ある程度工夫してはいるが、それとは別にお前さんの精神力の最大値も上げていってもいいかと思って相談だ」
「精神力の最大値が上がるスキルを育てるみたいな?」
「そうだな。例えば<服>は取得してるか?精神力系のアビリティがあるぞ。後は木製武器や防具のスキルだな」
「確かに<服>は取得してもいいのか。木製武器に関しては全然心当たりないな。この前の肩当とか仮面とかしか着けた事無い」
「<木甲>は<服>を育てないと出ないな。でも出れば精神力系アビリティを足す事も可能だな。後は<木盾><木剣>とかな」
「<木剣>は流石に使わないかな。<木盾>は確か支給品で使ってた盾は金属で補強された木製盾だった気がするけど、今更盾持っちゃったら逆に銃が抜けなくなっちゃうよね。肩当に氷盾出るけど、あれは防具であって、盾は手に持つ防御武器だもんね」
「そうだな。あの肩当で<盾>系スキルを育てるのは無理だな。となると取り敢えずは<服>だけか」
「そうなるのか、まあ仕方なしだね。<精神強化>みたいなスキルがあれば良かったんだけどね」
「<集中><瞑想><覚醒><祈祷>・・・精神力自体を増やすものは中々無いもんだな」
木精は精神力の回復だもんな。外的要因による回復は出来るから木を生やして・・・、いやここでは武器か防具に精霊の力を通す形になるのか。精神力を消費して精神力の回復?ちょっと意味が分からないな。
「精神力の最大値に関わる精霊術って無いの?」
「土だな。生命力と精神力の最大値にかかわってる筈だ」
「取得するか、もしくは土精装備を作るかって事ね」
「いいんじゃ無いか?お前さんのあの石壷にエンスタタイトが入ってたし、なんか防具を作るか?」
「え???え、え、え、エンスタタイトが入ってたの?それも宝石レベルの?」
「そうだが?でも地下では石がいっぱい出るんだろ?」
「いや、それにしても希少な気が・・・」
「まあ、でもこの辺りに土精の祭殿は無いから術取得は出来ないけどな」
「世界樹の挟まってる所に作ったりしてないのか~、残念」
「それはいずれ縁があれば取得したらいいだろう。問題は装備だな」
「あの制服を着る時専用装備って感じだからね。ああでも籠手装備しないから<紋昌術>の邪魔にならないサイズの腕輪とかかな」
「精神力を流す事で自分自身に生命力と精神力の最大値に補正がかかる様にするのか・・・可能だな」
「じゃあ、それで行こう!自分は<服>取得してくるわ。代金はどうする?石壷もう一個出そうか?」
「あれば助かるけどな・・・預かるぜ。じゃぁまあ頑張れよ」
装備屋のおっさんと別れ<服>を取得。
アビリティは、精神力
懐かしの最大精神力が上がるアビリティ。
しかし忍者装備は何気に<皮殻甲>合わせだ。
別に服を装備出来ないわけじゃない。もし<服>を持ってなかったら服を着れないのだとしたら、初心者服はどうするんだと。
<服>を育てる為にエルフの支給装備で服に当たるものは何か色々見せてもらった所、布のバンダナがあった。
試しにバンダナ装備の上から根住を纏ったが、問題無さそうなのでこれで行く。
バンダナ装備状態で生活してれば勝手に熟練度が溜まるだろうし、後は【訓練】と狩りだな。
エリーゼ様と合流し本日のメニューを聞こうと思ったが、戦闘員達がグロッキーらしい。
エリーゼ様厳しくし過ぎじゃなかろうか?
仕方なし、本日は海中に狩りに行く。
例のイソギンチャクは数日で復活するし、他にも大型の魚なんかも結構いる。
おっさんに作ってもらった水中装備を装着!
襟巻きを口から下げ首だけに巻く様にし、口には風精の水中呼吸具。
ブーツを脱いで鞄にしまい、足ヒレ装着!
若いエルフと少し沖に出て、天上の海に飛び込む。
因みに若いエルフもここの所自分と荒稼ぎしていたので、水中装備を購入していた。
最初は足から水流を生む動きに中々適応できなかったが、慣れれば凄い早い。
精神力の込める量と向きで自在に泳ぎまわれるようになったので、無理に世界樹の側根を掴まなくても戦えるし、戦闘の効率が格段だ。
空気玉も消費せずに済むし、若いエルフと海底へ海底へと側根の間を泳ぎ進める。
貝がいっぱいになる度小船に戻り、また潜る。
調子こいて船に乗るスペースが足りなくなったので、自分は小船の横を泳いで帰った。
市場に売りにいけば、どん引きされたがそのお金で飯食って寝る。