508.古の【巫士】の術
ログインして取り合えず個人的に射撃【訓練】をしていると、金の卵世代3人がエリーゼ様にめっちゃしごかれてた。
もう少しお互い協力して戦うような連携も頑張って勉強してもらわないと、エルフ的にも困っちゃうんだろうし。
ちなみに今の装備はファンタジー忍者装備に戻してある。肩当も装備しているので、ちょっと試したいな~とは思うものの、相手してくれるヒトいないかな?
「こんにちは、少し宜しいですか?」
【巫士】様に声を掛けられたが流石に戦うわけにも行かないし、でも無視するわけにも行かないし・・・。
「どうかしましたか?」
「先日は三人の相手をしてくださり、ありがとうございます。おかげで初心に戻って締め直す事になりました。我らの未来を担う者達はあの通りです」
「なんか揃ってしごかれてるようで」
「ええ、良い事です。それよりも一つお礼とお願いがございます」
「ふむ、どちらからでもいいですよ」
「ふふ、どちらも同じものなのですが、長らく我らエルフにとって大きな謎であり、それでもいつかは必ず復活させねばならない秘術がございまして」
「ああ、古の【巫士】様が太陽を呼んだとか言う・・・」
「それですね。折角ですのでその秘術を貴方に公開しようかと話が纏りまして」
「でも、太陽を呼んだのなら<陽精術>っぽい気もしますけどね」
「そうですね。もし術が復活しない場合は何か物品でお礼させていただきます。丁度貴方が狩った魔物の素材を何に使うかという話も上がっていましたし」
蛇とかイソギンチャクとかか、どっちもボス級だから装備とかに使えれば丁度いいかもな。
宝石から精霊の力を引き出す防具の場合、精神力の消費量問題はまだ抱えているけど、
いずれ解決目指して行くつもりだし、いつでも忍者装備から変更できるようにしておくのも悪くない。
剣を除けば、徐々に耐久が目減りして行くのは分かっているのだから、常に先の装備の事も考えておかないとな・・・。
今までが行き当たりばったり過ぎたよな。
勿論<手入れ>はしてるので耐久の最大値の目減りは他人より少ないとは思うが、それでもある時壊れちゃったは流石にな~。
そんな事を考えつつ【巫士】様が歩いていくのに付いていくと一つの船の厳重な鍵のついた船倉。
「いや、これはよっぽどの秘密みたいですね。お礼は装備でいいですよ」
面倒事センサーが働いて速攻逃げようと思ったが、
「お願いでも有ると申しましたよ」
と、笑顔で鍵を開け船倉に引きずりこまれた。
中には巨大な石が鎮座しているものの、正直近づきたくないなとこっちは思っているのに【巫士】様はずいずい近づいていく。
石の表面には相当古くに彫られたのかな?と思われるような文字がびっしり。
本来なら読めないような古代文字とかエルフ文字とかなんだろうが、
<言語>持ってる自分には読めちゃうんだよな~。
「なるほどね。どうするかな~」
「どうやら説明の必要は無かったようですね。どうされますか?」
面倒事センサーが働いた割りにはシンプルな話だ。
1000人以上率いる資格がある者なら覚えられるらしい・・・、
だが、しかし相応の術またはスキルと引き換えになるって言うのがネックだ。
何と交換なのか明記されてないって事は交換できる術及びスキルってのは限られた物じゃないんだろうな。
っていうかゲーム的に考えて自分が案内されてる時点でフラグ。
覚える事は出来るが、代わりに何を失うか分かった物じゃない。
<戦陣術>だけなら、まあ仕方ない多人数用術の引きかえって事だ。納得できる。
しかし<軍略士>丸ごと行かれたらかなり辛い。隊列も組めなければ、士気補正もガッツリ持っていかれるようなものだ。まあ称号とか装備とか諸々解決方法はあるんだろうが・・・。
しかし、一番の問題は精霊術系を持っていかれた場合。
まず<青蓮地獄>が一番困る。これだけは断固拒否。
<陰精術>だって折角、根住って言う相棒が出来たのに今更手放す訳が無い。
と、言うわけで今回はご縁が無かったと言う事に・・・。
いつの間にかエルフの幹部と思われるヒト達が入り口をがっちり固めてる。
皆期待に満ち溢れてて、何か高揚感ある顔してるのが怖い。
この場でテンション低いの自分だけか~ノリに任せちゃうか?
一つ大きく溜め息をつき、文字の刻まれた石に触れた。
『<融力術>取得の条件を満たしています。もし取得する場合は<軍略士>を失いますどうしますか?(YES/NO)』
そのパターンかー!どうするか。士気補正と策戦と隊列組むのが不可って事だよなこいつはきついな。
隊列を組んで戦闘指揮ってのはもう中隊長とかに任せるしかないのか。
・・・まぁ、仕方ない!
自分の想定してた最悪の状態である精霊術系を失う結果にならなかったんだから、いいや!
知らない、知らない!なんとかなる!
「取得します!(YES)」
すると自分の中から何かが抜け、代わりに何かがスッと入ってきた。
「ありがとうございます。我らの悲願を叶えていただき感謝に絶えません」
「いや、自分も興味あったし別にいいですよ。ただ術の使い方はこの石に書いてるので、これからもここに来たいんですけど」
「構いません。もし貴方に何かがあれば、きっと我らが助力する事でしょう」
ふむ<融力術>を使った集団戦を真面目に研究しないとな。