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496.空海蛇戦

 小船から海に降り潜る。


 それなりのサイズの蛇はすぐに見つかり、水中を自由に泳ぎまわっているのが見えるがどうやって(おび)き出すか。


 まあ、こっちに殺気を向けてくるぐらいだし、やる気は有るんだろうが自分達が収穫した木の実が目当てって事も考えられる。


 それなら分けてやって共生の道もありうるだろう。


 どんな生き物だってまずは飯を食いたいわけで、お互い共存共栄の道も無くは無いだろう。


 と言うわけで林檎を一個持って海に潜った訳だが、なんとか揉め事にならずに終わらないかな~。


 ぶっとい胴体を持つ蛇が近づいてきて、尻尾で林檎を薙ぎ払いまた水底に戻って行く。


 ふーん、自分を攻撃する訳でも無くそういうことしちゃう?


 自分の手から零れ落ちた林檎は小魚たちがつっついてる。


 集まってきた小魚を食うならまだしも、そこらをうろうろ悠然と泳ぐ蛇。


 なんなら一発してやったとでも言いたそうな雰囲気だ。


 なるほどね、肉食だから林檎を嫌ったのかなと思ったけど、小魚にも興味無しね。

 

 で?自分を食べたい訳かな?


 と、剣を抜いて構える。こっちの殺気に反応したのか蛇の動きも変わるが、まだ舐めてるようだ。


 そりゃ、向こうは水の中でも自由に動けるのに対して、こっちは不自由。


 舐められるのは仕方が無いとして、


 ただで済むと思ってんの?


 蛇が海中に何か毒のような物を振り撒き、色が黒く染まる。それに対して<青蓮地獄>と、


気脈術 冷気


 のコンボで耐性を高め相手の出方を待つ。


 視界が若干塞がれるが<索眼>を使い、蛇の位置は把握している。


 右へ左へとフワッと泳いで、こっちが弱るのを待ってるのか?


 すっと、左から勢いをつけ体当たりをかまして来るが、ブロック。


 動きの止まった蛇を一発切り返す。


 一発貰った蛇は一旦距離を取るが苛立ったのか、すぐに再攻撃を始める。


 自分の剣攻撃は水の摩擦で中々当たらないが、蛇の攻撃は自分に当たり、


 だんだん蛇が調子に乗ってくきた。


 自分のどてっ腹に一撃入れると、余裕を見せ始める蛇。


 あっそう・・・。


 まあ、やり合うのは仕方ないとして、そんな余裕で自分をやれると思ってるんだ?


 剣を背中に戻し、腿からダガーを引き抜く。


 所詮蛇は噛むか体当たりするだけ、体がでかくて水の中で自由に動けるからって調子乗るなよ。

 

 『ねぇ、僕も手伝おうか?』


 「そうだね、頼むよ根住!」


 陰を全身に纏う。水中でどれだけ役に立つのかは分からないけど、やってやろう。

 

 次の一撃をダガーで受けつつ体ごと動き、避ける。


 そして、蛇に触れつつダガーで擦るようにダメージを与えていく。


 摩擦で体が離れていきそうなものだが、


 自分の体からべりっと剥がれた陰の腕が蛇を抱え込んで、自分と蛇の距離を離さない。


 力づくで、距離を取る蛇を見つめながら少しづつ海面に泳いでいく。


 苛立つ蛇が自分を丸呑みにしようと一直線に近づいて来た所を尻尾で絡めとり、軌道をずらして、再攻撃。


 手足が4本に増え、さらに尻尾まで増えた状態で蛇を受け流す。そして、受け流しつつダガーで攻撃を加えていく。


 徐々に水面に近づくにつれ蛇の攻撃が激しさを増すが、最初に自分を舐めたのは蛇の方、容赦はしない。


 海面に顔を出した瞬間、エルフが手を差し伸べて来たので、陰手で掴み体を水から引き抜き、


凍剣術 獄結海


 蛇が自分を追いかけて首を出した所で、海を凍らせる。


 そのまま嵌った蛇の頭を剣で叩き潰す。死ぬまで叩き、動かなくなった所で解除。


 ぷかっとその身を浮かす蛇をエルフ達が<解体>した。


 「その蛇って食べられるの?」


 「いや、でも皮なんかは服に使えるし、骨も何かと材料に使えるし、毒も水中の強敵に使えるから」


 「そっか、お腹すいたし林檎もう一個貰うね」


 そう言って林檎を齧っていると、


 「いやぁ、折角網を用意してたのに、倒しちゃったね」


 「いや、なんか舐められてたみたいだからついつい」


 「別に問題は無いけどね。強者がどこからとも無く現れたとは聞いてたけど、こんな食料<採集>にはもったいないんじゃない?」


 「いや、別に自分はのんびり働きつつ過ごせれば何の不満は無いから」


 「へ~そんなもんかね?」


 「逆にこの天上の地のヒトは何か外に出たいとかそう言うのはないの?」


 「いや、別に?世界樹様の恵みで生きていけるし、どうしても出たければ、遥か西に船を出せばいいんだろうけど、あの地は極寒で並の心身では耐えられない地だと聞いてるしな」


 「聞いてるって事は実際に行ってみたいとかは?」


 「稀に行く者がいて深く後悔して戻ってくるから、皆結局世界樹様に感謝してるって訳さ」


 ああ、じゃあ何気にあの滝のところ位まではエルフも来てるんだな。


 タイミングさえ合えば、あの滝でエルフとの交易も可能ってわけか。


 「世界樹のおかげでこの地が豊かなのは分かりますけど、他の地と交易したりとかは?何気に食料に問題を抱えてる土地って多いんですよね」


 「そうか・・・世界樹様のいなくなった西は大変だと聞いてるよ。一応我らも世界樹様の在るあの土地を境に、東の者と交易はあるね」


 へ~やっぱり東にもまだ土地は続いてるのか。


 行けるのかどうかは知らないけど、あの世界樹が詰まった壁の先も、気になるっちゃ、気になるよな。


 蛇の解体が終わって、小船が拠点に引き上げて行く。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱ主人公は特撮系のものとへゔぃに縁があるよね
[気になる点] 東側の人とは
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